TVer広告とは?特徴やメリット、入稿規定や配信までの流れを解説

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動画配信サービスが普及する中、新たな広告媒体として注目を集めているのが「TVer広告」です。

TVer広告は、従来のテレビCMとデジタル広告のメリットを組み合わせた画期的な広告手法といえます。

特に、高い視聴完了率と精密なターゲティング機能により、認知拡大と売上向上を実現できることから、多くの企業が導入を検討しています。

本記事では、TVer広告の基本的な仕組みから特徴・メリット、具体的な出稿方法まで、詳しく解説します。

これからTVer広告の活用を検討している方は、ぜひ最後まで参考にしてください。

TVer広告とは?

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TVer広告とは、民放各局が共同運営する動画配信プラットフォーム「TVer」で配信される動画広告サービスのことです。

TVerは、在京民放キー局5社(日本テレビ、テレビ朝日、TBSテレビ、テレビ東京、フジテレビ)が連携して提供している無料の見逃し配信サービスで、テレビ放送終了後の番組を無料で視聴できるプラットフォームです。

2015年のサービス開始以来、ユーザー数は増加しており、2025年4月時点でアプリダウンロード数は8,500万を突破、月間再生数も4.9億回を超える国内最大級の動画配信サービスとなっています。

TVer広告ならではの特徴・メリット

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TVer広告には、従来のテレビCMやデジタル広告とは異なる独自のメリットがあります。具体的な特徴とメリットは、以下のとおりです。

  • スキップ不可のため、視聴完了率が高い
  • テレビを見ない層へリーチできる
  • 高い精度でのターゲティングが可能
  • テレビ番組内でテレビCMよりも安く出稿できる

それぞれのメリットについて、詳しく見ていきましょう。

スキップ不可のため、視聴完了率が高い

TVer広告の最大の特徴は、スキップできない仕様による高い視聴完了率です。

具体的な数値として、15秒CMでは94%、60秒CMでも91%という視聴完了率を記録しています。

これは、YouTubeなどのスキップ可能な広告と比較すると非常に高い数値です。

つまり、TVer広告であれば、企業が伝えたいメッセージを確実にユーザーに届けられることを意味しています。

視聴完了率が高い理由は、スキップ不可の仕様のほか、TVerの配信番組では広告挿入のタイミングが最適化されており、視聴者にとって自然なタイミングで広告が流れることも影響しています。

また、TVer広告はテレビと同じような感覚で視聴されているのも大きな要因です。

番組中に流れる広告への嫌悪感が少ないほか、もともとスキップできない広告ということを視聴者が理解している点も理由といえるでしょう。

テレビを見ない層へリーチできる

TVer広告は、従来のテレビCMではリーチできない「テレビを見ない層」に効果的にアプローチできる点も大きなメリットです。

特に若年層やデジタルネイティブ世代においてはテレビ離れが進んでいる現状がありますが、これらの層は見逃し配信サービスとしてTVerを積極的に利用しています。

また、TVerではリアルタイム配信も行っているため、「テレビは持っていないけど、TVerでテレビ番組は見ている」という人も多いのです。

実際、TVerのデバイス別の視聴比率は、スマートフォンが54%、コネクテッドTVが36%、PCが10%となっており、モバイルでの視聴が過半数を占める一方で、コネクテッドTVでの大画面視聴も3割を超えています。

これにより、テレビを持たない若年層から、テレビを持っているけどリアルタイムでは見ない層まで、幅広いユーザーに広告を届けることができます。

高い精度でのターゲティングが可能

TVer広告では、TVerが独自に取得したユーザーデータを活用した高精度なターゲティングが可能です。

具体的には、ユーザーがTVerを利用開始する際のアンケートから得られる会員登録情報をもとに、性別や年齢、地域や17の興味関心項目を正確にセグメントして配信できます。

さらに、番組ジャンルでの指定も可能で、36に分類されたサブ番組ジャンルでのより細かなターゲティングも実現できます。

▼ターゲティング項目一覧

ターゲティング詳細
性別男性女性その他回答しない
年齢13歳~100歳まで1歳刻みでターゲティング可能
地域指定の都道府県・市区町村
興味関心ビジネス・経済
自動車
旅行
ショッピング・ファッション
ヘルスケア
ペット
テクノロジー・ガジェット
ゲーム
映画
美容
教育・子育て
環境・SDGs
ラグジュアリー
アート・芸術・音楽
スポーツ・フィットネス
金融・ファイナンス
料理・グルメ
ジャンル指定/除外ドラマ
バラエティ
アニメ
ヒーロー
報道・ドキュメンタリー
スポーツ
その他
サブジャンル指定/除外恋愛
サスペンス
ヒューマン
医療
刑事
学園
青春
コメディ
スポーツ
ファミリー
ミステリー
ホラー
時代劇
ビジネス
ファンタジー・SF
旅行・街ブラ
トーク・スタジオバラエティ
お笑い・漫才・コント
生活情報
グルメ
クイズ
音楽
報道
ドキュメンタリー
キッズ
ゴルフ
釣り
サッカー
野球
ラグビー
eSports・ゲーム
格闘技
動物
健康
教養
VTR/ロケ番組

