YouTube広告の入札戦略とは?成果を最大化する自動入札の選び方と設定方法について

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YouTube広告の成果を最大化するためには、自社の目的に合った入札戦略を選ぶことが大切です。しかし、「YouTube広告の入札戦略がたくさんあって、どれを選べばいいかわからない」「入札戦略の設定方法を知りたい」と悩む方もいます。

そこで今回はYouTube広告の入札戦略の基本や各戦略の特徴の他、目的別の選び方、実際の設定方法を解説します。最適な入札戦略を見つけ、YouTube広告の成果を大きく向上させるために、お役立てください。

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YouTube広告の入札戦略とは?

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YouTube広告の「入札戦略」とは、広告キャンペーンの目標達成のため、広告が表示される際の「入札額の決め方」を定めたルールです。以下の表に、YouTube広告の基本情報をまとめました。

項目説明
仕組みYouTube広告はオークション形式で表示され、設定した入札戦略に基づき入札単価が決まり、広告が表示されるかが決まります。
主な課金方式CPV (広告視聴単価): 動画視聴やインタラクションで費用が発生
CPM (インプレッション単価): 広告表示回数で費用が発生
入札戦略の役割これらの課金方式と連動し、「どんなアクションに」「いくらで入札するか」を決定します。
戦略例CPV重視: 視聴数を増やすため、1視聴あたりの上限を設定
コンバージョン数の最大化: コンバージョン獲得のため、最適な単価を自動調整
重要性広告運用の目的達成のための羅針盤であり、適切な選択が限られた予算で最大の効果を得る鍵となります。

YouTubeの入札戦略の種類

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YouTube広告における入札戦略は大きく分けて、以下の4つです。

  • 広告視聴単価(CPV)を重視する場合の入札戦略
  • コンバージョンを重視する場合の入札戦略
  • クリックを重視する場合の入札戦略
  • インプレッションを重視する場合の入札戦略

目的に応じて最適な戦略を選び、より高い成果を得られるよう、上記4つの戦略について見ていきましょう。

広告視聴単価(CPV)を重視する場合の入札戦略

広告視聴単価(CPV)を重視する入札戦略は、主に動画広告の視聴完了や一定時間の視聴を目的とする場合に選ばれます。ユーザーが動画広告を30秒視聴完了するか(30秒未満の広告の場合は最後まで)、または動画とインタラクション(クリックなど)した場合に費用が発生する課金方式に基づいています。

具体的な入札戦略としては、「上限広告視聴単価(上限CPV)」があります。これは、1回の広告視聴に対して支払う上限額を設定する方法です。設定した上限CPVの範囲内で、より多くの視聴を獲得できるように入札単価が調整されます。この戦略がおすすめのシーンは、以下をご覧ください。

達成したい目的詳細
ブランド認知度の向上より多くのユーザーに動画を見てもらうことで、ブランドや商品・サービスの認知度を高めたい場合。
動画コンテンツの視聴促進作成した動画コンテンツ(企業のストーリー、使い方解説など)を多くの人に見てもらいたい場合。
検討段階のユーザーへのアプローチ商品やサービスに興味を持ち始めた層に対し、動画で詳細な情報を提供し、理解を深めてもらいたい場合。

上限CPVを設定する際は、目標とする視聴単価や予算を考慮して慎重に決めましょう。高すぎると予算を早く消化してしまい、低すぎると視聴を獲得しづらくなるからです。最初は平均的なCPVを参考に設定し、運用状況を見ながら調整していくのが一般的です。

コンバージョンを重視する場合の入札戦略

以下に、コンバージョン(※)を重視する際の主な入札戦略を挙げます。
(※)商品の購入・資料請求など目的達成を指す行動のこと。

  • 目標コンバージョン単価(CPA)
  • 目標広告費用対効果(ROAS)
  • コンバージョン数の最大化
  • コンバージョン値の最大化
  • 拡張クリック単価(eCPC)

これらの戦略は、Googleの機械学習を活用した自動入札が中心となり、コンバージョン測定を正しく設定していることが前提となります。次の項目から、上記5つの戦略について解説していきます。

目標コンバージョン単価(CPA)

目標コンバージョン単価(CPA)は、設定したコンバージョンアクション1回あたりに支払う目標額を設定する入札戦略です。Google広告のシステムは、この目標CPAに近づくように、オークションごとに最適な入札単価を自動で調整します。

