Amazon Ads Brand+(ブランドプラス)とは?仕組みから最新機能、事例まで徹底解説
現代のプログラマティック広告運用において、マーケティング担当者が直面する最大の課題は二つあります。
一つは、ターゲティングの複雑化です。サードパーティCookieの非推奨化が進む中で、精緻なオーディエンスセグメントを構築・維持することがかつてないほど困難になっています。もう一つは、キャンペーン構築・最適化にかかる工数の肥大化です。従来のDSP(デマンドサイドプラットフォーム)では、約70ステップに及ぶ手動設定が標準的な運用として求められていました。
Amazon Adsが提供するAI駆動型の広告ソリューション「Brand+」は、この二つの課題に対するAmazon固有のアプローチとして登場しました。
本記事では、Brand+がいかにして膨大なファーストパーティシグナルと予測AIモデル(AdRelevance)を組み合わせ、従来の複雑な手動設定を数クリックの自動化ワークフローへと変革したのかを、技術的背景から実際のキャンペーン設定手順、成功事例まで解説します。
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Amazon Ads Brand+とは

Brand+は、Amazon DSP(Demand Side Platform)内に組み込まれたAI駆動型の広告ソリューションであり、Amazonが保有する膨大なファーストパーティデータを活用してキャンペーンパフォーマンスを自動的に最適化するシステムです。
その主な役割は、ブランド認知とエンゲージメントの促進、すなわち将来の顧客になり得る潜在層を事前に特定して関与させる「プロスペクティング(見込み客開拓)」施策の提供にあります。
ここで言うプロスペクティングとは、現時点ではまだ商品に関心を持っていない、あるいはブランドを知らない潜在消費者を広告配信の対象とし、初期の認知・興味形成を図るアッパーファネル施策を指します。
従来のリマーケティングやリターゲティングが「すでに関心を示したユーザー」を追いかけるのに対し、プロスペクティングは「これから関心を持つ可能性のあるユーザー」を予測的に特定することに価値があります。Brand+はまさにこのプロスペクティング施策に特化したプロダクトとして設計されています。
AI駆動によるオーディエンスターゲティングの自動化
Brand+の中核技術は、Amazonの独自の機械学習(ML)エンジンです。
このモデルは、数十億に及ぶリアルタイムおよび過去のショッピングシグナル(閲覧履歴、検索行動、購買傾向など)を匿名化した状態で解析し、ブランドに対して関心を示す可能性が最も高いオーディエンスを自動的に抽出します。広告主が手動でセグメントを構築・管理する必要はなく、AIがリアルタイムで最適な配信対象を特定し続けます。
この仕組みが機能する背景には、Amazonが世界最大規模の購買意図データを保有しているという事実があります。Amazon.comおよびAmazonが運営するサービス上での行動データは、単なる「趣味関心」の推測にとどまらず、実際の購買プロセスに紐付いた高精度なインテントシグナルであり、他の広告プラットフォームとは質的に異なるターゲティング精度の源泉となっています。
キャンペーン管理プロセスの劇的な簡略化
従来のプログラマティック広告やDSPでは、入札額の微調整、配信面の手動選択、オーディエンスセグメントの掛け合わせなど、約70ステップに及ぶ複雑な設定が標準的な運用として求められていました。
Brand+は、広告主が目標(KPI)を設定するだけで最小4ステップでキャンペーンが立ち上がる自動化ワークフローを実現しており、設定の負荷を根本的に削減しています。
ただし、AIによる自動化が進行する一方で、広告主が主要なガバナンスを手放すわけではありません。フリークエンシーキャップ(消費者への広告露出頻度の制御)、ブランドセーフティ設定、配信地域(ジオグラフィ)、インベントリ(広告枠)の選択といった重要な管理項目は広告主側に保持されます。
「AIにすべてを委ねることでブランド価値が毀損されるリスクがあるのではないか」という懸念に対して、Brand+のシステム仕様はAIによる最適化と広告主によるブランド管理を並立させるハイブリッドな構造をとっており、AIが安全な範囲内で配信を最適化する設計になっています。
プレミアムインベントリへのアクセスと導入効果
Brand+を通じた広告配信先は、Amazon.com内にとどまりません。Thursday Night Football、Prime Videoオリジナルコンテンツ、Prime Videoの広告付き無料視聴コンテンツ(旧Freevee)、Twitchに加え、サードパーティのプレミアムストリーミングパートナーへのアクセスも可能であり、ブランドセーフな高品質環境での露出を確保できます。