例えば、「40代以上のビジネスマン」であれば「40~64歳×男性×『ビジネス』『報道・ドキュメンタリー』ジャンル」、「幼児がいるママ」であれば「30~39歳×女性×『アニメ・ヒーロー』ジャンル」といった具合に、複数の条件を組み合わせた精密なターゲティングが可能です。

これにより、自社の商品・サービスに最適なユーザー層に効率的にアプローチでき、広告費用を最適化することができます。

テレビ番組内でテレビCMよりも安く出稿できる

TVer広告は、テレビCMと同等のクオリティとリーチ力を持ちながら、低コストで出稿できることも大きなメリットです。

テレビCMの制作・出稿には通常100~500万円程度の費用が必要ですが、TVer広告では最低出稿金額が50万円から(セルフサーブプランでは制限なし)と、中小企業やスタートアップでも手が届きやすい価格設定となっています。

また、テレビCMのような枠買いではなく、オークション形式での配信も可能なため、予算に応じた柔軟な運用ができる点も魅力的です。

これにより、限られた予算でもテレビCM並みの認知効果を狙える新たな選択肢として、多くの企業に注目されています。

TVer広告の課金方式

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TVer広告では、広告主の目的や予算に応じて選択できる3つの課金方式が用意されています。

課金方式特徴適用場面
CPM課金(固定単価形式)広告が1,000回表示されるごとに固定料金で課金フルマネージドプランで利用認知拡大を重視する場合
CPM課金(オークション形式)広告が1,000回表示されるごとにオークション単価で課金セルフサーブプランで利用費用を抑えたい場合
CPCV課金(オークション形式)広告が最後まで視聴された場合のみオークション単価で課金確実な訴求効果を重視する場合

CPM課金(固定単価形式)は、主にフルマネージドプランで採用される方式で、広告の表示回数に応じて予め決められた固定料金が発生する仕組みです。

予算管理がしやすく、安定した配信を行いたい場合に適しています。

CPM課金(オークション形式)は、セルフサーブプランで採用される方式で、各広告主が入札を行い、競合状況によって配信単価が変動します。

市場の競争状況に応じてコストを抑えることができ、柔軟な予算運用が可能です。

CPCV課金(オークション形式)は、広告が最後まで視聴された場合にのみ課金される仕組みで、無駄な広告費を抑制できる利点があります。

確実に広告メッセージを届けたい場合や、視聴の質を重視する場合に効果的な課金方式です。

TVer広告の2つの運用スタイル

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TVer広告では、広告主のニーズに応じて2つの運用スタイルから選択できます。

予算規模やターゲティングの精度、運用の手間などを考慮して最適なプランを選択することが重要です。

項目フルマネージドセルフサーブ
最低出稿金額50万円~制限なし
ターゲティング精度高精度(1歳刻み、市区町村単位)標準(5歳刻み、都道府県単位)
運用方法TVer側で完全管理代理店による運用
CPM単価固定料金(やや高め)オークション形式(比較的安価)
配信開始までの期間発注から7営業日入稿から3営業日程度
適用場面本格的なブランディング施策少額でのテスト配信

フルマネージドは、TVer側に配信から運用まで全てを任せるプランで、詳細なターゲティングが可能です。

年齢は1歳刻み、地域は市区町村単位での設定ができ、外部データを使用した高度なターゲティングにも対応しています。

一方で、最低出稿金額が50万円以上に設定されているため、ある程度まとまった予算が必要となります。

セルフサーブは、2023年4月から開始された比較的新しいプランで、最低出稿金額の制限がなく少額から始められることが最大のメリットです。

CPMがオークション形式となるため費用を抑えられる一方、ターゲティング精度はフルマネージドと比較して制限があります。

初めてTVer広告を試したい場合や、予算が限られている中小企業には特におすすめのプランといえます。

TVer広告の出稿までの流れ

TVer広告の出稿開始までの基本的な流れは以下のとおりです。

  1. TVerまたは代理店への連絡
    TVer公式サイトまたは認定代理店に問い合わせを行います。
  2. 業態考査(広告主審査)
    広告主の事業形態や公共性について詳細な審査を受けます。
  3. 発注用アカウントの設定
    審査通過後、TVer広告の専用アカウントが発行されます。
  4. 広告キャンペーンの発注
    ターゲティング設定、予算、配信期間などを決定し発注します。
  5. 素材考査(広告素材の審査)
    提出した動画素材について厳格な審査が行われます。
  6. 広告配信の開始
    審査通過後、指定した配信開始日から広告が配信されます。