目標CPAを高く設定すればより多くのコンバージョンを獲得しやすくなりますが、1件あたりの獲得コストは高くなる傾向があります。逆に低く設定すれば獲得コストは抑えられますが、獲得できるコンバージョン数は少なくなる可能性があります。この戦略は以下のような状況に適しています。

目的詳細
コンバージョンあたりの獲得コストを管理したい1件のコンバージョン獲得にかかる費用を一定の範囲内に抑えたい場合。
特定の目標CPAでコンバージョン数を最大化したい設定した目標CPA内で、可能な限り多くのコンバージョンを獲得したい場合。
費用対効果を重視したコンバージョン獲得広告費用に対するコンバージョンの効率を重視したい場合。

目標CPAは、過去のコンバージョン実績や事業の目標に基づいて設定することが重要です。実績データが少ないキャンペーンや新規アカウントの場合は、まずは「コンバージョン数の最大化」などで実績を積み、データが蓄積されてから目標CPAに切り替えるのがおすすめです。

目標広告費用対効果(ROAS)

目標広告費用対効果(ROAS)は、コンバージョンによって得られる収益を重視する入札戦略です。設定した目標ROAS(広告費用1円あたりで獲得したい収益の割合)を達成できるよう、オークションごとに最適な入札単価を自動で調整します。

目標ROASはパーセンテージで指定し、「売上 ÷ 広告費用 × 100 (%)」で計算されます。例えば、目標ROASを500%に設定した場合、広告費用1円あたり5円の売上を目指すことになります。この戦略は以下のような状況に適しています。

目的詳細
売上や収益の最大化を重視したいコンバージョン数だけでなく、コンバージョンから得られる収益を増やしたい場合。
商品やサービスの単価にばらつきがある扱っている商品やサービスの価格帯が幅広く、コンバージョン1件あたりの価値が異なる場合(例:ECサイト)。
特定の目標ROASを達成しながら売上を伸ばしたい設定した費用対効果を維持しつつ、売上を最大化したい場合。

目標ROASを設定するためには、各コンバージョンアクションに対して正しいコンバージョン値(収益額)をトラッキングできている必要があります。ECサイトなど、コンバージョン値が明確な場合におすすめです。過去のROAS実績や事業の収益目標に基づいて目標値を設定します。

コンバージョン数の最大化

コンバージョン数の最大化は、設定した予算内でコンバージョン数を可能な限り多く獲得することを目指す自動入札戦略です。この戦略では、特定のコンバージョン単価(CPA)や広告費用対効果(ROAS)の目標値は設定しません。

Googleの機械学習が、過去のデータやリアルタイムのオークション状況に基づいて、コンバージョンに至る可能性が最も高いと予測されるユーザーに対して、予算の範囲内で最適な入札単価を自動的に調整します。この戦略がおすすめのシーンは、以下の通りです。

目的詳細
コンバージョンデータを蓄積したい場合新しいキャンペーンを開始したり、過去のコンバージョンデータが少なかったりする場合に、まずはシステムにコンバージョンデータを学習させる目的で利用します。十分なデータが集まることで、他のコンバージョン系入札戦略の精度も向上します。
予算内で可能な限り多くのコンバージョンを獲得したい場合特定の獲得単価よりも、予算を最大限に活用してコンバージョン数を増やすことを優先したい場合に適しています。
アカウントやキャンペーンの学習期間新しいアカウントやキャンペーンで、Google広告のシステムがターゲットユーザーやコンバージョンのパターンを学習するのに役立ちます。

コンバージョン数の最大化は、運用開始時のデータ収集や、特定のCPAに縛られずにコンバージョンボリュームを増やしたい場合に有効ですが、コンバージョン単価が高騰する可能性もあるため、予算の消化状況や実際のCPAは定期的に確認することが重要です。

コンバージョン値の最大化

コンバージョン値の最大化は、設定した予算内でコンバージョンによって得られる収益や価値(コンバージョン値)を可能な限り多く獲得することを目指す自動入札戦略です。この戦略も、特定の目標値(例:目標ROAS)は設定しませんが、各コンバージョンの持つ価値を最大化するように入札単価を調整します。

例えば、あるコンバージョンは1,000円の売上、別のコンバージョンは10,000円の売上につながる場合、システムは価値の高い10,000円の売上につながる可能性が高いオークションに対して、より積極的に入札を行います。この戦略は、以下のような場合におすすめです。

