データのサイロ化とは?主な原因や問題点、解消方法をわかりやすく解説
「部署ごとにデータが分断され、必要な情報がすぐに見つからない」
「マーケティング部と営業部で数字が食い違っている」
こうした状況は、データのサイロ化が原因かもしれません。
データのサイロ化とは、部門やシステムごとにデータが分断され、社内で共有・活用できない状態を指します。放置すると、無駄なコミュニケーションコストや認識のずれによるミスなど、企業運営に悪影響を及ぼすおそれがあるため注意が必要です。
この記事では、データのサイロ化の意味や発生理由、放置することで起こる問題、そして解消の方法までをわかりやすく解説します。
データ活用の壁を取り除き、業務効率や意思決定力を高めたい方は、ぜひ参考にしてください。
データのサイロ化とは?

データのサイロ化とは、部署やシステムごとに保有する情報が分断され、他部門や全社で共有・活用できない状態のことです。
サイロ(Silo)は英語で「穀物などを貯蔵する筒状の倉庫」を意味し、日本語では「タコツボ化」と表現されることもあります。
たとえば、営業部はCRM、マーケティング部はMAツール、カスタマーサポートは独自の顧客管理表などを使っている場合、それぞれのデータが部門内で完結してしまい、全社的なデータ活用ができないという問題が発生します。
この状態を放置すると、マーケティング施策の精度や業務効率が下がったり、意思決定のスピードが遅くなったりするおそれも。
逆に、サイロ化を解消すれば、部門間でデータを一元的に活用でき、施策の連携や顧客理解の深まりが期待できます。
データのサイロ化が起こる理由
データのサイロ化が起こる要因はさまざまですが、代表的な原因としては以下2つが考えられます。
- 組織が縦割り構造になっている
- ツールやシステムの運用・連携ができていない
ここからは、この2つの要因について詳しく見ていきましょう。
組織が縦割り構造になっている
データのサイロ化が起こる典型的な原因のひとつが、部門ごとの縦割り構造です。
部署単位で目標やKPIが異なる場合、それぞれが必要とするデータや管理方法が異なり、結果として情報が部門内だけで管理されてしまう傾向があります。
そのため、サイロ化を防ぐには、部門間で共通の目標やKPIを設定し、データを共有する文化を醸成することが重要です。
ツールやシステムの運用・連携ができていない
データのサイロ化を引き起こすもう一つの原因として、利用しているツールやシステムを部門ごとの業務に最適化した結果、顧客や施策のデータが分断されてしまっている点も挙げられます。
たとえば、営業はCRM、マーケティングはMAツール、カスタマーサポートは独自のスプレッドシートといった具合に、部門ごとに異なるツールを使っているケースでは、情報のまとめ方や記入項目などがばらばらになっていることも少なくありません。
こうした環境では、顧客データや施策データがシステムごとに分断され、全社的な分析や一元管理ができません。
また、ツールやシステム同士は連携可能な状態であっても、ノウハウやリソースがなく実施できていないといったケースもあるでしょう。
この状況を解消するためには、データ統合や運用ルールの整備が大切です。
データのサイロ化によって生じるデメリット

