動画広告の種類とは?MP4とMOVの違いやプラットフォーム別に規定を紹介
メディアに動画をアップロードするとき、プラットフォームの動画アップロード規定に書かれた専門用語でつまずくWeb担当者は少なくありません。
MP4やコーデックにビットレート……普段からオーディオや動画メディアに親しんでいる人であれば、問題なく読みこなせますが、少数派でしょう。こういった他では見かけないカタカナの専門用語は1つ1つ調べていくにも時間がかかります。
かといって、用語が曖昧なまま動画をアップロードすれば、作成した動画が再生されないなどの悲劇も起こりかねません。
ここでは、動画広告をアップロードする際に押さえておくべき基本用語と各プラットフォームで規定されている値について紹介します。
動画広告出稿時の規定でよく見かける用語を解説
まず、動画広告の出稿規定でよく見かける専門用語について解説します。
この記事では、動画広告そのものについては紹介しません。もし、動画広告全般について知りたいという方は、こちらの関連記事を参考にしてください。
動画コーデック
動画コーデックとは、映像データを符号化/複合化するプログラムのことです。
映像データを符号化し、符号化された映像データを元の映像データに戻す際に使われます。
映像データをそのままスマートフォンやパソコンに配信できればいいのですが、配信プラットフォームで規定されたコーデック(プログラム)を使っていないと配信プラットフォームが映像データを読み込めないのです。
ビデオカメラで撮影した映像データを再生するとき「自宅のプレイヤーなら再生できたのに、実家のプレイヤーでは再生できなかった」という事態が起こることがあります。これは符号化された映像データを元に戻せないために、映像を再生できないのです。
ビデオカメラで撮影したデータのコーデックと、再生プレイヤーが対応しているコーデックの形式が違うために発生します。
動画コーデックで代表的なものは、H.264、MPEG-2、WMVなどがあります。
オーディオコーデック
オーディオコーデックは、動画コーデックの音声版です。音声データを符号化/複合化するプログラムのことです。
動画コーデックと同じく、音声データを符号化し、符号化された音声データを元に戻す際に使われます。
オーディオコーデックで代表的なものに、AAC、MP3などがあります。
解像度
動画の解像度は、動画の画素数の高低を表します。この辺りは画像の解像度と同じです。
解像度が高いほど鮮明で高画質な動画を配信できますが、ユーザーの通信環境によっては動画の配信速度が遅くなり、いわゆる「重たい動画」になってしまいます。
高解像度の動画はデータも大きくなってしまうため、動画配信時はどのあたりで妥協するかが重要になってきます。
代表的な動画解像度には、720px × 480px、1280px × 720px、1920px × 1080pxなどがあります。
ビットレート
ビットレートは、1秒間あたりのデータ量のことです。例えば、192kbpsなら1秒間に192キロビットのデータ量ということになります。
ビットレートには、動画ビットレートと音声ビットレートの2種類あり、映像を配信する場合のビットレートはこの両方が影響します。
ビットレートが高いほど、滑らかでスムーズな動画を配信可能です。ただし、ビットレートが高くなるほどに、動画ファイルの容量も上がります。
アスペクト比
アスペクト比は、画面の縦と横の長さの比のことです。こちらもバナー広告などの出稿経験がある方ならご存知でしょう。
よく使われるアスペクト比は、パソコンや横置きのスマートフォンの場合は「16:9」、縦置きのスマートフォンの場合は「4:5」や「1:1」が多いです。
ストリーミング形式
ストリーミング形式とは、インターネットに接続した状態で映像データを楽しむ配信形式のことです。インターネットに接続されていれば再生されるため、映像データのダウンロードを必要としません。
通信速度さえ安定していれば、ダウンロードを待つことなく動画視聴が可能です。
各動画プラットフォームの規定を紹介
ここでは、以下の動画配信プラットフォームの動画規定について紹介します。
- YouTube
- LINE
- TikTok
Googleでサポートされる動画は、Googleアド マネージャーでサポートされる形式、ストリーミング形式でサポートされる形式の2種類あります。
Googleアド マネージャー
Googleアド マネージャーでサポートされる形式は、MPEG4、3GPP、MOVファイル、AVI、MPEGPS、WMVの6つです。
最大512MBのファイルまでアップロード可能です。
動画ファイル形式:3GPP、MPEG-4
解像度 | 動画ビットレート | 音声ビットレート |
320px × 240px | 192 kbps | 32 kbps |
176px × 144px | 56 kbps | 24 kbps |
動画ファイル形式:MP4、H.264、AAC
