Pinterest広告(ピンタレストアド)とは?特徴やメリット、種類、ターゲティングについて解説
2022年6月、SNSのPinterest(ピンタレスト)が日本で広告事業を開始しました。世界で4億人以上、日本でも870万人が利用するPinterestは、さまざまなアイデアやインスピレーションを「発見」するツールとして、近年注目されています。
この記事では、Pinterestに広告を掲載することにどんなメリットがあるのか、他のプラットフォームとの違いや、広告の種類、Pinterest広告の始め方などを解説します。
Pinterest(ピンタレスト)とは
Pinterest(ピンタレスト)とは、Web上で見つけた画像や動画をブックマークできるWebサービスです。2010年にアメリカでサービス開始しました。Pinterestの月間アクティブユーザー数は世界で約4億6,300万人(2023年4月時点)、日本でも約870万人(2020年12月時点)の利用者がいます。
ユーザーは、オンライン上で見つけた画像や動画を「ピン」として保存することができます。作成したピンは、テーマごとに作成した「ボード」に集めて整理し、スクラップブックのように眺めたり、他のユーザーと共有したりできます。日本では、1日におよそ300万件のアイデア(ピン)がPinterestに保存されています。
Pinterestのホームフィードには、自分が保存したピンが表示される他、PinterestのAI(人工知能)がユーザーの趣味や嗜好を分析し、興味を持ちそうな画像をパーソナライズして表示します。ピンをクリックすると、画像や動画の掲載元サイトへ遷移できる仕組みになっています。画像を見たユーザーは、ピンに対して「いいね!」とリアクションしたり、コメントしたり、自分のボードに保存(リピン)することもできます。
Pinterestが他のSNSと違う点
Pinterestは「ビジュアル探索プラットフォーム」と呼ばれています。Instagramなど他のSNSは、主に自分に起きた出来事をフォロワーへシェアしたり、身近な人とオンライン上で交流したりする目的で使われています。一方のPinterestは、ユーザー自身が買いたいものや食べたいもの、将来住んでみたい部屋のインテリアなど、新しいアイデアやインスピレーションを探してストックするツールとして、「未来の」「自分のために」使われているのが大きな違いです。
また、他のSNSが投稿する人(アカウント)をフォローするのに対し、Pinterestは投稿しているもの(ボード)をフォローします。タイムライン機能が無いため、他のユーザーがリアルタイムに更新する情報をウォッチすることもありません。
Pinterest利用者の特徴
Pinterestは比較的若い世代に利用されています。利用者のうち60%が女性で、年代別に見るとZ世代が23%、ミレニアル世代が30%を占めています。近年では男性ユーザーの利用も増えていて、2020年から21年にかけては50%増加しています。
Pinterestには購買意欲の高いユーザーが集まっていると言われています。Pinterestの調査によると、Pinterestで検索した10人のうち9人が、商品の購入意欲を持っていると回答しました。また、株式会社ネオマーケティングが2022年に実施した調査によると、Pinterestをきっかけに商品を購入したことのあるユーザーの割合がInstagramに次いで2番目に高い、という結果も出ています。
Pinterest広告(ピンタレストアド)とは
日本でPinterest広告が始まったのは、2022年6月です。Pinterestのホームフィード、検索結果、ピンを拡大表示した際に表示される「似ているピン」に、広告のラベル付きで表示されます。
Pinterestの広告枠は、ホームフィード上でオーガニック投稿と見分けがつかないくらい馴染んでいます。ユーザーは、広告も他のピンと同様、アイデアやインスピレーションの元ととらえるので、広告への忌避感をあまり持たれず、クリックされやすいのも大きな特徴です。
Pinterest広告のメリット
Pinterest広告には、購入意欲の高いPinterestユーザーに対してフルファネルでアプローチできるメリットがあります。Pinterestの上位検索の97%は、ブランドを指定しない「非指名検索」が占めています。「スニーカー 白い」「ワンルーム インテリア」など、積極的に探しているものの、まだ何を買うか決まっていないユーザーが情報を求めてPinterestを利用しています。
