リスティング広告のキーワード選定方法と注意すべきポイント

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リスティング広告の成功に欠かせないのが、正確かつ効果的なキーワード選定です。しかし、キーワード選定は容易なことではありません。広告運用者にとって、キーワード選定は非常に悩むポイントではないでしょうか。本記事では関連する語句の設定方法やキーワードの精度を上げる方法、グループ化の必要性、設定する際の注意点などを解説します。

リスティング広告でキーワード選びが重要視される理由

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リスティング広告では、適切なキーワード選定が極めて重要です。その理由は、この広告が設定したキーワードにマッチするユーザーにだけ表示されるため、キーワードが不適切だとターゲットに届かず、費用対効果が悪化するためです。

具体的には、以下の3つの理由があります。

第1に、ターゲット層に正確にアプローチするため。第2に、ユーザーにとって関連性の高い広告を表示することで、コンバージョン率を上げるため。第3に、コストを削減するためです。

キーワードが不適切だと、ターゲット以外のユーザーに広告が表示され、コンバージョンに繋がらない可能性があります。自社商品で問題解決できるユーザーに広告を表示するため、正確なキーワード選定が必要です。

例えば、高校入試対策教材の場合、「入試対策」という単純なキーワードでは、大学入試や中学入試の検索時にも表示され、費用対効果が低下します。したがって、正確なキーワード選定が重要となるのです。

リスティング広告のキーワード選定方法

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実際にキーワードを選ぶときにはどのような点に注意すればよいのでしょうか。最も大事なのはターゲットとなる顧客の目線でキーワードを選ぶことです。以下でキーワード選びの5つのポイントについて整理します。

リスティング広告出稿の目的を明確にする

顧客の獲得が目的なのか、Webサイトへのアクセス数を増やしたいのか、認知度を向上させたいのか、コンバージョン率を向上させたいのかによって選ぶべきキーワードが異なります。

これらの目的に対し、どの程度をもって「達成」とみなすのかという具体的な数字の設定も重要です。これらのことを明らかにすることで、無意味な広告出稿を減らすことができます。

ペルソナとペルソナの意図を明確にする

キーワードを選ぶ際、ペルソナを設定するのが効果的です。ペルソナとは、自社の製品やサービスを利用するであろうターゲットを具現化した存在のことです。年齢や名前、性別、などの基本情報や興味関心なども設定し、あたかも特定の人格が存在するかのように設定される人物像を意味します。

こうしたペルソナを設定しつつ、ターゲットがどのようなキーワードで情報を検索するか、顧客の行動を予想します。いわば、顧客となりうるペルソナになりきって、どのような商品やサービスを必要とするか考えます。

こうすることで企業側の「売りたい」「教えたい」情報ではなく、顧客の「知りたい」情報がどのようなものか考察できます。そうすると、自社と競合他社のどちらを選ぶのか、自社に足りないものがどのようなものか見えてきます。

軸となるメインキーワードを決める

リスティング広告において、軸となるメインキーワードを決めることは非常に重要です。設定したペルソナに従い、そのペルソナがどのようなキーワードで検索しそうかを想定してキーワードをリストアップします。

この際、メインキーワードはペルソナが最も頻繁に検索しそうなキーワードになります。このメインキーワードを中心に、ペルソナに関連する複数のキーワードを組み合わせて、キーワードリストを作成します。

キーワード選定の基準は競合性や自社が専門性を打ち出せるかどうか、検索ボリュームがどの程度あるかなどです。しかし、設定したキーワードの検索数が過剰である場合、広告が表示される回数が減り、コンバージョン率が低下する可能性があるので注意しなければなりません。

逆に、キーワード検索数が不十分である場合は、ターゲット層に広告が届かず、費用対効果が低下します。そのため、ペルソナと関連するキーワードを正確に設定することが重要です。

掛け合わせるキーワードを選定する

キーワードの掛け合わせとは、簡単に言えば組み合わせのことです。メインキーワードを軸にして、複数のキーワードを組み合わせることにより、コンバージョン率の向上や費用対効果向上が見込まれます。

選定の基準は、ユーザーの検索意図とキーワードの検索ボリュームです。「旅行 日本」のようなおおざっぱなキーワードから検索意図を読むのは難しいですが、「旅行 山形 秋 名所」と検索していれば、少なくとも、岩手を含む東北地方で紅葉などの秋のレジャーについて探していることがわかります。

