比較広告、No.1、日本初…使う前に学びたい広告表現のお作法

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販促・広告企画職であれば、商品やサービスの品質、価格、機能性といった特徴や優位性を把握するのはもちろん、競合内での価値や評判などの情報を逐一チェックするのがルーチンだという方も多いことでしょう。
こうして得た材料を魅力的に料理し、消費者の心をつかむ広告が次々と生まれているわけですが、時には法令違反クレーム炎上などのトラブルに繋がるケースもあります。

この記事では、広告としてのインパクトがありながらも、法令違反や炎上などに注意したい「比較広告」や「優位性を訴求する広告」について、Web広告の審査を担当する筆者の視点から、問題事例を交えつつお伝えします。

広告に携わる方々の気づきであったり、関係者間で話し合うきっかけにしていただけたらという思いでまとめた背景もあり、少し耳の痛い内容が含まれているかもしれません。
違法リスクのある行為や考え方を包み隠さず厳しめの視点で伝えていますが、ご理解いただければと思います。

比較広告とは

比較広告とは、自社と競合他社(の商品やサービス)とを比較し、優位性をアピールする広告手法のこと。
価格や性能などの属性に関して、他社名やブランド名を挙げながら直接的に比較する場合と、実名は伏せて間接的に比較する場合とがあります。

誤解されやすいのですが、比較広告は法的に禁じられているわけではありません。ただしルールに則った比較でなければ景品表示法上で問題となりますので、事前の準備が不可欠です。

比較広告の事例

海外で有名な事例としては、人気飲料の2大メーカーが企画した広告キャンペーンです。
企画した側の企業が、ブラインド・テストによる公開試飲調査を行った上で(競合企業のものより自社製品が)美味しいと大々的に宣伝しました。この広告キャンペーンはアメリカで実施された後に日本でも展開され、大いに注目を集めました。

その他、以下のような事例が話題となりました。ここでは実名による紹介は控えますが、ネットでも話題になっていた件も多く、容易に探せるものもあります。

◆ある場所への移動方法に関して、(他社)鉄道の実名を挙げて(自社)飛行機の速さをアピール
◆競合の自動車メーカーとの衝突回避性能で勝ったという事実を実証映像でアピール
◆ある地域にかける固定電話料金に対して、競合の実名を挙げて自社サービスの安さをアピール

事例はほんの一例ですが、競合社商品のキャッチフレーズやイメージワードを引き合いに出しつつ、(それよりも)自社商品の方が良い、という打ち出し方をするものなど様々なスタイルがあります。

比較広告ではないが、最大級・最上級・絶対的な優位を示す要注意ワード


比較相手の実名を挙げなくても、暗示的に自身がトップであること圧倒的・絶対的な価値や独自性があることなどを訴求する広告表現にもルールがあり、使用の際には注意が必要となります。

最大級、最上級、絶対・圧倒的優位を示す表現例

◆「世界No.1」「国内トップ」「東京都で一番」「首位を独走」
◆「大阪市内で最安値」「業界最短で配送」「最長の10年保証を実現」
◆「世界初」「本邦初公開」「この治療では第一人者」「元祖」「受賞第一号」
◆「最優秀」「最高峰の技術」「最強マシン」「ベストオブイヤー」
◆「唯一」「誰にも真似できない」「当店だけ」「独占状態」

これらの表現はほんの一例であり、こうした言葉であふれた広告も最近では珍しくありません。
ただし使用にあたっては、比較広告と同じく客観的な根拠と事実に基づく正しい表示が必要ですので、安易に言葉だけを真似してトラブルに発展することのないよう気をつけましょう。 

比較広告について、消費者庁が定める3つのガイドライン

比較広告のガイドライン

比較広告については、消費者庁からガイドラインが出されています。以下の3条件を全てクリアできているか確認しておきましょう。

(1)比較広告で主張する内容が客観的に実証されていること。
(2)実証されている数値や事実を正確かつ適正に引用すること。
(3)比較の方法が公正であること。

消費者庁「比較広告に関する景品表示法上の考え方」(比較広告ガイドライン)

比較広告の3条件の中にある「客観的に」「適正に」「公正で」などの言葉が示す具体的な方法がわからなければ、ルールは知っているのに不当広告を掲載してしまうといったミスも起こり得ます。

3条件の具体的な対策については特定の比較相手を明らかにした広告だけではなく、広告で優位性(No.1など)を訴求する際も必要となりますので、次項で詳しく説明していきます。