潜在層の見込み顧客に向けて、早期の段階から、自社の商品を良質なビジュアルでアプローチできれば、購入のアクションに繋がりやすくなります。
また、Pinterestはテキストのコミュニケーションが少なく、他のSNSによく見られる「SNS疲れ」が起きにくいプラットフォームと言われています。新しいアイデアやインスピレーションを探しているユーザーは、Pinterestをポジティブな気持ちで利用しているので、広告も前向きに捉えてくれるのです。
Pinterest広告に向いている商材・業種
Pinterest広告は、写真や動画など、ビジュアルで訴求しやすい商材に向いています。Pinterestで人気のカテゴリーは「フード」「インテリア」「ファッション」「ビューティー」「DIY」など。ビューティーカテゴリにはヘアスタイルやネイル、DIYカテゴリーにはラッピングや100均アイテムの活用術といったアイデアが集まります。
PinterestはECサイトととても相性の良いサービスです。ECサイトにアップしている写真をピンとして保存し、プロモートすれば、ピンを見たユーザーをワンクリックでECサイトへ誘導できます。写真を気に入ったユーザーがリピンすれば、広告が広く拡散され、他のユーザーの目にも止まりやすくなります。
Pinterest広告は、日本での事業開始当初からECプラットフォーム「Shopify」と連携しています。また、2023年4月にはAmazon広告とのパートナーシップを発表しました。
Pinterest広告の始め方
Pinterest広告は、無料のビジネスアカウントを開設すると始められます。
- ビジネスアカウント・アドアカウントを作成する
- キャンペーン・広告グループを作成する
- 広告を作成する
- Pinterest タグを設置する
Pinterest広告のキャンペーン目的
Pinterest広告では、キャンペーン作成時に5つのキャンペーン目的を選択できます。キャンペーン目的は、認知向上からコンバージョンの獲得まで、マーケティング戦略の各段階に結びついています。
Pinterest広告のフォーマット
Pinterest広告のフォーマットは6種類あり、キャンペーン目的によって使用できるフォーマットが変わります。
スタンダードアド
静止画1枚を使用した広告。写真一つあれば作成でき、最もシンプルで幅広い用途に利用できます。手軽に始められるフォーマットです。
表示エリア | ホームフィード(ホームタブ + おすすめタブ) 検索 関連するピン |
キャンペーン目的 | 認知度 比較検討 コンバージョン |
広告の仕様 | アスペクト比:2:3(1000 x 1500px) ファイルタイプ:PNG または JPEG |
動画アド
動画1本を使用した広告。スタンダードピンと同じ大きさの動画を使用した「スタンダード動画アド」と、フィード2列の幅に表示される「ワイド動画アド」の2種類があります。
表示エリア | ホーム(ホームタブ + おすすめタブ) 検索 関連するピン ※ワイド動画アドが表示されるのはモバイルのみ |
キャンペーン目的 | スタンダード動画アド:認知度、動画視聴、比較検討、コンバージョン ワイド動画アド:認知度、動画視聴 |
広告の仕様 | アスペクト比:スタンダードアド2:3 (縦長動画)、ワイドアド16:9 または 1:1 推奨の長さ:6~15 秒 ファイルタイプ:.mp4、.mov、.m4v |
アイデアアド
料理のレシピや製品の使い方など、複数の画像や動画・テキストを組み合わせ、広告主がアイデアを提案できる広告フォーマットです。クリエイティブは没入型の全画面で表示されます。提携するクリエイターが投稿したコンテンツを広告としてタグ付けすることも可能です。
表示エリア | ホームフィード(ホームタブ + おすすめタブ) 検索 関連するピン |
キャンペーン目的 | 推奨:認知度・比較検討 対応:コンバージョン |
広告の仕様 | アスペクト比:広告は 9:16 で表示されます ファイルタイプ:画像:.BMP、.JPEG、.PNG、.TIFF、.WEBP 動画:.MP4、.MOV、.M4V |
カルーセルアド
「カード」と呼ばれる複数の画像をカルーセル形式で表示させる広告フォーマット。ユーザーは広告をスワイプさせることで次のカードを表示させます。カードごとにURLを設定できます。
