インプレッションシェアとは?指標の見方や改善方法について解説
運用型広告を評価する指標の一つに「インプレッションシェア」があります。「インプレッション」は実際に広告が表示された回数ですが、インプレッションシェアは、広告を見て欲しい人に対してどれだけの頻度で表示できたのか、広告の競争力を、予算配分や競合との比較で表した数値です。
この記事では、インプレッションシェアをどのように活用すればよいのかを、配信レポートの確認方法、シェアが低い場合の改善策と合わせて解説します。
インプレッションシェアとは
インプレッションシェアとは、広告のパフォーマンスを示す指標の一つです。広告が実際に表示された回数(インプレッション数)を、広告が表示可能だった最大回数で割った値で表します。この最大回数は、その日に行われた広告のオークションを対象として、ターゲットの設定や広告の承認状況、品質など多くの要因を考慮し、算出されています。
インプレッションシェアから分かること
「インプレッションシェアが高い」ということは、特定のキーワードやセグメントの中で「自社の広告は競争力が高い」と言えます。逆に「インプレッションシェアが低い」場合は、広告が掲載要件を満たし、ユーザーの検索ニーズと合致しているにも関わらず、他の問題でその効果を十分に発揮できていない、と言えます。
また、算出された最大数を満たす配信規模が、予算に対して適切かどうか、という視点で見ることもできます。インプレッションシェアを知ることで、自社の広告が持つ競争力や、予算とターゲットのバランス、キーワードの選定や入札戦略の妥当性が分かります。
検索広告のインプレッションシェア
検索広告のインプレッションシェアは、広告が実際に表示された回数を、検索ネットワーク全体で獲得可能だったインプレッションの総数で割ったものです。広告の掲載位置によって次の指標を確認することもできます。
検索広告のページ最上部インプレッションシェア
検索結果ページの最上部を獲得したインプレッションの割合です。検索結果ページの最上部で発生したインプレッションの数を、すべてのインプレッション数で割ります。
検索広告のページ上部のインプレッションシェア
オーガニック検索結果より上の広告表示エリアで、広告がインプレッションを獲得した割合です。検索結果ページの上部で発生したインプレッションの数を、すべてのインプレッション数で割ります。
完全一致のインプレッションシェア
キーワードのマッチタイプが「完全一致」で獲得可能なインプレッション数に対して、実際に獲得したインプレッションの割合です。
例えば、「花」というキーワードに対して、部分一致であれば「花」以外にも「バラ」など関連する検索語句でも広告が表示されます。完全一致のインプレッションシェアでは、検索語句が「花」だった場合に獲得可能だったインプレッション数を知ることができます。
ディスプレイネットワークのインプレッションシェア
ディスプレイネットワーク全体で表示可能だった回数のうち、実際に表示された割合。ディスプレイネットワークは、GmailやYouTube、提携サイトなど、Google広告を掲載できる数百万のWebサイトやアプリの総称です。
インプレッションシェアの算出方法
インプレッションシェアは、次の方法で算出することができます。
インプレッション シェア = 表示回数 ÷ 広告が表示可能だった合計回数
インプレッションシェアの目安
インプレッションシェアは100%を目指すものではなく、目安も業界やその他の条件によって変わりますが、検索広告であれば60~80%、指名検索なら95%程度が理想的な数値です。
ただし、あくまでも「表示機会」の目安であり、それがすぐ集客やコンバージョンなどの成果につながるわけではありません。購入やリード獲得に繋がるキーワード・ターゲットでインプレッションシェアを獲得すること、広告を見たユーザーを適切なコンバージョンへ誘導できることも重要です。
インプレッションシェア損失率とは
インプレッションシェア損失率とは、広告が表示される機会を逃した割合です。損失した理由によって次の2種類に分かれます。
インプレッションシェア損失率(予算)
日々の予算が不足している為に獲得できなかったインプレッションの割合です。例えば、1日のうち設定した日予算を午前中で使い果たした場合、午後は広告が配信されなくなり、表示機会を逃します。1日を通して全体でインプレッションシェアが低く抑えられる場合もあります。
インプレッションシェア損失率(ランク)
広告の入札額や品質スコアが、競合他社の広告と比較して低いために表示されなかったインプレッションの割合です。広告は、表示機会が発生するたびにオークションにかけられ、掲載位置が決まります。ランクによる損失率は、自社の広告が競合他社と競り負けた割合を示しています。
広告ランクや品質スコアについては、こちらの記事で詳しく解説しています。
インプレッションシェアの確認方法
Google広告、Yahoo!広告の管理画面でインプレッションシェアを確認する手順をご説明します。
Google広告の確認方法
キャンペーン、広告グループ、キーワードの単位で確認できます。
「表示項目」をクリック。キャンペーンの場合は「表示項目を変更」を選択。
「競合指標」の項目を開くと、インプレッションシェアに関する項目が現れるので、見たい項目にチェックを入れて「適用」をクリック。インプレッションシェアの損失率(予算)はキャンペーンのみ確認できます。
Yahoo!広告の確認方法
キャンペーン、広告グループ、キーワードの単位で確認できます。
「表示」→「表示項目の編集」を選択。見たい項目にチェックを入れて「適用」
インプレッションシェアの改善方法
インプレッションシェアが低いと感じた場合、損失理由やキャンペーンの状況を見て改善策を打ちましょう。
日予算を上げる
予算が理由でインプレッションシェアを失っている場合は、日予算を上げることで改善できます。予算の増額が可能で、現状の広告効果が良いのであれば、日予算の増額を検討してみてください。日予算を増やせない時は、予算消化が早く進まないように入札単価を下げることで、損失機会を減らすこともできます。ただし、入札単価を下げると広告ランクが下がり、インプレッションが減少する可能性もあります。
入札額を上げる
ランクが理由でインプレッションシェアを失っている場合、入札単価を上げることで他の広告に競り勝ち、表示機会を得る可能性が高まります。短期間で効果を上げやすい手段ですが、予算を圧迫します。その他の方法も検討した上で、キャンペーン全体の予算とバランスを見ながら実施することが大切です。
キーワード・ターゲットを絞る
予算を増やすことができない場合は、配信対象(ターゲット・入札キーワード)を絞ることでインプレッションシェアの損失を抑えることができます。地域・配信時間・デバイス、ディスプレイ広告であればプレースメントの数など、配信レポートを見て成果が低いターゲットを除外することを検討してみてください。ただし、絞り込み過ぎると全体の表示機会そのものを減らしてしまうので、注意が必要です。
検索広告が部分一致のキーワードに限ってインプレッションシェアが低い場合は、検索語句レポートで実際に広告が表示されている検索語句を確認します。広告と無関係なキーワードは「除外キーワード」に追加し、効果の高いキーワードをキャンペーンに追加することで、無駄な支出を防げます。
キーワードの選定方法については、こちらの記事で詳しく解説しています。
広告の品質を上げる
広告文やバナーを見直すことで品質スコアが改善し、広告の競争力が高まります。手間と時間はかかりますが、ユーザーの検索ニーズに合致し、一貫したメッセージを持った広告・ランディングページ(LP)は、クリック率や直帰率の改善にも繋がります。広告表示オプション(アセット)の設定も広告ランクの向上に効果的です。
広告についてはこちらの記事で詳しく解説しています。
まとめ
インプレッションシェアを活用することで、広告のパフォーマンスを改善し、逃していた露出のチャンスを広げることに繋がります。重要な指標の一つですが、その数値だけを追っていれば広告の成果を出せる、というものでもありません。広告の目的や全体の戦略、他の指標とのバランスを考慮して、広告運用の方針を見直すことが大切です。