自社の広告を表示させるのであれば、上記のようなユーザーの検索意図に沿ったものでなければ、ユーザーにとって意味のないものとなります。

そして、もう一つ大事なのが検索ボリュームです。その語句に関心を持っている人がどの程度いるのか客観的な数字としてつかめます。ただし、あまりに検索数が多い語であれば、競合他社が多すぎて自社の広告が表示できないかもしれません。最初はスモールキーワードから始め、自社サイトの力がついてからビッグキーワードを狙うとよいでしょう。

キーワードの除外や整理を行う

特定のキーワードで検索されたときに広告を表示させない「除外キーワード」は、リスティング広告の重要な機能の1つです。例えば、旅行会社がヨーロッパ観光のリスティング広告を出している場合、日本アルプスの情報を検索しているときにも広告が表示されてしまうと、ユーザーにとっては関係のない情報を表示されたことになり、広告としての効果が失われます。

そのため、除外キーワードを設定することで、特定のキーワードで検索されたときに広告を表示させないようにすることができます。上記の例であれば、「日本アルプス」などの除外キーワードを設定することで、日本アルプスの情報を検索しているユーザーにはヨーロッパ観光の広告が表示されないようにすることができます。

除外キーワードは、広告を出している企業が自ら設定する必要があります。広告を出している企業が想定するユーザーの検索行動を考慮し、適切な除外キーワードを設定することが重要です。ヨーロッパ観光のリスティング広告を出している場合、除外すべきキーワードとしては、「日本旅行」「国内旅行」「温泉旅行」などが考えられます。

除外キーワードを設定することで、広告のクリック率が向上し、費用対効果が高まる可能性があります。除外キーワードの設定には注意が必要ですが、適切に設定することで、リスティング広告の効果を最大化することができます。

選出したキーワードをグループ化する方法

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ここまでは、キーワードの選定方法についてまとめました。ここからは、選び出したキーワードをグループ化する方法について解説します。

グループ化を行う理由と必要性

グループ化する理由と必要性は2つあると考えられます。

1つ目は、それぞれのグループに応じた広告を表示することができるため、よりターゲットに合った広告を表示することができるようになることです。例えば、ある商品に関連するキーワードをグループ化することで、その商品に対する興味のあるユーザーに対して、より詳細な情報を含んだ広告を表示することができます。

2つ目は、広告の配信状況を詳細に把握することができるようになることです。グループ単位で配信状況を確認することで、どのキーワードが効果的であるか、あるいは逆に不要なキーワードがあるかを特定しやすくなります。その結果、広告配信の改善や、無駄な広告費の削減につながります。

このように、キーワードのグループ化を行うと有効な広告グループが作成でき、適切なキャンペーンを展開できるようになります。

グループ化のポイント

グループ化の基準は複数あります。代表的な基準は以下のとおりです。

  • ランディングページで分類
  • 広告の訴求ポイントで分類
  • 意味別の分類

これらを意識してグループ化する必要があります。以下で、具体的なグループ化の方法を解説します。

グループ化の方法

最初に、自社サイト内のランディングページとなる部分と直接リンクする語句をひとまとめにします。学習業界であれば、「塾の特徴」「講習会の内容」「進学実績」などと結びつくランディングページとキーワードを結び付けます。

次に、広告で訴求するポイントと結びつけます。価格や特典、オリジナリティなどと関連する語句とリンクさせます。そして、上記2つのカテゴリに入らない言葉を分類します。

検索クエリを活用したキーワード選定も有効

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検索クエリとは、ユーザーが実際に検索で使用し、広告の表示につながった語句のことです。検索クエリを分析することで、キーワードの修正や追加、除外が可能です。リスティング広告では、ユーザーが入力した検索クエリと広告の表示条件との一致度によって、広告が表示されます。

このとき、広告の表示条件に適合するキーワードが設定されていない場合、広告は表示されませんが、適合するキーワードが設定されていると広告が表示されます。したがって適切なキーワードを設定することが、コンバージョン率の向上に繋がる重要な要素の1つとなります。

また、リスティング広告では、設定したキーワード以外の検索クエリにも広告が表示される場合があります。このとき、広告の表示条件と検索クエリとの一致度が高いほど、広告のクリック率が向上します。広告が表示された検索クエリを収集し、その中から新たなキーワードを選定することで、よりターゲティングの精度を高め、コンバージョン率を向上させられます。

その反対に、検索クエリの中に自社の商品やサービスと結びつかない語句があれば、除外キーワードに指定して広告費の無駄を省きます。

リスティング広告のキーワードマッチタイプの種類

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キーワードのマッチタイプとは、登録したキーワードと検索語句がどの程度「マッチ」したときに広告を配信するかを詳細に決める設定のことです。主なマッチタイプについて解説します。