目的詳細
コンバージョン毎に価値が異なる場合ECサイトのように、商品の価格帯が幅広く、コンバージョン1件あたりの収益が異なる場合に最も効果を発揮します。高価な商品が売れる可能性のあるオークションに優先的に入札したい場合に適しています。
売上や収益の合計を最大化したい場合コンバージョン数だけでなく、コンバージョンから得られる合計収益を最大化することを優先したい場合に利用します。
予算内で可能な限り収益を増やしたい場合設定した予算内で、最大の売上や収益を得ることを目標とする場合に適しています。

コンバージョン値の最大化を利用するためには、各コンバージョンアクションに対して正確なコンバージョン値(購入金額など)をトラッキングできるよう、コンバージョン設定を正しく行うことが必須です。ECサイトや予約サイトなど、金額ベースで成果を評価できるビジネスで特に有効な戦略です。

拡張クリック単価(eCPC)

拡張クリック単価(eCPC)は、手動入札をベースとしながら、コンバージョンに至る可能性が高いとシステムが判断した場合に、設定した上限クリック単価(上限CPC)を自動的に引き上げ、逆にコンバージョンに至る可能性が低いと判断した場合には引き下げる機能です。これは完全に自動で入札単価を決定する自動入札やスマート自動入札とは異なり、あくまで手動入札を「拡張」する位置づけの戦略です。

上限CPCは自分で設定するため、ある程度のコントロールを残しつつ、コンバージョン獲得の機会を逃さないように最適化を図ります。この戦略がおすすめなシーンは、以下をご覧ください。

目的詳細
手動入札で運用しつつ、コンバージョン獲得効率も改善したい場合手動で細かく入札単価やキーワードを管理したいが、同時にコンバージョン獲得の精度も高めたい場合に適しています。
特定のクリック単価を維持しつつ、コンバージョンを増やしたい場合クリック単価の上限をコントロールしつつ、システムによるコンバージョン最適化の恩恵を受けたい場合に利用します。
他の自動入札戦略に移行する前のテスト完全な自動入札に移行する前に、eCPCでコンバージョン最適化の効果を試してみたい場合に選択肢となります。

eCPCは、手動入札の柔軟性と自動入札の最適化機能のハイブリッドと言えます。ただし、コンバージョンデータをシステムが学習する必要があるため、ある程度のコンバージョンが発生しているキャンペーンで利用するとよいでしょう。

クリックを重視する場合の入札戦略

次はWebサイトへの誘導など、広告のクリックを主な目標とする場合に適した入札戦略について解説します。

  • クリック数の最大化
  • 個別クリック単価制

広告の表示回数より「ユーザーが広告に興味を持ち、クリックしてくれたかどうか」を重視する、上記2つの戦略を見ていきましょう。

クリック数の最大化

クリック数の最大化は、設定した予算内で広告のクリック数を可能な限り多く獲得することを目指す自動入札戦略です。この戦略では特定のクリック単価(CPC)の目標値は設定せず、Googleの機械学習が、より多くのクリックを獲得できる可能性が高いオークションに対して、予算の範囲内で最適な入札単価を自動的に調整します。

この戦略は、以下のような場合におすすめです。

目的詳細
Webサイトへのトラフィック増加が目的の場合広告を通じて自社サイトへの訪問者数を増やしたい場合に最も適しています。
ブランドやサービスの認知度向上(初期段階)まずは多くのユーザーにサイトを訪れてもらい、コンテンツに触れてもらうことで、間接的に認知度を高めたい場合に利用できます。
多くのユーザーに特定のページを見てもらいたい場合ブログ記事やキャンペーンページなど、特定のコンテンツへのアクセスを増やしたい場合に有効です。

クリック数の最大化は、手軽にWebサイトへのトラフィックを増やせる戦略ですが、クリック単価が高騰する可能性や、必ずしも質の高いクリック(コンバージョンにつながるクリック)ばかりが集まるわけではない点には注意が必要です。キャンペーンの目的と予算に応じて、他の戦略と比較検討しましょう。

個別クリック単価制

個別クリック単価制は広告主自身がキーワードや広告グループ、またはプレースメントごとに上限クリック単価(上限CPC)を手動で設定する入札戦略です。設定した上限CPCの範囲内で、オークションが行われます。システムによる自動調整は最小限に抑えられ、広告主が細かく入札単価をコントロールできます。

