成果につながるWEB接客シナリオとは?設計の基本と成功のポイントを解説します
WEB接客において、顧客満足度の高い接客を実施するためには、お客様の志向に合った的確なシナリオ設計が肝心です。この記事ではWEB接客シナリオの基本と成功のポイントについて解説します。
WEB接客のシナリオとは何か?
WEBサイトを利用していると自身が興味を持っている商品ページ上に、割引クーポンの情報が表示されて購入を決めたり、興味を持ったコンテンツページにうまく誘導されることで次々と多くのページを見てしまう経験は誰しもあるのではないでしょうか?
このようにユーザーごとにカスタマイズされたメッセージ表示や商品・サービスの紹介コンテンツが表示されることでユーザー体験と満足度を高める接客方法を「WEB接客」と言います。近年、自社のWEBサイトに訪問したユーザーに対して、オンライン上で接客を行うWEB接客が一般的となっています。
WEB接客について更に詳しい説明はこちらの記事をご覧ください。
WEB接客シナリオとは、端的に言えば「上記で説明したWEB接客を、ユーザーのアクションに合わせて設定していくこと」です。
例えば、実店舗での接客の場合なら来店したお客様の様子を観察し、必要に応じてスタッフがお客様に声がけをして会話を行うなどのコミュニケーションを取ることができますが、WEBサイト上では実店舗のようなきめ細かな接客はできません。
それを解消するために、適切なタイミング・方法で、WEB接客を設定していくことがWEB接客シナリオになります。
WEB接客シナリオにおける留意点
WEB接客シナリオを作成し、実行するためには、WEB接客シナリオの目的を明確にする必要があります。そして、目的を明確にするには「だれに・なにを・いつ・どのように伝えるか」といった、WEBサイト上でのユーザーとのコミュニケーション設計を事前に行っておく必要があります。
また、WEB接客シナリオはWEBサイト運営の成否を左右する、成果に直結する重要な施策であるため、正しいシナリオの作成と共に継続的な検証・改善も必要です。
WEB接客シナリオを作成する際には、主に以下の2つを意識して作成すると良いでしょう。
1.購買へのロードマップ
人は選択肢が多すぎると選択に迷ってしまう傾向があります。選択肢が多いことは良いことに感じますが、明確な意思を持っている人でなければどれを選べば良いかの基準がないため、選べずに先に進めなくなってしまいます。
そんな人に対しては的確な方向を示すことが有効です。例えば、レコメンドエンジンを使っておすすめ情報を提示したり、「次へ」ボタンをクリックしてページを順に追って読み進めていく形を提供するとユーザーを成約までスムーズに誘導できるでしょう。
2.ユーザーの不安を解消する
商品の購入やサービスの申し込みへの最終決定を行うにあたり、価格や個人の性質によっては、すぐには決断できない場合もあります。最終的に決断する際には、誰しもが心理的な迷いが少なからず生じます。
不安を解消するようにメッセージを添えたり、よくある質問の答えを用意しておくと良いでしょう(多くのWEBサイトでQ&Aページが用意されているのはこのためでもあります)。
このようにWEB上でいかにユーザーに接するかを充分に考慮して、WEB接客シナリオを作成しましょう。
WEB接客シナリオの基本設計
WEB接客シナリオの目的を明確にした後は、実際にWEB接客シナリオを設計していきましょう。
WEB接客シナリオを設計する際に意識することで重要なことは、お客様ひとりひとりに合わせてどんな接客を行うかを具体的な形にしてシナリオに落とし込んでいくことです。
ここではWEB接客シナリオの基本的な考え方と設計について、順に説明します。
1.ユーザー理解
まずは、自身のWEBサイトに訪れるユーザーの傾向について理解する必要があります。
例えば、ECサイトの場合なら訪れるユーザーの意図は商品の情報収集に始まり、類似品との比較検討、そして購入に至り、購入後は疑問解消など、様々なフェーズのユーザーが訪れることが想定されます。
自身のWEBサイトにどのような目的で訪れて、かつ、どのようなフェーズのユーザーが多いのかを十分に理解することで、より効果的なWEB接客シナリオの作成をおこなうことができます。
また、現状のユーザー傾向を理解した上で、どんなユーザーへのWEB接客を強化すればよいかをより明確にするためにも自社WEBサイトの※ペルソナ を作りましょう。
ユーザー像を明確にすれば、より良いWEB接客シナリオを作ることも出来るでしょう。
(※ペルソナ:もともとは「仮面」や「人格」という意味の言葉ですが、WEB接客シナリオにおいては商品を購入したりサービスを利用したりする架空のユーザー像を指します。)
2.接触タイミング
自身のWEBサイトに訪れるユーザーの傾向を理解したら、次はどのタイミングでユーザーに接触・アプローチするのが最適かを考えていきます。
例えば、ECサイトで商品ページにおける滞在時間が長く、購入を検討している可能性が高いであろうユーザーの場合、購入を決定する後押しとなるように割引クーポンをポップアップで表示し、購入意欲を促すことで購入の可能性が高まります。