解像度 | 動画ビットレート | 音声ビットレート |
1,920px × 1,080px | 4000 kbps | 128 kbps |
1,280px × 720px | 3000 kbps | 128 kbps |
1,280px × 720px | 2000 kbps | 128 kbps |
854px × 480px | 1500 kbps | 128 kbps |
854px × 480px | 1000 kbps | 128 kbps |
640px × 360px | 400 kbps | 96 kbps |
ストリーミング形式
ストリーミング形式とは、音声や映像データをダウンロードせずに再生する形式のことです。
Googleのストリーミング形式でサポートされる形式は以下になります。
動画ファイル形式 | HLS、DASH |
動画ビットレート | 最大:7000 kbps 最小:120 kbps |
音声ビットレート | 最大:256 kbps 最小:48 kbps |
解像度 | 最大:1,920px × 1,080px 最小:320px × 180px |
YouTube
YouTubeでサポートされる動画形式は、基本的にはGoogleと一緒です。
その中でも、特にYouTube公式から「アップロードする動画におすすめの設定」として紹介されているのが、こちらです。
動画ファイル形式 | MP4 |
動画コーデック | H.264 |
オーディオコーデック | AAC-LC |
解像度 | 2160px:3840px × 2160px 1440px:2560px × 1440px 1080px:1920px × 1080px 720px:1280px × 720px 480px:854px × 480px 360px:640px × 360px 240px:426px × 240px |
アスペクト比 | 16:9 |
動画の長さ | 広告フォーマットによる |
YouTubeの広告フォーマットは、「スキップ可能な動画広告」「スキップ不可の動画広告」「バンパー広告」「オーバーレイ広告」の4種類です。
この中のオーバーレイ広告は動画広告ではなく、動画再生画面下部に表示される画像広告・テキスト広告のことです。
Twitterでサポートされる動画形式は、以下の通りです。
動画ファイル形式 | MP4、MOV |
動画コーデック | H.264・ベースライン・メイン またはハイプロファイル |
オーディオコーデック | AAC LC |
解像度 | プロモライブビデオ:1280px × 720px Amplifyプレロールとプロモビデオ:1200px × 1200px |
アスペクト比 | 1:1 プロモライブビデオは16:9または1:1 |
動画の長さ | 最長2分20秒 推奨は15秒以内 |
Twitterの動画は、最大1GBまでアップロード可能ですが、最適なパフォーマンスを考えるなら推奨サイズは、30MB未満です。
Twitterの動画広告のツイート本文は、リンク部分の12文字+ツイート本文128文字になります。
Facebook広告で推奨されている動画の形式はこちらです。
最大ファイルサイズは、4GBとなっています。
動画ファイル形式 | 動画コーデック | オーディオコーデック | 解像度 | アスペクト比 | 動画の長さ | |
Facebookフィード | MP4、MOVまたはGIF | H.264 | 128kbps以上のステレオAACオーディオ圧縮 | 1,080px × 1,080px以上 | デスクトップやモバイル:1:1 モバイルのみ:4:5 | 1秒~241分 |
Facebookインスタント記事 | MP4、MOVまたはGIF | H.264 | 128kbps以上のステレオAACオーディオ圧縮 | 1,080px × 1,080px以上 | 16:9 | 1秒~241分 |
Facebookインストリーム広告 | MP4、MOVまたはGIF | H.264 | 128kbps以上のステレオAACオーディオ圧縮 | 1,080px × 1,080px以上 | 16:9~1:1 | 5秒~10分 |
Facebook Marketplace | MP4、MOVまたはGIF | H.264 | 128kbps以上のステレオAACオーディオ圧縮 | 1,080px × 1,080px以上 | 1:1 | 1秒~241分 |
Facebookストーリーズ | MP4、MOVまたはGIF | H.264 | 128kbps以上のステレオAACオーディオ圧縮 | 1,080px × 1,080px以上 | 9:16 | 1秒~2分 |
Facebook上の検索結果 | MP4、MOVまたはGIF | H.264 | 128kbps以上のステレオAACオーディオ圧縮 | 1,080px × 1,080px以上 | 1:1 | 1秒~241分 |
