Amazon広告とは?種類や出し方、運用のコツについて解説
Amazonで商品を販売している事業者にとって、売上拡大のための最重要施策の一つが「Amazon広告」です。
Amazonには数億点ともいわれる膨大な商品が出品されており、その中で自社の商品を顧客に見つけてもらうのは簡単ではありません。
しかし、Amazon広告を効果的に活用することで、購買意欲の高いユーザーに効率的にアプローチし、売上を大幅に向上させることが可能です。
本記事では、Amazon広告の基本的な仕組みから具体的な種類、運用のポイントまで、詳しく解説します。
Amazon広告を初めて活用する方はもちろん、すでに運用しているものの成果に満足していない方にも役立つ実践的な内容となっているので、ぜひ最後まで参考にしてください。
Amazon広告とは?

Amazon広告とは、世界最大級のECモールであるAmazonが提供している広告サービスです。
Amazonには純広告、スポンサー広告、AmazonDSPといった複数の広告が用意されており、中でも「スポンサー広告」は広告主が自分で運用できる運用型広告として位置づけられています。
一般的に「Amazon広告=スポンサー広告」として扱われることも多く、多くの事業者がこのスポンサー広告を活用して売上拡大を図っています。
ここからは、このスポンサー広告に焦点を当て、メリットや具体的な種類、出稿条件や手順について詳しく見ていきましょう。
Amazon広告を出稿するメリット

Amazon広告には、他の広告媒体にはない独特のメリットがあります。具体的なメリットは、以下のとおりです。
- 数百万人のユーザーに対してアプローチできる
- コンバージョンに近いユーザーにリーチできる
- Amazonの膨大なデータを利用したターゲティングが可能
- 出品中の商品の検索順位アップにつながる
それぞれのメリットについて、詳しく見ていきましょう。
数百万人のユーザーに対してアプローチできる
Amazon広告の最大のメリットは、数百万人にも及ぶ国内ユーザーに対してアプローチができる点です。
Amazonは、日本国内だけでも膨大なユーザーベースを持っており、Amazon広告を活用することで、これらの顧客に効率的にリーチできます。
コンバージョンに近いユーザーにリーチできる
Amazon広告では、購買に直結しやすいユーザーにアプローチできる点も大きなメリットです。
Amazonを利用するユーザーの多くは、すでに購入する商品を決めていたり、具体的な商品を探していたりと、購買意欲が高まっている状態でサイトを訪れています。
そのため、広告をクリックしたユーザーが実際に商品を購入する確率(CVR)も他の媒体と比べて高いのが特徴です。
一般的なディスプレイ広告では認知獲得が主な目的となりますが、Amazon広告では直接的な売上につながりやすく、ROI(投資収益率)の観点からも高い成果を期待できます。
Amazonの膨大なデータを利用したターゲティングが可能
Amazonは利用者の購買履歴、閲覧履歴、検索履歴、興味関心などの豊富なデータを保有しており、広告運用においても詳細なターゲティングができます。
例えば、過去にゲーム関連商品を頻繁に購入しているユーザーに対して、新しいゲーム機器の広告を配信するといった具合に、興味関心だけでなく実際の購買行動に基づいたターゲティングが可能です。
また、リスティング広告の場合、今商品を買いたいと思っていないユーザーにも広告が配信されるため、購買意欲が低いユーザーに対して広告費を使用してしまう可能性が高くなってしまいます。
その点、Amazon広告では「今買いたい!」と思っているユーザーに対して広告を配信でき、購買意欲が低いユーザーに対しての広告費を抑制可能です。
出品中の商品の検索順位アップにつながる
Amazon広告を活用することで、検索結果における商品の掲載順位の向上も期待できます。
Amazonの検索順位は、商品詳細ページの閲覧数、販売数、レビュー数などを総合的に評価し、A10という独自のアルゴリズムにより決定されています。
そのため、Amazon広告により商品の露出が増え、これらの指標が改善されると、結果として自然検索での上位表示につながるのです。
Amazon広告の種類

Amazon広告には以下のようにさまざまな広告形式が用意されており、それぞれ異なる特徴と用途を持っています。
種類 | 広告タイプ | 課金方式 | 掲載場所 |
---|---|---|---|
スポンサープロダクト広告 | 検索連動型 | クリック課金 | 【Amazon内】 商品検索結果ページ 商品詳細ページ 【Amazon外】 Amazonと提携している第三者のサイトAmazon所有管理サイト |
スポンサーブランド広告 | 検索連動型 | クリック課金 インプレッション課金 | 【Amazon内】 商品検索結果ページ トップページ |
スポンサーディスプレイ広告 | ディスプレイ型 | クリック課金 インプレッション課金 | 【Amazon内】 商品検索結果ページ 商品詳細ページ トップページ 【Amazon外】 Amazonと提携している第三者のサイト TwitchやIMDbなどのAmazon所有管理サイト |
スポンサーTV広告 | 動画型 | インプレッション課金 | Amazon Prime Video Twitch FireTV |