導入効果として、Amazonの内部データ(14日間ルックバックウィンドウ)に基づく定量的な実績値が公表されています。プロスペクティング施策の導入により、詳細ページ閲覧数(DPV:商品詳細ページへのアクセス数)が+71%、ブランド新規顧客(NTB:そのブランドを初めて購入する顧客)のDPVが+42%、カート追加率が+63%、購入完了率が+64%向上しています。
出典:Amazon AdsのBrand+が世界中で利用可能に | Amazon Ads
これらの数値は、認知段階のアッパーファネル施策が最終的な購買行動にまで影響を及ぼすことを示すデータです。
Performance+との違い
Brand+と対になる存在が「Performance+」です。
Performance+は、即時のコンバージョン成果、例えばROAS(Return on Ad Spend:広告費用対効果)やCPA(Cost Per Acquisition:顧客獲得単価)を最大化するために設計されたボトム・ミッドファネル向けのソリューションです。すでに商品市場に参入しており、積極的に購買を検討している顕在顧客に対してリーチすることを主目的としています。
Brand+とPerformance+は、それぞれが実行する「施策(Tactic)」によって明確に区別されます。
Brand+が担う施策は「プロスペクティング」、つまり類似オーディエンスや興味関心層など、将来の顧客を予測的に特定することの一点に集中しています。一方、Performance+は「新規顧客獲得」「リマーケティング」「リテンション」「検索」「統一検討戦術(Unified Consideration)」という5つの施策を網羅しており、購買ファネルの中間から下位にかけて幅広くカバーします。
両者の違いを整理すると以下のようになります。
| 比較項目 | Brand+(ブランドプラス) | Performance+(パフォーマンスプラス) |
|---|---|---|
| 主な目的 | 長期的なブランド認知の構築とエンゲージメント促進 | 即時のコンバージョン獲得・売上推進 |
| ターゲット層 | 製品市場に参入する前の潜在顧客(アッパーファネル) | 積極的に購入を検討している顕在顧客(ボトムファネル) |
| AIが実行する主な施策 | プロスペクティング | 新規顧客獲得、リマーケティング、リテンション、検索、検討 |
| 最適化指標(KPI) | リーチ、フリークエンシー、CPVC(動画完了単価)、VCR(動画完了率) | ROAS、CPA、CTR、CPDPV(詳細ページ閲覧単価)、DPVR |
| 広告フォーマットの傾向 | STV(ストリーミングTV)、OLV(オンラインビデオ)、オーディオ、高インパクトディスプレイ | パフォーマンス重視のディスプレイ広告・動画広告 |
2つのツールは単独でも機能しますが、連携させることでシームレスなフルファネル戦略を構築できます。
Brand+のプレミアムストリーミング広告(CTV等)を通じて初期の認知を形成すると、そこでエンゲージメントを示したユーザーのシグナルをAIが学習します。その後、Performance+がディスプレイ広告やビデオ広告を通じて最適なタイミングでリターゲティングを実行し、コンバージョンへと誘導します。
単独利用の場合でも、事業の成長フェーズに応じた活用が可能です。
新規顧客のパイプラインを広げる段階ではBrand+によるプロスペクティングが主軸となり、既存のトラフィックを刈り取る段階ではPerformance+のリマーケティング・リテンション施策が中心となります。ただし、CPA効率の最大化という観点では、両者のデータ連携が機能してこそ真の価値が発揮されます。
この効果を実証する代表的な事例として、H&R Block(米国の税務サービス会社)の取り組みがあります。確定申告シーズン中にBrand+とPerformance+を併用した結果、フルファネルでのコンバージョン率が144%向上し、CPAが35%改善するという定量的な相乗効果が確認されています。
Performance+単体での導入効果としても、Amazonで販売を行うエンデミック広告主(Amazon出品者)においてROASが最大34%増加し、Amazon外で販売を行うノンエンデミック広告主においてCPAが68%向上するというデータが存在します。これらの数値は、フルファネル統合によってさらなる改善余地があることを示す基準値として機能します。
出典:強化されたマーケティングとインサイトでビジネス成果を向上 | Amazon Ads
2026年4月の最新アップデート

2026年4月30日付のリリースでは、Brand+およびPerformance+に対して7つの新機能が順次ロールアウトされました。以下では、各機能の仕様と定量的効果を順に解説します。
Audio for Brand+(オーディオ広告のオープンベータ)