この戦略がおすすめのシーンは、以下の通りです。

目的詳細
入札単価を細かく管理したい場合特定のキーワードやターゲット層に対して、自分で決めた上限単価で入札したい場合に適しています。
予算を厳密に管理したい場合入札単価の上限を自分で設定できるため、予算の消化ペースをコントロールしやすいです。
特定の掲載位置を狙いたい場合高い上限CPCを設定することで、競合が多いオークションでも上位の掲載位置を狙うことができます。(ただし、掲載位置は入札単価だけでなく、品質スコアなども影響します。)
自動入札に移行する前の単価決定の参考にしたい場合手動で運用することで、各キーワードやターゲティングにおけるクリック単価の相場感を把握できます。

個別クリック単価制は、詳細なコントロールが可能である反面、運用に手間がかかります。市場の変動や競合の動向に合わせて、定期的に入札単価を見直す必要があります。またGoogleの機械学習による最適化の恩恵を受けにくいため、複雑なオークション環境で成果を最大化するには、高度な知識と経験が求められます。

インプレッションを重視する場合の入札戦略

広告の表示回数(インプレッション)を主な目標とする場合に適した入札戦略は、以下の通りです。

  • 目標インプレッションシェア
  • インプレッション単価制(CPM)
  • tCPM
  • vCPM

上記はユーザーに広告を見てもらうこと自体に重点を置く戦略です。主にブランド認知度の向上や、特定の層へのリーチ拡大を目的とする場合に利用されます。

次の項目から、上記「インプレッションを重視する場合の入札戦略」の詳細を見ていきましょう。

目標インプレッションシェア

目標インプレッションシェアは、Google検索結果の上部や特定の掲載位置など、広告が表示される可能性のある回数のうち、実際に広告が表示された回数の割合(インプレッションシェア)を目標値として設定し、その目標達成を目指す自動入札戦略です。

YouTube広告においては、特定の動画の再生開始前や再生中の広告枠などでの表示機会に対して、設定したインプレッションシェアの目標を達成できるように入札単価が調整されます。目標インプレッションシェアと合わせて、「掲載位置」(例: 検索結果の上部、ページの最上部)や「上限入札単価」を設定することができます。この戦略は、以下のようなシーンに適しています。

目的詳細
ブランド認知度を最大限に高めたい場合ターゲットユーザーに広告を繰り返し見てもらうことで、ブランドやメッセージの認知度を強力に向上させたい場合に適しています。
競合他社に対して露出を増やしたい場合同じターゲットを狙う競合よりも、自社の広告の表示機会を増やしたい場合に有効です。
特定の広告枠での露出を強化したい場合YouTube広告の特定の掲載位置(例: スキップ可能なインストリーム広告の冒頭)での表示を確実に増やしたい場合に利用できます。

目標インプレッションシェアは認知拡大に有効な戦略ですが、必ずしもクリックやコンバージョンにつながるわけではない点に注意が必要です。設定するインプレッションシェアの目標値が高すぎると、入札単価が高騰しやすいため、予算とのバランスを考慮して慎重に設定する必要があります。

インプレッション単価制(CPM)

インプレッション単価制(CPM:Cost Per Mille)は、広告が1,000回表示されるごとに費用が発生する課金方式に基づいた入札戦略です。広告主は、広告が1,000回表示されるごとに支払う上限額(上限CPM)を設定します。

YouTube広告では、ディスプレイ広告やスキップ不可のインストリーム広告などで利用されることがあります。ユーザーが広告を視聴したかどうかに関わらず、表示された時点で費用が発生します。この戦略は、以下のようなシーンに適しています。

目的詳細
ブランドやメッセージの露出を広範囲に行いたい場合多くのユーザーに広告を見てもらうことで、ブランドや商品・サービスの認知度を一気に高めたい場合に適しています。
視覚的な訴求力が高いクリエイティブがある場合動画や画像などのクリエイティブを通じて、視覚的にブランドイメージを伝えたい場合に有効です。
リーチ数を最大化したい場合特定のターゲット層に対して、可能な限り多くの人に広告を届けたい場合に利用されます。

CPMは、リーチと認知拡大に特化した戦略です。クリックやコンバージョンといった直接的な成果よりも、広告の「見られやすさ」や「表示回数」を重視する場合に選択します。設定する上限CPMは、ターゲットとするユーザー層や競合状況によって変動します。

tCPM

tCPM(Target CPM)は、設定した目標インプレッション単価(tCPM)に基づいて、リーチやコンバージョンなどの特定の目標を達成できるように最適化を図る自動入札戦略です。

tCPMは、1,000回のインプレッションあたりに支払いたい平均額の目標値として機能しますが、システムは単に表示回数を増やすだけでなく、設定された目標(例:リーチの最大化、コンバージョンの増加など)を達成するために、オークションごとに最適な入札単価を調整します。主に、コンバージョンを重視するビデオアクションキャンペーンなどで利用されます。