他にも購入後の疑問を解消したいユーザーに接触する場合、割引クーポンの案内を行うよりも、ポップアップやチャットボットツールでQ&Aページに誘導する方が、顧客満足度の向上につながる可能性が高いです。
このように、ユーザーのフェーズによってひとりひとりの接触タイミングに合った情報を提供するよう、WEB接客シナリオを設計しましょう。
3.WEBサイトの設計、改善
どんなユーザーに、どのタイミングで接触するかを決定しシナリオを設定したら、次はそのシナリオに合うように自身のWEBサイトの設計、改善を行いましょう。
例えば、自身のWEBサイトのユーザーは滞在時間が長いが直帰率が高くて成約数が少ないという場合、WEBサイトの作りが、ユーザーが探しているコンテンツを見つけ辛い作りである可能性もあり、そもそも該当するコンテンツ自体がないことも理由だと想定されます。
このような問題の解決方法は、チャットボットツールやQ&Aページを設置して、ユーザーの疑問点を解消するコンテンツへスムーズに誘導できるようなWEBサイトの設計を行うことです。
不安や疑問を解消するコンテンツに誘導することで、売上に貢献する可能性が高まっていきます。
WEB接客シナリオの作成ポイント
WEB接客シナリオにおける基本設計の次は、それを踏まえた上で抑えるべきポイントとなる項目について説明します。
WEB接客シナリオ設計を入念に行って的確なシナリオ作成ができたとしても、具体的な施策に落とし込み、かつ、それを実行しなければ、目的であるコンバージョンすら発生しません。
施策に落としこみ、実行するためにも自身のWEBサイトの目的を明確にした上で具体的なペルソナを作成し、更に必要となるツールや、その使い方を洗い出す必要があります。
例えば、アクセス解析ツールを使ってユーザー行動を分析、把握する際、どの項目、指標をチェックすればよいかを決めておき、その方法では取得出来ないデータがあれば、他のツールや方法、例えばアンケートやユーザーヒアリングなどを実施してユーザーが必要としている情報を知ることも検討しましょう。
ここまで行えばコンバージョンに至るまでに何が障害となっているのか問題の要因を知ることができ、これを根拠としてWEB接客シナリオの改善も行えるため、更に精度や再現度が増したシナリオを作ることができます。
また、WEB接客シナリオを作成して成果を生み出すには正しいシナリオの設計はもちろん継続的な検証・改善も重要です。
以下のポイントを抑えて継続的な検証・改善を行い、有効なWEB接客シナリオを作成しましょう。
1.コンバージョン目標を明確にする
WEB接客シナリオを作成する際に最初に行うことは、達成したい成果である目標、コンバージョン目標と定義するものを明確にすることです。コンバージョン目標を具体的な数値で設定すれば、その目標数値を達成するにはどうすればよいかをゴールから逆算しやすくなります。また、具体的な施策に落とし込んでいきやすくなります。
WEB接客シナリオではユーザーのフェーズも様々なため、それに合わせた複数のコンバージョン目標を設定することも良いでしょう。
例えば、「新規ユーザーを100人獲得する」「既存顧客のWEBサイトの再訪頻度を2倍にする」など、具体的な数値が決まれば、その課題を解消するためにどのようなWEB接客シナリオを作成すればよいかと建設的な議論も進むようになります。
2.ペルソナの明確化
WEB接客シナリオの基本設計でも説明しましたが、WEB接客シナリオでコンバージョン率を向上、改善させるために、ペルソナを明確化しましょう。また、ペルソナは極力具体的な人物をイメージできるぐらいまで細かく決めましょう。
例えば、テニスサークルの会員・利用者を想定する場合は「30代の男性」だけのペルソナでは具体性に欠け、定義される人物の範囲が広すぎるためWEB接客シナリオの正確性を欠いてしまいます。
ペルソナとして定義するなら、「東京都内のオフィスに通勤する30代男性で健康への意識が高く、食事だけでなく運動にも関心がある。仕事が終わった後の20時頃からテニスなどの運動で適度に汗をかきたいと思っている」という風に、具体的な人物をしっかりイメージできるようなペルソナを設定しましょう。
3.WEBサイト上のユーザーの行動を想定する(アクセス解析ツールなどを利用する)
ユーザーがWEBサイト上で何を求めて、どのような行動をしているのかを分析します。Googleアナリティクスやヒートマップツールなどのアクセス解析ツールを用いれば、ユーザーがWEBサイト上でどのような行動をしているかのデータを取得出来ます。
このデータを分析してユーザー行動を把握することで、どこからWEBサイトに流入しているか、アクセスが多いコンテンツページはどれか、どのコンテンツページで離脱しているかなど、様々なことが数値で分かります。
4.情報共有と継続的な改善(PDCA)
最初から完璧なWEB接客シナリオを作るのは非常に困難です。慎重かつ網羅的にWEB接客シナリオを作っても、実際に使ってみると必ず想定外なことが起こるからです。一度作ったWEB接客は、不具合が起こる度に改善を繰り返しましょう。