(1)比較広告で主張する内容が客観的に実証されていること


条件の1つ目にあるの「客観的に実証されている」とはどのような状態や結果を指すのでしょうか。
官公庁や業界団体の勉強会などで同様の質問に触れることもありますが、

  • 調査会社など(第三者)に依頼した調査結果
  • 新聞、雑誌、インターネットメディアによるランキング結果
  • 公的機関が発表したデータなどを元に算出した自社比率
  • 業界団体、会社四季報などが発表している情報

・・・などは「客観的」と見なせる根拠として扱われることが多いようです。

上記はあくまでも一例ですが、利害関係のない第三者が調査・発信しているデータやランキング・受賞歴を正確に引用した訴求であれば特に問題はないと言えるでしょう。
また第三者調査による情報と、自社調査による数値や実績(売上額や顧客数、販売条件、機能・性能など)と組み合わせた独自の調査結果で優位性をアピールする場合にも、自社調査が含まれているからといって必ずしも認められないわけではありません。

(2)実証されている数値や事実を正確かつ適正に引用すること

正確な引用については説明するまでもありませんが、数値であれば都合の良い改ざんや四捨五入などは許されないものと認識しておきましょう。
適正な引用かどうかの考え方についてはさまざまなケースがありますが、数値や事実を引用する際には導き出した条件などをふまえた比較やアピールをすることがまず大事だと思います。

(3)比較の方法が公正であること

例えば自動車の燃費や不動産物件の徒歩所要時間など、業界で調査方法を細かく定められているものがあるのはご存じかと思います。
このような基準には則った上で比較をすること、基準がない場合にはできる限りフェアだと思われる方法でデータや事実を集め、その結果で比較することが肝心です。

比較・優位訴求のNG例

「正確・適正に引用」「比較方法が公正」については各自で印象が異なることと、この2条件には様々なパターンが想定されるため、ここではNGケースを考えてみたいと思います。

  • 業界内での統一基準があるにも関わらず、独自基準での調査による優位訴求
    (自動車の燃費性能など)
  • タイプやクラスなど業界で定められた分類上、異なる分類の他社製品との比較による優位訴求
    (冷蔵庫の省エネ性能など)
  • 特定のジャンルでNo.1と訴求されているが、そのジャンルに競合がほとんど存在しない実態
    (自社製品がNo.1に見えるよう、必要以上に分類を細分化し特定ジャンルを設定する行為)
  • 1日あたりの費用を競合数社と比較したが、自社のみ初回お試し価格での算出
    (競合他社にもお試し価格は存在したが、調査時にその事実を調べず定価を比較対象とした)
  • 寒冷地の雪道におけるタイヤの性能結果をもとに、全方位的な優位訴求
    (国内全地域、一年中優位であるかのような表現を使用)

不動産や食料品、家庭用品、自動車など特定の商材や業界に定められた基準(公正取引協議会などの機関・団体が定めた規約などもそのひとつ)がある場合にはまずそれに従うこと。
もしそのような存在がない場合には、一般的な常識から考えて正当な方法で導かれた結果を比較した優位訴求となるよう注意すると共に、正確な引用とその結果に見合った表示・表現が揃っていれば、景品表示法違反としてすぐさま問題になることは少ないはずです。

仮に指摘を受けたとしても提出できる材料があるので迅速に対応できるでしょう。ルールに則った上でのわずかな認識の相違などであれば、行政からの指摘対応だけで済む場合もありますので、やみくもに心配する必要はありません。

課徴金、数億円?ちょっと盛っただけでは済まない広告の代償

課徴金

過去の記事にも取り上げましたが、景品表示法で禁じられている不当表示(優良誤認表示や有利誤認表示)に該当する広告については、措置命令を受けるだけでなく課徴金の支払いを命じられる場合があります。
広告主は信頼を損なうだけではなく、事業で得た利益の一部を違反の代償として納付しなければならない事態に陥るケースもあることを認識しておきましょう。

※不当表示のすべてが課徴金の対象となるわけではありませんが、特に悪質なものや消費者への影響が大きいケースなど、高額な課徴金を命じられることも少なくありません。

課徴金の支払いを命じられた過去事例

課徴金額 255万円
(衣料品)

「何もしなくても24時間絶食状態」「たった3日でマイナス5kg減量、7日後マイナス10kg」など、身に着けるだけで短期間で容易に痩身効果が得られるかのように訴求していたが、合理的根拠を示す資料がなかった。

課徴金額 4,893万円
(サプリメント)

「ダイエット成功期待度第1位」「(腹部脂肪が)3ヶ月でマイナス15.3㎠」など、摂取すれば誰もが容易に痩せられるかのように訴求していたが、合理的根拠を示す資料がなかった。