この戦略がおすすめのシーンは、以下の通りです。

目的詳細
効率的にリーチを拡大しつつ、特定の行動も促したい場合広告表示による認知拡大と同時に、サイト訪問やコンバージョンなどのアクションも促したい場合に適しています。
設定した平均CPMで目標成果を最大化したい場合1,000回表示あたりの平均コストをコントロールしつつ、キャンペーンの最終目標(コンバージョンなど)を効率的に達成したい場合に利用します。
ビデオアクションキャンペーンでコンバージョンを効率的に獲得したい場合YouTube広告の中でも特にコンバージョン獲得に特化したビデオアクションキャンペーンで、目標CPAの代わりに利用されることがあります。tCPMを設定することで、システムは設定した平均CPM内でコンバージョンを最大化するように最適化します。

tCPMは、従来のCPMよりも進化しており、単なる表示回数だけでなく、より質の高いインプレッション(目標達成につながる可能性の高いユーザーへの表示)を獲得したい場合におすすめです。目標とする平均CPMは、過去のキャンペーン実績や目標とする費用対効果を考慮して設定します。

vCPM

vCPM(Viewable CPM)は、広告が「視認可能」であった場合にのみ、1,000回の視認可能なインプレッションあたりに費用が発生する課金方式に基づいた入札戦略です。視認可能とは、Googleの基準(ディスプレイ広告の場合は広告面積の50%以上が1秒以上画面に表示された状態、動画広告の場合は広告面積の50%以上が2秒以上連続して画面に表示された状態)を満たした場合を指します。

広告主は、1,000回の視認可能なインプレッションに対して支払う上限額(上限vCPM)を設定します。この戦略は、以下のシーンに適しています。

目的詳細
本当にユーザーに見られた広告に費用を支払いたい場合広告が表示されただけで費用が発生するCPMに対し、vCPMはユーザーが実際に広告を見られる状態になった場合にのみ費用が発生するため、より効率的に認知度を高めたい場合に適しています。
広告の視認性を重視したい場合作成したクリエイティブがユーザーにしっかり見てもらうことが重要である場合に有効です。
無駄な広告表示費用を削減したい場合画面の下部に表示されたままスクロールされて見られない広告など、視認されない広告表示への費用発生を避けたい場合に利用されます。

vCPMは、CPMよりも広告費用の効率性が高いと考えられており、特にブランド認知やリーチを目的とするキャンペーンで推奨されることが多い戦略です。設定する上限vCPMは、視認可能なインプレッションに対する価値を考慮して決定します。

YouTube広告の入札戦略はどれを選ぶべき?

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YouTube広告の入札戦略を選ぶ際には、キャンペーンの最終的な目標を明確にすることが大切です。目標が明確であれば、最適な入札戦略が見えてきます。以下に、代表的な広告運用目的と、それに適した入札戦略の例を挙げます。

目的適した入札戦略
ブランド認知度向上上限広告視聴単価(上限CPV)、インプレッション単価制(CPM)、視認可能なインプレッション単価制(vCPM)、目標インプレッションシェア
比較検討促進上限広告視聴単価(上限CPV)、クリック数の最大化
コンバージョン獲得コンバージョン数の最大化、目標コンバージョン単価(CPA)、コンバージョン値の最大化、目標広告費用対効果(ROAS)、拡張クリック単価(eCPC)、tCPM(ビデオアクションキャンペーン)
Webサイトへの誘導クリック数の最大化、個別クリック単価制
リーチ拡大インプレッション単価制(CPM)、視認可能なインプレッション単価制(vCPM)、目標インプレッションシェア
売上・収益の最大化コンバージョン値の最大化、目標広告費用対効果(ROAS)

このように、目的によって最適な戦略は異なります。まずはキャンペーンで何を達成したいのかを明確にし、上記の表や各入札戦略の詳細を参考に、最も目的に合致する戦略を選択しましょう。