通勤、エクササイズ、料理中といった「画面を見ていない環境」にいるオーディエンスへのリーチ拡大を目的として、「Audio for Brand+」がオープンベータ版として提供開始されました。このフォーマットは、標準的なSTV(ストリーミングTV)キャンペーンと比較してインクリメンタルリーチ(既存フォーマットでは届かない純増リーチ)が平均43%以上増加するという実績データが示されています。
また、音声広告とその他のAmazon Adsフォーマットを組み合わせると、ブランド検討率が1.8倍、購入意向が2.2倍に向上し、特に動画広告と組み合わせた場合のROAS効率は6.7%〜8.7%向上します。配信面としては、Amazon Publisher Direct(APD)経由のファーストパーティおよびサードパーティサプライを基盤としつつ、Spotifyなどのサードパーティエクスチェンジ(3PX)ディールを手動追加することも可能です。
Video Generator OLV Upsell(動画自動生成のオープンベータ・米国)
「動画クリエイティブを社内で制作するリソースがない」というハードルを根本的に解消する機能として、「Video Generator OLV Upsell」が米国向けオープンベータとして提供されました。広告主が既存の動画クリエイティブを保有していない場合でも、AIが推奨ASIN(商品識別コード)の商品データを元に、放送品質のOLV(オンラインビデオ)広告を約5分で自動生成します。
定量的効果として、ディスプレイ広告のみのキャンペーンにこのAI生成OLVを追加することで、DPVR(詳細ページ閲覧率:広告接触後に商品詳細ページを閲覧した割合)が210%上昇し、ブランド指名検索率が145%上昇するというデータが公表されています。クリエイティブ制作コストと時間を大幅に圧縮しながら、動画フォーマットによる高い視聴エンゲージメントを享受できる点が本機能の主要な価値です。
なお、Amazonの専門チームによる音声クリエイティブ制作支援も、適用条件を満たした広告主に対しては追加料金なしで利用可能なサポートエコシステムが整備されています。
Brand+ for Live Events Optimizer(ライブイベント最適化)
Thursday Night Footballをはじめとするライブスポーツやライブイベント配信は、放映開始と同時に視聴者数が急増する特性を持つプレミアムインベントリです。「Brand+ for Live Events Optimizer」は、このような瞬間的な視聴者急増に対応するAIペース設定機能であり、中継のピーク時に広告配信を自動的に集中させることでリーチ効率を最大化します。2026年5月14日に全世界でGeneral Availability(GA:一般提供)が開始される予定です。
Automated REC Integration(自動REC連携、全世界でGA)
注文レベルのASINから、レスポンシブeコマースクリエイティブ(REC:商品情報に基づいてサイズや配信環境に応じて自動調整される広告フォーマット)を自動生成し、キャンペーンラインアイテムにシームレスに関連付ける機能が全世界でGA(一般提供)となりました。これによりクリエイティブのセットアップ工数がさらに削減され、特に多数のASINを運用するエンデミック広告主にとって実務的な価値が大きい機能です。
Unified Consideration Tactic(統一検討戦術)
Performance+に新たに設けられたミッドファネル向けの戦術として「Unified Consideration Tactic(統一検討戦術)」が実装されました。積極的に購入を検討している消費者——意思決定の重要な転換点にいるユーザー——に対し、DPVR(詳細ページ閲覧率)とCPDPV(詳細ページ閲覧単価)を最適化しながらアプローチする施策であり、Brand+のプロスペクティングからボトムファネルのコンバージョン施策へのブリッジとして機能します。
CPSU Customer Acquisition(Prime Videoチャンネル登録最適化)
メディア・エンターテインメント業界向けの特化機能として「CPSU Customer Acquisition」が追加されました。Prime Videoチャンネルの登録者獲得に向け、ディスプレイ、OLV、STVを横断してサインアップ単価(CPSU:Cost Per Sign-Up)を自動最適化します。サブスクリプション型ビジネスモデルにおいて、特に新規登録獲得を主要KPIとする広告主に適した機能です。
Remarketing/Retention for Consideration KPIs
これまでリマーケティングとリテンション施策の最適化指標はコンバージョン系KPIに限定されていましたが、今回のアップデートにより、CTR(クリック率)、CPC(クリック単価)、DPVR(詳細ページ閲覧率)といった「検討段階」のKPIを目標に設定できるようになりました。コンバージョンには至っていないものの、商品への関心が高いオーディエンスに対してより広範なアプローチが可能となり、ファネル全体を通じた最適化の柔軟性が向上しています。
