運用型広告で最大の成果を出すための戦略
現在のWeb広告の主流となっている運用型広告は、比較的低コストで始められる上、自由度も高いことから、多くの企業が活用しています。
この記事では、運用型広告の特徴やメリット・デメリットのほか、種類について解説します。運用型広告を出稿する際に、ぜひお役立てください。
運用型広告とは、リアルタイムでターゲットや予算を変更できる広告のこと
運用型広告とは、Webサイトなどに出稿される、広告主がクリエイティブや配信ターゲット、広告予算をリアルタイムで変更できるタイプの広告のことをいいます。
テレビやラジオなどの媒体を通じて、不特定多数の視聴者に配信される「マス広告」と比較して、リーチしたいターゲットにピンポイントで広告を配信できるのが、運用型広告の特徴です。例えば、特定の年齢、性別、所在エリア、興味関心を持つ人などを限定して広告配信ができたり、自社のWebサイトを閲覧したユーザーだけに広告配信ができたりします。
Web広告市場における運用型広告の重要度
2021年3月に電通グループが発表した「2020年日本の広告費インターネット広告媒体費詳細分析」によると、2020年は新型コロナウイルス感染症拡大の影響により、国内の総広告費は6兆1,594億円で、前年比88.8%と大きく下回る結果になりました。しかし、インターネット広告費の中で、運用型広告が占める割合は82.9%で、前年比109.7%と伸びています。
これは、コロナ禍の巣ごもり需要によって、インターネットの活用が増加したことから、運用型広告が拡大したのです。同様にSNS広告や動画広告の増加もあり、インターネット広告費は全体的に伸びています。
このことから、今後も右肩上がりの成長率となることが予想されるため、運用型広告はどの広告主にとっても重要度の高い施策であるといえるでしょう。
運用型広告の課金の仕組み
運用型広告の広告費は、広告主や掲載メディアが自由に決めるのではなく、広告主側が設定した入札価格や広告の品質などによって、運用型広告を扱うプラットフォームが自動で算出しています。
ここでは、代表的な課金方式である「クリック課金(CPC課金)」と「インプレッション課金(CPM課金)」についてご紹介しましょう。
クリック課金(CPC課金)
クリック課金は、CPC課金とも呼ばれています。CPCは、Cost Per Click(コスト・パー・クリック)、つまりユーザーが広告をクリックするごとに、広告費が発生する課金方式です。広告がクリックされないと広告費用が発生しないため、費用対効果がわかりやすいのが特徴といえます。
インプレッション課金(CPM課金)
インプレッション課金は、CPM課金と呼ばれている課金方式です。CPMは、Cost Per Mille(コスト・パー・マイル)の略で、「Mille」はラテン語で1,000を表します。つまり、広告が1,000回表示されるごとに広告費用が発生するということです。インプレッション課金は、クリック率が高いメディアでも費用を抑えて広告配信できるメリットがあります。
運用型広告を活用するメリット
運用型広告には、どのようなメリットがあるのでしょうか。運用型広告を活用する主なメリットを、3つご紹介します。
広告のチューニングをリアルタイムでできる自由度の高さ
広告予算の上限や配信期間、配信方法、ターゲティングの調整など、広告のチューニングをリアルタイムで実施できることが、運用型広告を活用するメリットといえるでしょう。
費用対効果の悪い広告の停止はもちろん、PCやスマートフォンなどデバイスごとにターゲットを絞る、広告クリエイティブを変更するといったことがリアルタイムで行えます。
広告出稿を比較的簡単に行える手軽さ
運用型広告は、GoogleやYahoo!などの広告配信アカウントを開設すれば、個人でも簡単に広告を扱うことができます。広告運用の最適化を行うシステムが、AIを用いた機械学習で進化し続けているため、Webマーケティング初心者でも、手順さえ覚えれば、比較的簡単に広告出稿を行えるので安心です。
低予算でも始められる
運用型広告の入札価格は、数円単位から設定できるため、低予算でも利用できるところが魅力です。運用型広告なら、従来の広告枠のように買い切りではないため、広告の導入コストが抑えられるでしょう。
運用型広告のデメリット
運用型広告は手軽さや自由度がある一方で、デメリットもあります。より効果的に運用型広告を活用できるよう、デメリットも見ていきましょう。
細かく設定できる分、広告運用の経験と知識が必要
運用型広告は、配信方法やターゲティングの細かい設定ができる分、効率良く効果を出すには、広告運用の経験や知識が必要となります。そのため、運用を専門で請け負う代理店が数多く存在しますが、依頼すれば広告運用を任せる費用がかかるでしょう。
効果を得るまでに、時間と労力がかかる
運用型広告は自由度が高い分、配信前の検討項目や配信中にリアルタイムで調整するなどの手間がかかります。また、配信後の分析なども行うため、その案件に合った成果最大化の勝ちパターンを見出していくまでには、ある程度時間と労力が必要です。
運用型広告の種類
運用型広告には、主に「リスティング広告」「SNS広告」「ディスプレイ広告」「動画広告」「DSP広告」の5種類があります。ここでは、運用型広告の種類と特徴について、それぞれ見ていきましょう。また、運用型広告でよく利用されるターゲティング手法の「リターゲティング広告」についても併せてご説明します。