「具体的な状況別に、どのような戦略を選べばいいのか知りたい」という場合は、以下の表をご覧ください。

具体的な状況主な成果適した入札戦略戦略選択のポイント/解説
新商品の認知度を多くの人に広めたいブランド認知度向上、リーチ拡大上限CPV、CPM、vCPM、目標インプレッションシェア動画を見てもらうことが重要ならCPV。幅広い層に表示させたい、競合に比べて表示回数を確保したいならCPMやvCPM、目標インプレッションシェアが適しています。
ECサイトへのアクセスを増やし、商品の購入につなげたいWebサイトへの誘導、コンバージョン獲得クリック数の最大化(サイト誘導)、コンバージョン数の最大化、目標CPA、目標ROAS(購入をコンバージョンとする場合)、コンバージョン値の最大化まずはクリック数の最大化でトラフィックを集め、コンバージョンデータが溜まったらコンバージョン系の戦略に切り替えるのが一般的です。商品単価に幅がある場合は、コンバージョン値の最大化や目標ROASが有効です。
資料請求を効率的に増やしたい(獲得単価を抑えたい)コンバージョン獲得(特定CPAでの獲得)目標CPA過去の資料請求実績などから適切な目標CPAを設定し、その単価内で可能な限り多くの資料請求を獲得することを目指します。単価よりも件数を優先するならコンバージョン数の最大化も選択肢に入ります。

運用開始後も成果を定期的に確認し、必要に応じて入札戦略を見直したり、目標値を調整したりすることが重要です。

YouTube広告の入札戦略の設定方法

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YouTube広告の入札戦略は、新しいキャンペーンを作成する際に、以下の手順で設定できます。

1.キャンペーン作成フローで「入札戦略」のステップに進む

新しいキャンペーンを作成する際、設定を進めていくと「入札戦略」を選択する画面が表示されます。

2.キャンペーンの目標を選択する

まず、キャンペーン全体の目標を選択します(例:「販売促進」「見込み顧客の獲得」「ウェブサイトのトラフィック」「ブランド認知度とリーチ」など)。

ポイント: 選択した目標によって、その後のステップで選択できる入札戦略の種類が自動的に絞り込まれ、推奨される戦略が表示されます。例えば、「見込み顧客の獲得」を選ぶと、コンバージョン系の入札戦略が候補として提示されます。

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3.目的に合った入札戦略を選択する

目標を選択した後、利用可能な入札戦略のリストが表示されます。貴社の広告運用の目的に最も合った戦略をリストから選択します。どの戦略が良いか判断に迷う場合は、前述の「YouTube広告の入札戦略はどれを選ぶべき?」のセクションを参考にしてください。

4.必要に応じて目標値を設定する

選択した入札戦略によっては、目標とする数値(例:目標コンバージョン単価(目標CPA)、目標広告費用対効果(目標ROAS)、目標インプレッション単価(目標CPM)、目標広告視聴単価(目標CPV)など)の設定が求められます。運用目標に基づいた適切な値を入力します。

youtube_ads_bidding_strategy_setting_method_02

これらのステップを完了することで、キャンペーンに適切な入札戦略が設定されます。なお設定時には以下の4点にご注意ください。

注意点詳細
目標との整合性選択したキャンペーン目標と入札戦略が一致しているか必ず確認しましょう。
コンバージョン測定コンバージョンを重視する戦略(目標CPA、コンバージョン数の最大化など)を利用する場合は、コンバージョン測定が正しく設定され、機能していることが必須です。
十分なデータ特に自動入札戦略は、過去のデータに基づいて最適化を行います。新しいキャンペーンやコンバージョンデータが少ない場合は、最初は「コンバージョン数の最大化」などでデータを蓄積してから、他の戦略に移行することを検討しましょう。
予算との兼ね合い設定する目標値(CPA、ROASなど)は、現実的かつ予算内で達成可能な範囲で設定することが重要です。

なお既存キャンペーンの設定画面でも、入札戦略を変更できます。

まとめ

YouTube広告で成果を最大化するには、キャンペーン目的を明確にし、最適な入札戦略を選ぶことが大切です。特にコンバージョン目標には、Googleの機械学習を活用した自動入札が有効です。

正確なコンバージョン測定をした上で、運用状況を定期的に確認し、必要に応じて調整しましょう。自社の目標と予算に合わせて最適な戦略を選べば、YouTube広告の成果を高められます。

著者(writer)
Sienca 事務局

リスティングをはじめとした運用型広告など、インターネット広告全般の運用サポートを実施しております。BtoCからBtoBまで様々なクライアント様の広告運用により得た知見を基にブログをお届けします。

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