TVer広告は審査プロセスが重要で、テレビCMと同等の厳格な基準が適用されるため、事前の準備が成功の鍵となります。

それぞれのステップについて、以下で詳しく見ていきましょう。

TVerもしくは、TVer広告の代理店に連絡する

TVer広告を出稿する際は、まずTVer公式または認定代理店へ問い合わせをしましょう。

代理店経由の場合、広告戦略の立案から運用サポートまで包括的な支援を受けられるメリットがありますが、直接TVerに連絡することも可能です。

初回の相談では、広告の目的、予算、ターゲット層、配信期間などの基本情報を整理して伝えることで、最適なプランの提案を受けることができます。

また、この段階で自社の商材がTVer広告に適しているかの判断や、フルマネージドとセルフサーブのどちらが適切かのアドバイスも受けられます。

業態考査(広告主審査)を受ける

TVer広告では、テレビCMと同様に厳格な審査プロセス(業態考査)が設けられています。

具体的には、会社概要、事業内容、財務状況、過去の広告実績などの資料提出が求められ、放送局の定める基準に適合するかが審査されます。

この審査は、TVer広告の信頼性を保持し、視聴者に安心してコンテンツを楽しんでもらうための重要なプロセスです。

審査期間は通常数営業日から1週間程度かかるため、広告配信開始希望日から逆算して十分な余裕を持って申し込みましょう。

発注用アカウントを設定する

業態考査を通過すると、TVer広告の発注用アカウントが発行されます。

このアカウントを使用して、具体的な広告キャンペーンの設定と発注を行うことになります。

アカウント設定では、初めにログイン設定(ユーザーID やパスワード)をするほか、広告主情報の登録、担当者の権限設定などを行います。

セルフサーブプランの場合、このアカウントを通じて配信設定の調整や実績の確認なども可能です。

また、フルマネージドプランの場合でも、配信結果のレポート確認などはこのアカウントを通じて行うことができます。

広告を発注する

アカウント設定が完了したら、具体的な広告キャンペーンの発注を行います。

発注時には、広告主名、キャンペーン名、ターゲティング設定、配信期間、予算、動画素材の秒数などの詳細な情報を入力します。

また、この段階ではTVer広告の入稿規定に準拠した動画素材の準備も必要です。

入稿規定では、アスペクト比16:9のMP4ファイル形式で、6秒・15秒・30秒・60秒のいずれかの長さに制作することが求められます。

なお、フルマネージドプランの場合、発注後の変更は基本的に不可能なため、事前に配信内容を十分に検討することが重要です。

TVer広告の動画入稿規定

参考までに、TVer広告の動画入稿規定を紹介します。

項目ハイレート (SD/PC)プレミアムレート (CTV)
CM尺6秒~60秒の間で任意設定 (※1)
ファイル形式MP4 (moov atom ; 先頭必須) (※2)
ブランド (ftyp)mp42 または M4V
ビデオサイズ (pixel)(W) 1280 × (H) 720(W) 1920 × (H) 1080
映像フォーマットYUV420
映像アスペクト比16:9
映像ビットレート1,500kbps ~ 2,100kbps2,500kbps ~ 4,000kbps
映像ビットレート区分可変 もしくは 固定 (固定推奨)
映像コーデック / プロファイルH.264 (MPEG4)High Profile Level 3.1, 3.2H.264 (MPEG4)High Profile Level 4, 4.1, 4.2
映像フレームレート29.97fps
映像走査方式プログレッシブ
映像参照フレーム数4 以下
連続Bフレーム数3 以下
連続タイムコード不連続数10 以下
音声タイプステレオ (モノラルは疑似ステレオ)
音声コーデックAAC-LC
音声ビットレート64kbps または 128kbps または 192kbps (192kbps推奨)
音声サンプリング周波数44.1kHz または 48kHz (48kHzを推奨)
音声ピーク値-3dBFS 以下 (民放連技術規準T-032準拠)
音声平均ラウドネス値ターゲットラウドネス値 -24.0LKFS ±1dB (但し、-28.0LKFS〜-25.0LKFSの素材も受け入れ可能)
音声タイムコード不連続数0
総ファイルサイズ12MB以内(15秒素材:6MB推奨)18MB以内(15秒素材:9MB推奨)

【留意事項】

  • テレビアプリに配信する場合は、ハイレートとプレミアムレートをセットで搬入してください。
  • テレビアプリに配信しない場合は、ハイレートのみの搬入でも構いません。
  • カラーバーやクレジット等のリーダ (スレート) は不要です。
  • 配信媒体やメディアにより放送局でCM素材をトランスコードすることがあります。
    • (※1) CM尺について:表に記載以外のCM尺は事前にご相談下さい。
    • (※2) エンコード時のDRMは不要です。