出典:
Brand+機能とPerformance+機能でリーチと結果を拡大 | Amazon Ads
強化されたマーケティングとインサイトでビジネス成果を向上 | Amazon Ads
利用対象者と対象地域
機能別の提供地域(2026年時点)
| 機能名 | ステータス | 提供地域・対象国 | 対象となる広告主要件 |
|---|---|---|---|
| Brand+ / Performance+ 基本機能 | 全世界でGA | 北米(米・加・メキシコ)、南米(ブラジル)、欧州(英・独・仏・伊など16カ国)、中東(UAE・サウジなど8カ国)、APAC(日本・豪州・中国・インドなど6カ国) | エンデミック・ノンエンデミック双方 |
| Audio for Brand+ | オープンベータ | 米国、カナダ、英国、ドイツ、スペイン、イタリア、フランス、メキシコ、ブラジル(※日本は3PXディールのみ手動対応) | すべてのBrand+広告主 |
| Video Generator OLV Upsell | オープンベータ | 現在は米国のみ(2026年Q2に海外展開予定) | エンデミックなBrand+またはPerformance+広告主 |
| Brand+ for Live Events Optimizer | 全世界でGA(2026年5月14日〜) | 全世界 | Brand+ STV広告主 |
日本を含むAPAC地域においては、Brand+/Performance+の基本機能への全面アクセスが確保されており、Audio for Brand+については3PXディールを手動追加する形での対応が現時点では求められます。
Brand+キャンペーンの設定手順

Brand+キャンペーンの設定手順を解説します。
事前準備とアクセス方法
Brand+のキャンペーン設定は、Amazon DSPのセルフサービスUIから直接実施できます。APIを介したプログラムによるエンドポイント連携も可能であり、大規模な代理店が複数クライアントの運用を自動化する用途にも対応しています。
ステップ1:ゴールと最適化の設定
キャンペーン作成画面の「Goal and optimization(ゴールと最適化)」セクションにて、達成したいメディアタイプと目標を選択します。Brand+の「プロスペクティング」戦術を適格(eligible)にするためには、キャンペーン目標を「認知(Awareness)」または「検討(Consideration)」に設定することが必須条件です。この選択がAIに対してアッパーファネル最適化を指示する起点となります。
ステップ2:KPIの定義
Brand+の最適化エンジンが目標とするKPIを選択します。「リーチ(Reach)」「頻度(Frequency)」「動画完了単価(CPVC)」「動画完了率(VCR)」の中から、自社のキャンペーン目的に合致するものを指定します。ブランド認知の最大化を優先する場合はリーチ、特定ターゲットへの反復露出を重視する場合は頻度をKPIとして選択するのが一般的な指針です。
ステップ3:コンバージョントラッキングの関連付け
このステップは、AIに「成功」の定義を教えるための最も重要な設定です。エンデミック広告主は対象となる「推奨商品ASIN」を設定し、ノンエンデミック広告主はAmazon外コンバージョンイベントを設定・紐付けます。このトラッキング設定が不完全な場合、AIの学習データが不足し最適化の精度が著しく低下するため、設定の正確性が全体の成果を左右します。
ステップ4:設定の保存とAI生成戦術の確認
設定を保存すると、Amazon DSPのAIが入力内容を解析し、キャンペーン内の広告グループに対して最も適格な戦術(Brand+のプロスペクティング等)を自動的に生成・推奨します。管理画面のテーブルに「戦術ウィジェット(tactic widget)」のタグが正しく表示されているかを確認してください。
設定に不備がある場合は、ASINやコンバージョンイベントの追加を求める警告アラートが表示されるセーフティ機構が働く仕様となっており、不適切な設定のまま配信が継続されるリスクは構造的に排除されています。
ステップ5:インベントリ要件の充足と有効化
OLV(オンラインビデオ)やディスプレイ広告を使用する場合、サードパーティエクスチェンジやAmazon Publisher Direct(APD)などのインベントリグループを選択します。すべての設定が完了したら、「Video, Audio & Display ads」タブから該当広告グループの「Active(アクティブ)」トグルをオンにして配信を開始します。
フェイルセーフ機能:自動停止と自動再開の仕組み