Facebookニュースフィード | MP4、MOVまたはGIF | H.264 | 128kbps以上のステレオAACオーディオ圧縮 | 1,080px × 1,080px以上 | デスクトップやモバイル:1:1 モバイルのみ:4:5 | 1秒~241分 |
Facebookリール | MP4、MOVまたはGIF | H.264 | 128kbps以上のステレオAACオーディオ圧縮 | 1,080px × 1,080px以上 | デスクトップやモバイル:1:1 モバイルのみ:4:5 | 1秒~241分 |
Instagram広告で推奨されている動画の形式はこちらです。
最大ファイルサイズは、250MBとなっています。
動画ファイル形式 | 動画コーデック | オーディオコーデック | 解像度 | アスペクト比 | 動画の長さ | |
Instagramストーリーズ | MP4、MOVまたはGIF | H.264 | 128kbps以上のステレオAACオーディオ圧縮 | 1,080px × 1,080px以上 | 9:16 | 1秒~60分 |
Instagramフィード | MP4、MOVまたはGIF | H.264 | 128kbps以上のステレオAACオーディオ圧縮 | 1,080px × 1,080px以上 | 4:5 | 1秒~60分 |
Instagram発見タブ | MP4、MOVまたはGIF | H.264 | 128kbps以上のステレオAACオーディオ圧縮 | 1,080px × 1,080px以上 | 4:5 | 1秒~60分 |
Instagramリール | MP4、MOVまたはGIF | H.264 | 128kbps以上のステレオAACオーディオ圧縮 | 500px × 888px以上 | 9:16 | 0秒~60秒 |
Instagramインストリーム | MP4、MOVまたはGIF | H.264 | 128kbps以上のステレオAACオーディオ圧縮 | 1,080px × 1,080px以上 | デスクトップやモバイル:1:1 モバイルのみ:4:5 | 1秒~241分 |
Instagramストーリーズ広告ついては、以下の記事でご紹介しているので、ぜひこちらも参考にしてみて下さい。
LINE
LINEの動画広告で推奨されている形式は以下です。
動画広告 | |
動画ファイル形式 | MP4、MOV |
動画ビットレート | 最大8Mbps |
オーディオコーデック | AAC、128kbps以上 |
解像度 | 最大720px |
アスペクト比 | 16:9、1:1、9:16 |
動画の長さ | 5秒〜600秒 |
2021年11月にAndroid向けに、12月にiOS向けにLINE VOOMが提供開始されました。
LINE VOOMでの推奨動画ファイル形式はMP4、m4v、MOV、avi、wmvとなっており、アスペクト比は9:16、動画の長さは20分以下となっています。
TikTok
TikTokの広告で推奨されている動画形式はこのようになっています。
ファイルサイズは、最大500MBです。
TikTokインフィード広告 | ニュースフィード | |
動画ファイル形式 | MP4、MOV、MPEG、3GP、AVI | MP4、MOV、MPEG、3GP、GIF |
動画ビットレート | 516 kbps以下 | 516 kbps以下 |
解像度 | 540px × 960px以下,640px × 640px以下,960px × 540px以下 | 720px × 1280px以下,640px × 640px以下,1280px × 720px以下 |
アスペクト比 | 9:16、1:1、16:9 | 16:9、1:1 |
動画の長さ | 5分〜60分 推奨:9分〜15分 | 5分〜60分 |
短時間のショート動画がメインのプラットフォームだけに、他の動画規定よりも動画の長さが短く、重たくない動画が推奨されています。
どのプラットフォームでも使える汎用性が高い形式はMP4
主要な動画配信サイトの規定について紹介しました。
汎用性が高いファイル形式はMP4もしくはMOV、アスペクト比はパソコンをメインで対象にする場合は「16:9」、スマートフォン(縦置き)をメインで対象にする場合は「1:1」になります。
解像度に関しては、1,080px × 1,080px以上のものがあるとTikTok以外の広告配信で使い回しができそうです。TikTokに関しては他よりも解像度を低めに抑える必要があるため別枠で作成する必要があるでしょう。
できれば、1つの動画広告を各媒体で使い回すのではなく、その媒体にあった動画広告の作成が好ましいです。時間と予算に余裕があるなら、各媒体別に最適なものを作成し配信しましょう。
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動画広告市場の動向については、以下の記事でご紹介しているので、ぜひこちらも参考にしてみて下さい。