ここからは、代表的な広告として、4つの広告形式の特徴と活用方法を詳しく解説します。
スポンサープロダクト広告
スポンサープロダクト広告は、主に検索結果ページや商品詳細ページに表示され、設定したキーワードで検索された際に配信される検索連動型の広告です。
広告が自然検索結果と同じように表示されるため、ユーザーに違和感を与えることなく商品を目立たせることができます。
課金方式はクリック課金制で、費用対効果が高いのもメリット。Amazon広告初心者でも比較的簡単に設定できるため、初めての広告運用にもおすすめです。
なお、スポンサープロダクト広告におけるターゲティング方法には大きく以下3つがあります。
ターゲティング | 詳細 |
---|---|
マニュアルターゲティング(キーワード) | Google広告やYahoo!広告の検索連動型広告と同様に、特定のキーワードを手動で選択し、検索結果と商品詳細ページに商品を表示させることができます。 |
オートターゲティング | Amazon Adsが自動的に、関連するキーワードや類似商品と広告をマッチングさせる機能です。過去の検索クエリと商品情報に基づいて動作します。 |
コンテキストターゲティング(旧:商品ターゲティング) | 特定の商品、カテゴリ、ブランド、その他の商品特性をターゲティングするターゲティングの一種です。個別商品または全カテゴリをターゲティング可能です。 |
また、これらのターゲティングでは、「ネガティブターゲティング」も可能です。
ネガティブターゲティングとは、パフォーマンスを最適化するために不要なキーワード、商品、ブランドを除外する設定のことです。
訴求不要なターゲットを除外して無駄なクリックを防ぐことで、ROASの改善につなげることができます。
スポンサーブランド広告
スポンサーブランド広告は、ブランドロゴと複数の商品を同時に表示できる広告形式です。
検索結果の上部やサイド枠に表示され、最大3つの商品を一度に訴求できるため、ブランド認知度向上に効果的です。
また、広告欄にはカスタマイズ可能な見出しやブランドロゴを表示できるため、ブランドのイメージを強く印象づけることができます。
ターゲティング方法としては以下が利用可能です。
ターゲティング | 詳細 |
---|---|
マニュアルターゲティング(キーワード) | Google 広告や Yahoo! 広告の検索連動型広告と同様に、特定のキーワードを手動で選択し、検索結果と商品詳細ページに商品を表示させることができます。 |
オートターゲティング | Amazon Adsが自動的に、関連するキーワードや類似商品と広告をマッチングさせる機能です。過去の検索クエリと商品情報に基づいて動作します。 |
単一商品ではなく、ブランド全体の認知度向上や複数商品の同時訴求を目指す場合に適した広告形式です。
スポンサーディスプレイ広告
スポンサーディスプレイ広告は、Amazon内だけでなく外部サイトにも配信される広告形式です。
商品詳細ページや関連商品の表示エリア、さらにはAmazon以外のWebサイトやアプリにも広告を表示できます。
この広告の特徴は、購買履歴や閲覧履歴を活用した高精度なリターゲティングが可能な点です。
ターゲティングオプションとしては、以下2つが用意されています。
ターゲティング | 詳細 |
---|---|
コンテキストターゲティング(旧:商品ターゲティング) | 特定の商品、カテゴリ、ブランド、その他の商品特性をターゲティングするマニュアルターゲティングの一種です。個別商品または全カテゴリ(例:「女性用ランニングシューズ」)をターゲティング可能です。 |
オーディエンスターゲティング | 過去の行動データに基づいたユーザーに広告を配信します。 |
課金方式はクリック課金とインプレッション課金の両方を選択でき、目的に応じて使い分けが可能です。
スポンサーTV広告
スポンサーTV広告は、Prime VideoやTwitch、Fire TVなどのストリーミングサービスで配信される動画広告です。比較的新しい広告形式で、近年動画コンテンツの視聴が増加する中で注目を集めています。
通常のテレビCMと同様の動画クリエイティブを活用して、ブランド認知度の向上やリーチ拡大を図ることができます。
課金方式はインプレッション課金制で、ブランド認知度向上や幅広いリーチを目的とする場合に効果的です。
また、ターゲティング方法としては以下のものが用意されています。
ターゲティング | 詳細 |
---|---|
デモグラフィックターゲティング | 年齢、性別などの属性に基づく配信 |
興味関心ターゲティング | 興味関心に基づいたターゲティング |
購買行動ターゲティング | 過去の購買履歴に基づいた配信 |
ライフスタイルターゲティング | ライフスタイルや行動パターンに基づく配信 |
Amazon広告の出稿条件
Amazon広告を出稿するには、広告の種類に応じて異なる条件を満たす必要があります。
種類 | 主な出稿条件 |
---|---|
スポンサープロダクト広告 | ・大口出品者 ・おすすめ商品の資格を満たしている |
スポンサーブランド広告 | ・大口出品者 ・Amazonブランド登録をした出品者 |