また、このときに重要なのは、情報の共有を行うことです。問題が起きて、一部の人間だけで対応、処理を行い、その情報を共有しないでいると、後に同じ問題が起こった際、同じだけ時間をかけてしまうことになってしまいます。ユーザーに迷惑をかけないためにも、また新しいアイデアや意見を出すことでより有効なWEB接客シナリオを作成するためにも、他部署や関係者に積極的に情報共有を行い、継続的な改善も行いましょう。
WEB接客シナリオの型
ポイントを踏まえたWEB接客シナリオを設計、作成したならば、いよいよシナリオを実現させましょう。
WEB接客シナリオを実現するためには、目的に合わせて、具体的な施策にまで落とし込むことが必要です。
ここでは多くのWEBサイトに有効なシナリオの型について説明、紹介します。
1.お出迎え
実店舗では、お客様が来店すると、先ず店員が出迎えるように、WEB接客シナリオにおいてはWEBサイトのトップページが主に出迎えの役割を担います(検索流入などで直接商品ぺージに流入する場合もあります)。
ユーザーがWEBサイト内を回遊しやすいようにナビゲーションを設置したり、おススメの商品やサービスが一目で分かるように目立つ位置に表示します。
2.疑問・不安の解消
実店舗では、商品を購入するかどうかで悩んでいたり、サポートを必要としていたりするお客様に店員が声をかけることが多いです。
WEB接客シナリオでは滞在時間が長いお客様に対して、チャットボットツールで気軽に質問できるような仕組みを導入したり、スムーズにQ&Aページに誘導することが有効となるでしょう。
3.案内・提案
実店舗では、お客様の要望に合わせて店員が商品を紹介することで購入に至ることがあります。
WEB接客シナリオでも、ユーザーに提案できることが出来れば商品の購入に至る可能性が高まります。例えば、購入履歴や閲覧履歴からおすすめ商品を提案するレコメンドエンジンを導入したり、人気商品をピックアップしたページを設ければ商品の購入を促すことができます。
特にECサイトユーザーは、一度だけでなく何度も訪問して利用することも多いためリピーターになりやすく、更にリピーターになると会員情報や閲覧データなどを基にしてレコメンドの精度がより高まるので、購入に至りやすいメリットも生まれやすくなります。
4.クロージング(後押し)
WEBサイトでは、商品ページに長時間滞在しているケースや注文フォームまで進んでいるにもかかわらず、購入せずに離脱してしまうケースがあります。
この場合、ユーザーは「疑問・不安」の状況に陥っている場合も多いので、チャットボットツールで気軽に質問できるような仕組みを導入したり、Q&Aページに誘導するようにしましょう。
また、「疑問・不安」ではないが、注文フォームの記入項目が多くて途中で面倒になってしまって購入せずに離脱してしまうケースも多々あります。アンケートを行ってユーザーの声を聞き、フォームの改善を行うのも良いでしょう。
5.アフターフォロー
商品の購入に至ったユーザーはもちろん、資料請求を行ったユーザーやWEBサイトを訪れたユーザー、お問い合わせのあったユーザーとの接点を一度限りにしないように永続的な関係性を築いていくようにしましょう。
例えば、メールマガジンの定期配信やSNSでの情報発信を通して接点を創出することでリピーターを増やしましょう。もし、予算があるのならば、クーポン券を配布することもよいでしょう。クーポンをきっかけにWEBサイトに訪れるユーザーも多いので売上を伸ばすことにも繋がります。
まとめ(顧客の満足度を上げる)
WEB接客シナリオは、的確なシナリオ設計が肝心であり、それが出来ればWEBサイトにおける顧客体験の最適化を図れます。コンバージョン率の向上はもちろん離脱率の改善やリピーターの獲得にも繋がります。
一方で、誤ったWEB接客シナリオを実行してしまうとユーザーが求めていない不要な情報や不適切なタイミングで情報を発信する(一方的に押し付けると感じさせる)ことにもなるため、ユーザー体験の低下を招いてしまいます。
そうならないためにも、正しいWEB接客シナリオの設計はもちろん継続的な検証・改善も重要です。
WEBサイトの目的を明確にした上で具体的なペルソナを作成し、更に必要になるツールや、その使い方を洗い出しておけば、更に精度や再現度が増したシナリオが作られていくでしょう。
最後に、WEB接客シナリオの設計、作成を成功に導くコツを一言でまとめたならば、「顧客の満足度を上げる」という一言に集約されます。
WEB接客シナリオを立てる上でお客様を知り、ひとりひとりに合った最適なアプローチこそがコンバージョン率を上げ、そして売上アップに貢献する可能性も高まる要因であると断言できるからです。
その一方で、WEB接客シナリオ設計のどこから取り組んだらよいのか分からない、自社だけではリソースが足りないという方もいるかもしれません。自社だけでWEB接客シナリオを設計、作成することが難しい、更に施策の実行も難しい場合は、外部への委託も一つの方法としてありますので検討してみて下さい。
クロスリスティングでは、高セキュアなWEB接客ツール「Siencaエンゲージ」のサービスを提供しています。また、ツールの導入支援だけでなく、施策設計などマーケティング支援まで一気通貫でサポートさせて頂いております。
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