完全一致

完全一致とは、登録したキーワードと検索語句が完全に一致した時に広告を配信することです。特定ターゲットにピンポイントで広告を表示できるメリットがあります。絞り込みが強まるので限られた相手にしか表示されません。

「大学 受験」を完全一致で登録していると、前後に別の語句が追加されていれば広告が表示されません。「国公立 大学 受験」や「大学 受験 私立」で検索していると、広告が表示されません。

完全一致キーワードは厳密な設定であるため、類似キーワードでも広告が表示されないため注意が必要です。

フレーズ一致

フレーズ一致とは、登録したキーワードを含む類似のキーワードでも広告を表示します。検索する語句の順番が違っていたり、類義語であっても広告表示してくれます。「大学の受験」でも、「大学 受験」でも、「大学受験」でも表示してくれるのがメリットです。

しかし、「大学 受験費用」のように意味が変わってしまう場合は、広告を表示しません。このように、検索語句と登録したキーワードの意味が違うと判断される場合は、広告を表示しないようになっていますので注意しましょう。

部分一致

部分一致は、指定したキーワードと検索ワードが少しでも関連していれば広告を表示します。「大学 受験」のキーワードに対し、「大学 試験」であっても広告表示する可能性があります。

しかし、上記の例でいえば大学受験と大学の試験では意味が異なります。前者は入試を意味し、後者は大学に入ってからの試験を意味するからです。このように、関係性が薄い場合でも表示されるのはデメリットといえます。

リスティング広告のキーワード選びの注意点

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効果的にリスティング広告を表示させるためには、以下のような注意が必要です。それぞれの内容について解説します。

コンバージョンに近く顕在層にアプローチできるキーワードを

顕在層とは自社の商品やサービスに対する関心が高く、利用を検討している人たちのことです。選定したキーワードが顕在層の需要を満たし、次の行動を促しているか意識します。

キーワード選定が甘く、関連性があるだけでキーワード設定をしていれば、思ったほどの成果を上げられないので注意が必要です。

商標キーワードなどはNGとなる場合があるため注意が必要

商標キーワードは、リスティング広告のNGキーワードに指定されています。そうした語句を使用すると、商標権を持つ企業から取り上げるよう申し立てがなされるかもしれませんので注意しましょう。

キーワードは定期的に見直しも必要

設定したキーワードが適切であったかどうか、定期的に見直さなければなりません。検索クエリなどを参考にしつつ、コンバージョンに結びつきにくいキーワードを除外したり、不足しているキーワードを補充したりするなどの行動をとりましょう。

広告運用を開始した後のキーワードの評価方法

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広告は設定して運用したら終わりというわけではありません。むしろ、運用開始後のフォローアップが大切です。そのためにはキーワードを適切に評価しなければなりません。適切な評価の方法について解説します。

CTRをもとに評価する

CTRとはクリック率のことです。自社サイトへの誘導を目的とした広告の場合、クリック率で広告の効果を評価することが多いです。クリック数が多かったとしても、表示されている回数の割りにクリック数が少なければ、クリック率は低くなります。

クリック率が低い広告は表示される割にクリックされていないとみなされ、費用対効果が得られていないと判断されます。クリック率が低い場合はキーワードを見直す必要があります。

CVやCVRをもとに評価する

CVやCVRをもとに評価する方法もあります。自社の商品・サービスに関する広告が1,000回表示され、そのうち20回クリックされ、1件成約したら、CTRは2%、CVRは0.1%となります。

広告の目的はCVの達成であり、CVの割合であるCVRが上昇すれば売り上げに直結します。別な言い方をすれば、CVRが低いうちは売り上げにつながらないため、早急な見直しが必要です。

見直すポイントはキーワードだけではなく、キーワードによって誘導されるランディングページにも及びます。原因を追究し、CVRの向上を目指しましょう。

広告の費用対効果で評価を行う

最後の評価ポイントは広告の費用対効果です。使った予算に対し、どれだけの成果が上がったのかを確認することで、広告の効果を見極めます。

その際は1つの成果を得るためにかかった費用を算出するCPAや広告費に対してどれだけの売り上げが得られたかを算出するROASも評価の基準となります。

リスティング広告運用はキーワード選びが重要!

ターゲットにアプローチするには、顧客のニーズをくみ取れるキーワードの設定が必要です。

キーワード設定のコツや方法を理解し、自社で提供している商品・サービスに強い関心を持つ層を取り込んで、コンバージョン率を向上させましょう。

著者(writer)
Sienca 事務局

リスティングをはじめとした運用型広告など、インターネット広告全般の運用サポートを実施しております。BtoCからBtoBまで様々なクライアント様の広告運用により得た知見を基にブログをお届けします。

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