スポンサーディスプレイ広告 | ・大口出品者(米国ベータ版では不要) ・Amazonブランド登録をした出品者 |
スポンサーTV広告 | ・大口出品者 ・Amazonブランド登録をした出品者 |
なお、すべてのスポンサー広告において、「大口出品」での登録が基本条件となります。
小口出品では広告機能を利用できないため、事前に大口出品への切り替えが必要です。
Amazon広告出稿までの流れ
Amazon広告を開始するまでの基本的な流れは以下のとおりです。
- Amazon大口出品アカウントの準備
Amazon Seller Centralにログインし、大口出品者として登録します。 - 商品の出品・最適化
広告対象となる商品を出品し、商品詳細ページを充実させます。 - 広告キャンペーンの作成
Amazon Advertising コンソールから新しいキャンペーンを作成します。 - ターゲティング設定
キーワードや商品ターゲティングなど、適切なターゲティング方法を選択します。 - 予算・入札額の設定
日予算や入札額を設定し、広告配信をスタートします。 - 広告パフォーマンスの監視・最適化
配信開始後は定期的にパフォーマンスを確認し、必要に応じて調整を行います。
Amazon広告は設定が比較的シンプルで、初心者でもスムーズに開始できる仕組みが整っています。
Amazon広告の運用ポイント

Amazon広告で成果を最大化するためには、以下のようなポイントを押さえることが大切です。
- 商品詳細ページの内容を充実させる
- 季節やセールを狙って出稿する
- 適切な予算を設定する
- 運用代行サービスに依頼する
それぞれのポイントについて、詳しく見ていきましょう。
商品詳細ページの内容を充実させる
Amazon広告では、ユーザーが広告をクリックした後に商品詳細ページに遷移するため、商品詳細ページの品質が成果にも直接影響します。
そのため、以下のような対策を行い、商品詳細ページの内容を充実させることが大切です。
- 商品画像は複数枚用意し、さまざまな角度から商品を紹介する
- 商品説明文で商品の特徴やメリットを具体的に記載し、顧客の疑問や不安を解消する
- レビューを積極的に集めることで、商品の信頼性を高める
商品詳細ページの最適化は、広告の効果を最大化するための基盤となる重要な要素です。
季節やセールを狙って出稿する
Amazonでは年間を通じてさまざまなセールイベントが開催されており、これらの時期を狙った広告配信は非常に効果的です。
プライムデーやサイバーマンデー、年末年始セールなどの大型セールでは、ユーザーの購買意欲が通常時よりも高まります。
また、季節商品については販売シーズンに合わせて広告費を集中投下することで、効率的に売上拡大を狙えるでしょう。例えば、暖房器具は冬季、エアコンは夏季に需要が高まるため、これらの時期に合わせて広告活動を強化するのが効果的です。
ただし、セール期間中は競合他社も広告配信を強化するため、事前の準備と適切な予算配分が欠かせません。
適切な予算を設定する
Amazon広告では、適切な予算設定が運用成功の重要な要素となります。
一般的な費用相場として、個人事業主規模では月額3万円〜10万円程度、中小企業では月額10万円〜50万円程度、大企業では月額50万円以上を目安にするとよいでしょう。
ただし、業界や商品カテゴリによってクリック単価は大きく異なるため、実際の運用を通じて最適な予算を見つけることが重要です。
例えば、初期段階では少額からテスト配信を行い、ACoS(広告費売上比率)やROAS(広告費用対効果)を確認しながら段階的に予算を拡大していくのがおすすめです。
商品価格に対して広告費が適切な割合になるよう、利益率を考慮した予算設定を心がけましょう。
運用代行サービスに依頼する
Amazon広告の運用は、専門知識と継続的な最適化作業が求められます。
それなりの社内リソースも必要になるため、「自社で運用するのが難しい」という場合は、広告運用代行サービスの活用も検討しましょう。
運用代行を利用することで、以下のようなメリットが得られます。
- 専門知識を持つ担当者による効率的な運用
- 最新のアルゴリズム変更への迅速な対応
- データ分析に基づいた戦略的な改善提案
- 社内工数の削減と他業務への集中
運用代行サービスを選択する際は、Amazon広告の実績と専門性、提供サービスの範囲、料金体系などを総合的に比較検討することが重要です。
なお、クロスリスティングではAmazon広告の運用支援を行っています。分析・提案・実行までワンストップでサポートしますので、お気軽にご相談ください。
まとめ
Amazon広告は、初心者でも始めやすく、購買意欲の高いユーザーに効率的にアプローチできる優れた広告媒体です。
スポンサープロダクト広告、スポンサーブランド広告、スポンサーディスプレイ広告、スポンサーTV広告といった広告形式が用意されており、事業の目的に応じて使い分けることができます。
成功のポイントは、商品詳細ページの最適化、適切なタイミングでの広告配信、データに基づいた継続的な改善です。
Amazon市場での競争が激化する中、広告活用は売上拡大のための必須の施策といえるでしょう。
まずは小規模なテスト配信から始めて、自社商品との相性を確認しながら段階的に運用規模を拡大していくことをおすすめします。