リスティング広告
リスティング広告は、ユーザーがGoogleやYahoo!などのWebブラウザの検索窓に打ち込んだキーワードに連動して表示される、テキスト広告のことです。自社の商品やサービスに興味を持っているユーザーをターゲットに設定し、広告を出稿できるのが特徴です。
リスティング広告については、以下の記事でも詳しく解説しています。
SNS広告
Facebook、Twitter、InstagramなどのSNSに出稿するのがSNS広告です。ユーザーの登録情報や行動にもとづいた様々なターゲティングを行うことができます。SNS広告の場合、ユーザーのタイムラインの内容に溶け込みやすく、自然に商品やサービスをアピールしやすいのが特徴です。また、ユーザーのアクションの回数によって課金される方式を採用していることが多いので、費用対効果の高い手法といえるでしょう。
SNS広告については、以下の記事でも詳しく解説しています。
ディスプレイ広告
ディスプレイ広告は、Webサイトやブログなどの広告枠に表示される広告です。Webサイトやブログで取り扱っているテーマにマッチする商品・サービスの広告を出稿することで、費用対効果を上げることができるでしょう。また、ディスプレイ広告は、掲載権がオークション形式で決まる点が大きな特徴です。このオークションはインプレッション(広告表示)に対して瞬時に入札が行われるRTBという形式で行われます。
なお、ディスプレイ広告で主流となっているのはCPM課金で、1,000回広告が表示されるごとに課金されます。
ディスプレイ広告については、以下の記事でも詳しく解説しています。
動画広告
動画広告は、動画を活用した広告のことで、YouTubeなどの動画コンテンツの中で流れるものや、WebサイトやSNSなどで流れるものがあります。スマートフォンやタブレットが普及した現代では、動画コンテンツへの需要が高まっているため、多くのユーザーにアプローチできることや、情報の拡散がしやすいことがメリットといえるでしょう。また、テキストや画像だけでなく、動画広告は音声や動きがあるので、情報が伝えやすいというメリットもあります。
動画広告については、以下の記事でも詳しく解説しています。
DSP広告
DSP広告のDSPはDemand Side Platformの略で、広告主側のプラットフォームのことを指します。つまり、DSP広告とは、広告主側のプラットフォームを通じて配信されるディスプレイ広告のことです。
DSP広告は、広告を掲載するWebサイトからユーザー情報が得られるため、ターゲットを絞って配信することができます。また、リアルタイムで広告枠を入札できることや、ターゲットの類似ユーザーを狙えることも、DSP広告のメリットでしょう。
リターゲティング広告
リターゲティング広告は、広告の種類というよりも、どの顧客をターゲットにするかを決める、ターゲティング手法のひとつです。Cookie機能を活用して、一度Webサイトに訪れたユーザーが離脱しても、ユーザーの行動を追いかけて、興味のある特定のテーマの広告を表示します。Webサイトに訪問したユーザーの多くは、アクションを起こさず、離脱することがほとんどです。しかし、リターゲティング広告なら、Webサイトに訪れたユーザーに絞って、興味のある特定のテーマでアプローチができるため、Webサイトへの再訪問や購入などのコンバージョンにつなげる機会が得られるでしょう。
ただし、これまでのターゲティングにおいては、効果の高いリターゲティング広告が主流でしたが、現在はブラウザのCookieの廃止に伴い、Cookielessへ移行しています。今後はリターゲティングに頼らない新たなターゲティングが必要となるでしょう。
インターネット広告については、以下の記事でも詳しく解説しています。
運用型広告で成果を出すためのポイント
配信頻度を日々確認・調整できる
運用型広告では、配信頻度や入札額を流動的にコントロールできるのがメリットです。
たとえばリスティング広告の場合、
「Aのキーワードは資料請求につながりやすいが競合も多いので500円に」
「今月は予算を増やせそうだから配信頻度を増やす」といったことが可能です。
ターゲットやクリエイティブを改善していく
運用型広告で成果を出すためには、継続して検証を行い、改善をしていく必要があります。
なぜなら、競合他社も「成果を上げるために」と考えているからです。
一度広告配信が開始したあとも、継続的に改善・改良をしていくことが重要です。
運用型広告は需要が高く、今後も広告効果が期待できる
コロナ禍による巣ごもり需要の影響もあり、Web広告における運用型広告の市場価値や重要度は、とても高くなっています。また、広告出稿も比較的簡単に行える上、広告文やクリエイティブ、配信ターゲットをリアルタイムでチューニングできるため、積極的に取り入れたい広告手法といえるでしょう。
しかし、システムの向上によって、広告配信を手軽に行えますが、効率良く効果を出していくためには、運用型広告のノウハウが欠かせません。Web広告の運用においては、ある程度成果が出るまでに時間や労力がかかるものです。このような場合は、広告運用のプロに任せることもひとつの手です。
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