引用元:Ad Submission Rules 広告入稿規定|TVer広告

素材考査(広告素材の審査)を受ける

広告発注後は、提出した動画素材について詳細な審査が行われます。

素材考査では、入稿規定に則っているかだけでなく、放送局の定める基準に基づいて、表現の適切性、法令遵守、社会的責任などが厳しくチェックされます。

特に、薬事法、景品表示法、著作権法などの関連法規に抵触していないか、また青少年に悪影響を与える表現がないかなどが重点的に審査されることを覚えておきましょう。

素材考査で指摘事項があった場合は、修正が必要となり、再審査を受けなければなりません。

そのため、制作段階からTVer広告の審査基準を意識した素材作りを行うことが大切です。

テレビCMやラジオCMなどの民間放送における広告審査には「日本民間放送連盟 放送基準」というガイドラインもあるため、こちらも併せてチェックしておきましょう。

広告が配信される

素材考査を通過すると、指定した配信開始日から広告の配信が始まります。

配信中は、リアルタイムでの配信状況や視聴実績をレポートで確認可能です。

フルマネージドプランの場合は、TVer側で最適化された配信が自動的に行われ、広告主は結果を待つ形になります。

セルフサーブプランの場合は、配信状況を見ながら必要に応じてCPMの調整などの運用を行うことができます。

なお、配信終了後には、詳細な配信レポートが提供され、視聴完了率、クリック率、リーチ数などの重要な指標を確認して改善に活かすことが可能です。

TVer広告の運用を代理店に任せるべき理由

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TVer広告は、TVerへ直接問い合わせをすることでも配信できますが、効果を最大化するためには、専門知識と経験を持つ代理店への依頼がおすすめです。

ここからは、代理店に依頼すべき具体的な理由を詳しく解説します。

審査が厳しい

TVer広告では、テレビCMと同等の厳格な審査基準が設けられており、業態考査と素材考査の両方をクリアする必要があります。

経験豊富な代理店であれば、これらの審査基準を熟知しており、事前に問題となりそうなポイントを回避した提案ができるため、審査通過の確率を大幅に高めることが可能です。

また、万が一審査で指摘事項があった場合も、迅速かつ的確な修正対応により、配信開始の遅延を最小限に抑えられます。

ターゲティングが複雑で難しい

TVer広告では、属性ターゲティング、コンテンツターゲティング、興味関心ターゲティングなど、多岐にわたるターゲティングオプションが用意されています。

しかし、これらの機能を効果的に利用するには、各ターゲティング手法の特性を深く理解し、商材や目的に応じた最適な設定を行わなければなりません。設定を誤ると期待した効果が得られない可能性もあります。

その点、TVer広告に精通した代理店であれば、豊富な実績とデータに基づいて、効果的なターゲティング設定が可能です。

また、配信結果を分析して継続的な最適化を行うことで、広告効果を段階的に向上させることもできるでしょう。

広告に関するやり取りには手間がかかる

TVer広告を利用するには、問い合わせから出稿・配信開始まで、多くのステップとやり取りが必要になります。

特に初めて出稿する場合は、各プロセスで必要な書類や手続きがわからず、想定以上の時間と手間がかかることもあるでしょう。

また、TVer側との連絡調整、審査結果への対応、配信設定の最適化など、継続的な管理業務も発生します。

その点、代理店に依頼すれば、これらの煩雑な手続きや管理業務を一任でき、広告主は本来の事業活動に集中できるのがメリットです。

なお、クロスリスティングではTVer広告の運用支援を行っています。分析・提案・実行までワンストップでサポートしますので、お気軽にご相談ください。

まとめ

TVer広告は、高い視聴完了率と精密なターゲティング機能を兼ね備えた、次世代の動画広告です。

従来のテレビCMでは届かない層にもリーチでき、デジタル広告ならではの柔軟性と効果測定も可能な点で、マーケティング戦略における重要な選択肢となっています。

さらに、フルマネージドとセルフサーブの2つのプランにより、予算や目的に応じた最適な運用ができるほか、予算が少ない中小企業から大企業まで幅広い事業者が活用できるのもメリットです。

ただし、厳格な審査プロセスや複雑なターゲティング設定など、専門知識を要する部分も多い点に注意が必要です。

特に初回出稿時には経験豊富な代理店のサポートを受けることをおすすめします。

クロスリスティングでは、TVer広告の運用サポートも行っていますので、ぜひお気軽にご相談ください。

著者(writer)
Sienca 事務局

リスティングをはじめとした運用型広告など、インターネット広告全般の運用サポートを実施しております。BtoCからBtoBまで様々なクライアント様の広告運用により得た知見を基にブログをお届けします。

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