課徴金額 4,936万円
(資格取得に関する教育支援サービス)

「通常受講料 120,000円 最大受講料半額以上もお得 59,500円~」と表示していたが、最近かつ相当期間にわたり通常受講料での提供実績は確認できなかった。

課徴金額 4,988万円
(生活トラブルを解決する便利サービス)

「全国1000拠点」「年間実績10万件以上」「官公庁・有名企業御用達」「取材実績あり」などの 他、他社を装った比較サイトでランキング上位サービスとして紹介するなど表示していたが、どれも根拠がなく、事実とは異なる内容であった。

課徴金額 5,020万円
(オンラインゲーム)

「(該当のガチャを獲得することで)究極進化(させる仕様である)」と表示していたが、13種のうち2種しかそのような機能を有していなかった。

課徴金額 8,824万円
(格安SIM通信サービス)

「業界最速」「販売シェアNo.1」などと訴求していたが、表示の裏付けとなる根拠がなかった。

課徴金額 1億886万円
(飲料水)

「おいしく飲んでスリムボディに」「海外でも大注目!日本版スムージーの青汁ダイエット」など、容易に痩身効果が得られるかのように訴求していたが、裏付けとなる合理的根拠を示す資料 がなかった。

課徴金額 4億8,507万円
(自動車)

「国の定める試験方法に基づく燃費性能は25.4km/l」と表示していたが、実際には国の定める試験 方法に基づくものではなく、やり直しをしたところ24.0km/lという結果となった。

 

課徴金には算出基準がある

課徴金支払い命令の事例には様々なタイプがありますが、どんな印象を受けたでしょうか。
ここでは詳細を省いているため、金額と違反内容だけで見ると高額に感じるものがあるかもしれませんが、課徴金の額は一定の算出基準により決められています。

違法行為(不当表示)の開始日から停止日までの期間と、不当表示をやめてから最後に商品を販売した日までの期間を足したもの(※最長でも3年間)が「課徴金対象期間」と呼ばれ、この期間中に違法行為によって得られた利益(企業側の利益額ではなく売上高)がいくらあったかで算出されるのが基本です。
この売上高に対する3%相当が課徴金として支払いを命じられますが、購入者に対する返金を行った場合などには減額される仕組みもあります。

違法行為を認識した時点で速やかに謝罪文を掲載したり、返金対応することでわずかながらでもダメージを抑えることもあると知っておくと良いかもしれません。

課徴金制度については、以下の記事でもご紹介しているので、ぜひこちらも参考にしてみて下さい。

「※自社調べ」は根拠不足?パワーワードを違法・炎上させずに使う方法

炎上広告

広告を出稿するにあたっては(一部の例外はあるものの)基本的に広告主が責任を負います
景品表示法違反による措置命令が出された場合には、消費者庁から企業名と商材名を含む違反の内容を公表されてしまいますので、広告主の事業活動への影響は計り知れません。
また最近では、違反行為について行政指導を受ける前にネットなどで炎上騒ぎとなりイメージを毀損(きそん)したり、対応に追われて実害が発生するケースも増えているようです。

ここでは、広告で良く使用される「パワーワード」が違反となりかねない、グレーゾーンの案件についてご紹介します。

※各事例は全て景品表示法違反と断定したり、違反には該当しないと保証するものではありません。
違反のおそれがある行為・広告となり得るものとして、参考にしていただくことが目的です。

販売実績No.1

自社化粧品に使用されている成分メーカーの担当者から、A成分を含むクリームの販売実績は昨年の市場調査でNo.1と聞いた。知名度の低い成分なので比較対象は少ないが1番は事実なので、「2020年、クリーム販売実績No.1」と見出しに使い、近くに「※A成分配合クリームとして」と補足を追記しておいた。

⇒よく知られてもいない「A成分」を消費者が商品選択の基準にしている可能性は低いため、1位になるために恣意的に対象を絞り込んで操作したと見なされるおそれがあります。消費者としてはただ最も売れているクリームを求めているのだとしたら、ランキング結果が誤認を与えたり、望まない購入に誘導してしまっている可能性は否定できません。

雑誌のランキングで紹介

自社で広告を出稿している雑誌内で展開された「今最も気になる育毛剤ランキング」で2位になったとの知らせがあったので、その事実を広告に使用した。出典元の情報が必要だと思ったので、雑誌の表紙写真を掲載し、正式名称と発売号も明記した。