キャンペーン稼働中、ユニークユーザー数がAIの最適化に必要な「最小オーディエンスサイズ要件」を下回った場合、無駄な予算消化を防ぐために広告グループが自動的に一時停止(サスペンド)し、要件を満たした段階で自動再開するシステムが組み込まれています。「設定に不備があった場合、効果の薄い配信が継続してしまうのでは」という運用者の不安に対して、前述の事前アラートとこの自動停止機能という二重の保護メカニズムが機能する設計となっています。
成果を最大化するベストプラクティスと成功事例
事例1:Blueair(Unilever)
空気清浄機ブランドのBlueair(Unilever傘下)は、自社D2CサイトとAmazonでのパフォーマンスを統合するためにPerformance+を導入しました。Amazon Ad Tag(Amazon広告のコンバージョントラッキングタグ)を有効化し、ディスプレイキャンペーン全体で予測AIモデルを作動させた結果、ROASが176%向上し、CPAが50%削減、前年比売上成長率が66%に達するという成果が記録されています。
この事例が示すのは、AI最適化の効果が広告配信の改善だけでなく、D2CとAmazon両チャネルを統合したビュー構築によってさらに増幅されるという点です。コンバージョンデータをAI学習に統合することが、最終的なROAS改善の起点となっています。
出典:Performance+とBrand+を支える予測AIモデルの仕組み | Amazon Ads
事例2:Thorne
パフォーマンス主導型ウェルネスブランドのThorneは、動画広告の効率性を改善するためにBrand+のアッパーファネル向けフォーマットを活用し、ブランド認知の最大化と高インパクトなエンゲージメントの実現に取り組みました。同社の事例は、ウェルネス・健康食品カテゴリにおいてもアッパーファネル施策が購買サイクルに対して有効に機能することを示しています。
出典:Performance+とBrand+を支える予測AIモデルの仕組み | Amazon Ads
Amazon Marketing Cloud(AMC)との連携
Brand+を用いたブランドリフト効果や間接的なコンバージョン貢献を定量的に計測するためには、「Amazon Marketing Cloud(AMC)」との連携が不可欠です。AMCはクリーンルーム環境(プライバシーを保護した状態でファーストパーティデータを安全に組み合わせ分析できる環境)として機能し、Brand+による認知獲得がその後の検索広告やPerformance+のコンバージョン率にどのような影響を与えたかという深いオーディエンス行動分析を可能にします。
「アッパーファネル施策の費用対効果を社内でどう証明するか」という現場の課題に対しては、Amazon Ad Tag、Amazon Attribution、AMCを組み合わせた「統合ビュー」の構築が有効な回答となります。認知段階の広告接触から最終的な購買完了までの全プロセスをデータとして可視化し、アッパーファネル投資がROASにどのように寄与しているかを定量的に証明するアプローチが、社内稟議やクライアントへの戦略提案における説得力を担保します。
まとめ
Brand+は、単なる「キャンペーン設定の簡易化ツール」ではありません。Amazonが保有する数十億規模のショッピングシグナルと、AdRelevanceに代表される高度な予測AIモデル——顧客エンベディング技術を中核とした意図予測と広告クリエイティブのマッチング——を組み合わせることで、アッパーファネルにおける見込み客の発見とエンゲージメント最大化を実現する革新的なソリューションとして位置付けられます。
そして、Performance+とのシームレスな統合こそが、Cookieレス時代において認知から獲得までを一気通貫で最適化する強力なフルファネル戦略の実体です。H&R Blockの事例が示すように、両者を統合した際の相乗効果——コンバージョン率144%向上、CPA 35%改善——は、単独利用では到達し得ない水準の成果をもたらします。
2026年に実装されたAudio for Brand+(インクリメンタルリーチ+43%)、Video Generator OLV Upsell(DPVR+210%)、Brand+ for Live Events Optimizerなどの最新機能は、マルチフォーマットでのリーチ拡大とクリエイティブ制作コスト削減を同時に実現するものであり、これらを早期に取り込むことが競合に対する実質的な差別化要因となります。
具体的なネクストアクションとして、エンデミック・ノンエンデミックを問わず、まずAmazon Adsのアカウント担当者への問い合わせ、またはAmazon DSPのセルフサービス画面からのキャンペーン設定を開始し、Glass Box AIが生成するインサイトカードのデータを自社の資産として蓄積していくことをお勧めします。
AIが提示するショッパートレイトやコンバージョンまでの時間といったインサイトは、広告運用の改善にとどまらず、商品企画やコンテンツ戦略へのフィードバックループを形成する起点となります。