表示エリア | ホームフィード(ホームタブ) 検索 関連するピン |
キャンペーン目的 | 認知度 比較検討 コンバージョン |
広告の仕様 | アスペクト比:1:1 または 2:3(1000 x 1500px) 画像:2~5 点 ファイルタイプ:PNG または JPEG(動画と GIF は未対応) |
コレクションアド
複数の商品を1つの広告として掲載することができる広告フォーマット。メインの画像と、最大で24点までの商品を紹介することができます。
表示エリア ※モバイルのみ | ホームフィード(ホームタブ) 検索 関連するピン |
キャンペーン目的 | 認知度 比較検討 コンバージョン カタログ販売 |
広告の仕様 | アスペクト比:1:1 または 2:3(1000 x 1500px) メイン広告素材:画像または動画 1 点 画像:1:1 または 2:3 動画:推奨の長さは 6~15 秒 サブ広告素材:推奨は画像 4 点(最大 24 点) ファイルタイプ:PNG または JPEG(画像)、または .mp4(動画) |
ショッピングアド
商品フィードを利用した広告フォーマットです。価格などの商品情報を掲載できます。ショッピングキャンペーンやダイナミックリターゲティングと併用することで、Webサイトを訪問したユーザーや、カートに商品を入れたままのユーザーをPinterest上でターゲティングできます。
表示エリア | ショッピング検索 関連するピン 商品の詳細ページ(PDP) 拡大表示からショッピング ショッピングスポットライト ショッピングリスト |
キャンペーン目的 | カタログ販売 |
広告の仕様 | アスペクト比:2:3(1000 x 1500px) ファイルタイプ:PNG または JPEG |
Pinterest広告の費用
Pinterest広告は運用型広告で、費用は全てオークション形式で決まります。請求方法は請求のタイミングによって、毎月1日に前月分を請求するか、支払い基準に達した時点で請求する、の2種類から選択できます。
入札タイプはキャンペーンの目的によって決まります。
認知度 | CPM(インプレッション単価) |
比較検討 | CPC(クリック単価) |
コンバージョン | oCPM(最適化 CPM) |
動画視聴 | CPV(視聴単価) |
カタログ販売 | CPC(クリック単価)または oCPM(最適化 CPM) |
また、入札方法は自身で入札額を決める「カスタム入札」か、媒体が入札額を最適化させる「自動入札」を選択できます。
Pinterest広告のターゲティング
Pinterest広告で利用できるターゲティングは以下の6つです。Pinterestは検索ツールとしても広く利用されているので、リスティング広告と同様に検索語句を利用したターゲティングが可能です。
プレースメント | ホームフィードと検索結果のうちどちらか、もしくは両方に広告を表示させるかを選択できます。 |
インタレスト | 特定のジャンルに関心のあるユーザーへ広告を配信します。反応したピンをもとにユーザーの趣味や興味関心を学習・分析し、オーディエンスを定義します。 |
キーワード | Pinterestで特定のキーワードを検索したユーザーに広告を表示させます。部分一致、フレーズ一致、完全一致のマッチタイプを設定します。除外キーワードも登録できます。 |
ユーザー属性 | 年齢、性別、地域、言語、デバイスなど、Pinterestのアカウントに登録された情報や、通信データを元にターゲティングします。 |
拡張ターゲティング | ターゲティングを作成する際に「より多くのユーザーにリーチする」を選択することで、広告に興味を持つ可能性が高いユーザーに対して自動でターゲティングの範囲を広めてリーチします。 |
リターゲティング | 顧客リストをアップロードして既存顧客へアプローチしたり、Webサイト訪問者に対して広告を配信したりできます。 |
まとめ
ユーザーが、新しいアイデアやインスピレーションを探すために訪れるPinterestには、他のプラットフォームには無い魅力や、マーケティングの可能性があります。Pinterest広告が開始したのは2022年なので、広告媒体としては新しく、参入する企業もそれほど多くありません。競合が少ない今をチャンスと考え、一度検討してみてはいかがでしょうか。