⇒雑誌名と発売号が根拠だと安心してしまいがちですが、ランキングをどう決めたのか(調査時期や対象者の属性・母数など)を明記することが大事です。
更にこのケースで注意したいのは、客観的に見て公平な調査を実施していると判断できるかどうかです。
スポンサー企業が上位に来るように比較対象や調査条件を操作するなど間違った忖度による不正行為もゼロではないようですので、第三者に疑惑が生まれる内容であれば、広告で引用するのを避けた方が得策かもしれません。

全品半額・打ち消し表示

チラシにインパクトを出すため「全品半額」と大きく記載したが、半額商品には条件があり、条件についてはチラシの最下部(欄外)にしっかり記載したが文字は小さくなった。

⇒大きく目立たせたアピールポイント(強調表示)が絶対的なものではない場合、景品表示法違反のリスクが高いのはもはや常識です。
対象外となる条件や補足を「打消し表示」と呼ぶのですは、この手法が不適切と見なされ措置命令を受けたり課徴金の支払い対象とされた事例は少なくありません。

強調表示の内容とその表現に対して、打消し表示の位置や文字の大きさなどを含めて全体としてどのように見えるか判断されるため、こうしておけば絶対大丈夫といった解決策がありません。
そもそも「全品」ではないのにも関わらず、このように訴求すること自体が問題とも言えますので、広告表現を改めて考えてみてはいかがでしょうか。

顧客満足度No.1・自社調べ

顧客満足度

グループ内にはマーケティング会社があるので、主力商品の酵素サプリに関する調査を依頼した。
インターネットを使い、競合となる大手5社の商品サイトに当社のサイトを混ぜた6社について100名アンケートを取ったところ「満足した(満足できそうな)商品はどれか」の質問については当社が1位となったため「顧客満足度No.1」と広告に出し、調査時期と関連会社名を補足した。

⇒消費者アンケートによるランキング結果を広告に使用する際には特に、調査方法と結果の表現方法を慎重に検討することが重要です。
この件ではまず、広告主の関連企業がアンケート収集に関与しているため、利害関係のない第三者企業への調査依頼以上に公正・公平さを徹底し、トラブル発生時にはそれを説明できるよう準備しておきたいところです。

今回は、同じ商材における大手5社+広告主企業の商品サイトを見てもらった上でのアンケートとのことですが、「大手5社」の選定が作為的だと見なされないよう(同商材における市場調査をもとに)売上実績やシェアなどで1~5位の企業を比較対象としておけば違和感も薄れるでしょう。

また、比較対象選びと共にしっかり考えておきたいのは「満足できそう」という消費者の期待をカウントして結果に混在することについてです。
実際の愛用者アンケートをもとに「顧客満足度90%」などとアピールする広告は珍しくありませんが、化粧品やサプリメントなど何らかの使用感や効果を求めて購入することが前提となる商材の場合には、90%の算出方法(自社調べ)ですら問題視されるケースもあると聞きます。
今回のように(他社を交えた比較で)「印象」しか語れない消費者まで対象人数の母数に含めるのはいかがなものでしょう・・・また、普通の消費者感覚として「顧客満足度No.1」と聞いてどのような印象を持つでしょうか。

商材が酵素サプリである以上、実際に購入し摂取してみて(何らかの理由で)良かったと思えばこそ「満足」なのであり、販売サイトを見せて「良さそう」と思われたのであれば満足ではなく「印象」や「期待」「イメージ」という表現をランキングのタイトルとするのも選択肢のひとつとするのも良いかもしれません。

関係者からは、「顧客満足度No.1」と記載されている箇所に「※」などと補足し調査方法や条件などを明らかにしているから問題ないはずだと考える人が一定数いると思われますが、もう一度考えてみても損はないと思われます。
こんな調査方法だったのか・・・と消費者を失望させないことの方が、強引にNo.1を作り上げるより大事な時代が近づいているはずですから。

地域最多の合格者数

駅前で配布するチラシに「B高校合格者数が地域最多!(2019年)」と記載した。配布した駅を最寄りとする4つの学習塾の合格者を比較した正当な結果である。
隣駅の大手学習塾については合格者数が倍ほどあったが、県をまたぐため対象外とした。

⇒「地域」がどこを指すかあえて明記しないで最多と訴求するのは、不当表示のおそれがあります。
仮にB高校が都道府県立校であり、一般的に通学自体が困難である地域を含む全地域における合格者数調査を行う必要はないと思われますが、隣駅イコール同地域と見なすのに違和感がないため消費者に誤認を与えるおそれが高いからです。

では「※地域最多とは・・駅を最寄りとした4塾での比較」と補足すればセーフかと言うと必ずしもそうとは限りません。調査条件を都合の良く調整しないとNo.1になれないならば、No.1訴求を行わないといった意識を持つことが大事ではないでしょうか。

極端なスタンスを避けることが、違反や炎上へのリスクヘッジになる

リスクマネジメント

違反広告や炎上案件が生まれやすい環境の共通点


ここまでさまざまな景品表示法違反のパターンについてご紹介してきましたが、似たような広告に触れた機会をお持ちの方もいらっしゃるのではないでしょうか。
広告が法令違反や炎上などのトラブルを招いてしまう背景のひとつとしては、効果や反響を高めようと必死になるあまり、リスクを見落としてしまうというケースがあるでしょう。

広告の主体者が必ずしも悪質ではなくても起こり得るため、自らにも無関係ではないと意識しておいた方が有効な対策を立てられます。また消費者目線で広告内容を見直したところ、最悪の事態への予兆や違和感に気づけたというお話を伺ったこともあります。

トラブルは案件条件に左右されるというより、関係者同士のミッション認識のズレ、時間的制約、情報交換不足など調整次第で解決できる要素がじつは大きく影響しているのかもしれません。

ルールを破らなくても刺さる広告、に法則はあるのか

これだけ調べれば、この表現で暗示しておけば、この注釈さえ書けば、法令遵守と「刺さる」広告が両立する・・・そんな攻略法や裏技には残念ながら未だに出会えていません

景品表示法の説明で使われる「著しく優良、有利」「合理的な根拠」「誤認を与えるおそれ」などといった概念を実際の案件に適用するためには、各広告の要素(訴求商材・価格・購入条件、販売ターゲット、商品説明と表現、広告媒体や手法など)を組み合わせて個別具体的に判断する必要があります。
Aという商品広告では許された表現でもBでは違法となることもあり、ネットで広告表現を検索し、安易に真似するなどといった行為がいかに危険かはお分かりいただけると思います。
では結局、何をすれば安全かが分からないのだから、

①安全第一で面白味のない広告を送り出す ②グレーゾーンで炎上しても気にせずリスクを取る

この二者択一になってしまうのかというと決してそんなことはありません。
関係者の絶妙なコントロール次第で、安全な場所へ着地させることもできるのですから。

トラブルを回避できる広告の考え方

トラブル回避の為に

企業規模、事業の性質、従業員・組織の特性、顧客属性、法律専門家の有無、EC化率にSNS活用頻度など、広告主にとって必要な要素を考慮した結果が今につながっていることから考えると、現状の取り組み方を全否定して新しいものを求めても上手くいかないような気がします。

コンプライアンスに対する考え方や事業活動の方針、炎上対策の姿勢などが事業者ごとに異なるのは当然です。更に言えば、企業単位ではなく事業や商材ごとに微調整できればより最適化が図れるかもしれません。

必ずしも正確な情報提供とならないかもしれませんが、わずかでもお役に立てることはないかという思いで、広告に携わる姿勢・取り組みにについて考えてみました。

  • 法律違反となる絶対的な条件を知り、広告表現においてはこれを確実に回避する
  • メリットばかりの広告を目指さず、デメリットや弱点もフェアに扱う(開示する)姿勢を忘れない
  • マイナス体験をした顧客感情に寄り添い、解決方法はないか視野を広げ考え続ける
  • 今日の炎上は明日の賞賛に変わる場合も・・・匿名での批判をやみくもに恐れない
  • 広告表現の判断に自信がない時には専門家に相談する(無料でも助言いただける場はある)
  • 過去の常識や広告セオリーに依存しない。「今」の正解に対して常に敏感でいること

広告という仕事をする上で重要な姿勢は無数にあると思いますが、大きなトラブルとは無縁の広告主やその関係者の方々を思い浮かべると、こうした姿勢やスタンスを感じることがよくあります。

コンプライアンスと「刺さる広告」の両立は、相反する性質を共に生かし切る必要があるほど難易度の高いものですが、それでも考え、行動することこそ唯一の「攻略法」なのかもしれません。

■参考資料(外部サイトへ移動します)
○比較広告や表示ルールに関する参考サイト、資料
1.消費者庁「比較広告に関する景品表示法上の考え方」(比較広告ガイドライン)
2.消費者庁サイト「比較広告について」
3.東京都生活文化局消費生活部取引指導課「知っておきたい広告表示のルール」
○公正競争規約の概要や公正取引協議会に関する参考資料
4.消費者庁パンフレット「よくわかる景品表示法と公正競争規約」
○違反行為への行政対応や違反事例に関する参考サイト、資料
5.消費者庁サイト「景品表示法違反行為を行った場合はどうなるのでしょうか?」
6.消費者庁サイト「景品表示法における違反事例集」

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著者(writer)
Sienca 事務局

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