データのサイロ化を放置すると、以下のようなデメリットが生じます。
- 意思決定のスピードが落ちる
- 業務効率が下がる
- データの活用・分析ができない
- 顧客への訴求力が低下する
それぞれのデメリットについて詳しく見ていきましょう。
意思決定のスピードが落ちる
データのサイロ化が進むと、意思決定に必要な情報がすぐに集まらないという問題が発生します。
部署ごとにデータが分断されているため、全体像を把握するには各部門に依頼してデータを収集・照合しなければなりません。
その結果、経営や事業運営に関する意思決定が遅れてしまうおそれがあります。
業務効率が下がる
データのサイロ化は、業務効率の低下を招くおそれもあります。
たとえば、部署ごとに異なるフォーマットやシステムでデータを管理している場合、レポート作成や集計のたびに手作業で情報をまとめなければなりません。
このような状況は時間と労力を消耗するだけでなく、人為的なミスの温床にもなります。
また、同じ顧客情報を複数部署で重複入力している場合、更新のタイミングのずれや記入ミスにより、古い情報をもとに業務が進むリスクも高まるでしょう。
データの活用・分析ができない
データのサイロ化が進むと、自社データの活用や高度な分析が難しくなるというデメリットも生じます。
部門ごとに情報が分断されているため、顧客の行動履歴や購買傾向などを一貫した形で把握できず、マーケティングや営業施策の精度低下につながってしまいます。
また、近年はAIやBIツールを活用した予測分析やパーソナライズ施策が主流になりつつありますが、元となるデータが統合されていなければ、これらのツールも十分に機能しません。
結果として、競合他社が高度なデータ分析を駆使して成果を伸ばす中、自社だけがデータを宝の持ち腐れにしてしまうリスクが高まります。
顧客への訴求力が低下する
データのサイロ化は、顧客とのコミュニケーションの質にも影響します。
部署ごとに顧客データが分断されていると、一貫性のないメッセージや提案をしてしまう可能性があるからです。
たとえば、営業部はすでに提案済みの商品をマーケティング部が再度案内してしまったり、サポート部が解決済みのトラブルについて重ねて問い合わせてしまう、といったケースが考えられます。
こうした状況は、顧客に「この会社は顧客のことを理解していない」という印象を与え、信頼関係の低下や離反の原因になりかねません。
また、顧客の購買履歴や興味関心が全社で共有されていないと、最適なタイミングでの提案やパーソナライズ施策も実施できず、競合にチャンスを奪われるリスクもあります。
データのサイロ化を解消するメリット

データのサイロ化を放置するとさまざまなデメリットが生じます。
一方で、サイロ化を解消できればこれまで分断されていた情報がつながり、以下のようなメリットを得られるでしょう。
- 意思決定の迅速化:最新かつ一貫性のあるデータをリアルタイムで共有でき、経営判断や施策の立案がスピーディーに。
- 業務効率の向上:レポート作成やデータ集計の手作業が減り、人的コストとミスの削減が可能に。
- データ活用の高度化:AIやBIツールによる分析がしやすくなり、顧客行動予測や施策最適化が可能に。
- 顧客体験の改善:全社で顧客情報を共有することで、一貫性のあるコミュニケーションやパーソナライズ施策が実現できる。
なお、「サイロ化を解消するデメリット」は存在しません。
むしろ、放置し続けるほど、後々のデータ統合や整理にかかるコストが増えていくので、少しでも心当たりがある場合は、いち早くサイロ化の解消に取り組むことが大切です。
データのサイロ化を解消する方法2つ

データのサイロ化を解消するには、「何となく情報を共有しやすくする」だけでは不十分です。
新たなデータ管理システムを導入したり、組織構造そのものを見直し「当たり前の運用ルール」として根付かせる必要があります。
具体的には、以下のようなアプローチを検討しましょう。
- 新しいシステム・ツールにデータを統合する
- 組織構造を見直す
それぞれの方法について、詳しく解説します。
新しいシステム・ツールにデータを統合する
サイロ化解消の第一歩は、分断されたデータを1つの基盤に集約することです。
データ統合の際に有力な手段が、CDP(カスタマーデータプラットフォーム)の導入です。
CDPとは、オンライン・オフラインを問わず、さまざまな接点から取得した顧客データを一元管理できるプラットフォームのこと。
データを一元管理することで、営業・マーケティング・カスタマーサポートなど、複数部署が同じ顧客像を共有できるようになります。
また、導入にあたっては、以下のようなポイントを意識しましょう。
- 既存ツールとの連携性(CRM、MAツールなど)
- リアルタイム更新の可否
- アクセス権限やセキュリティ設定の柔軟性
なお、当社ではCDPの構築・運用支援を行っております。「CDPの導入を検討しているがリソースやコスト等、ハードルが高い」「導入したが、上手く活用出来ていない」といったお悩みをお持ちでしたら、ぜひお気軽にご相談ください。
組織構造を見直す
システムやツールを整えても、組織の構造や運営ルールが縦割りのままでは、再びサイロ化が進行してしまいます。
そのため、サイロ化の解消においてはツール導入などの技術面だけでなく、人や業務の動きを見直すことも欠かせません。
具体的には、以下のような取り組みが効果的です。
- 部署横断のデータ共有会議の設置:営業・マーケ・サポートなど、複数部門が定期的に情報交換する場を設ける。
- 共通KPIの設定:部門ごとではなく、会社全体での成果指標を共有することで、データ活用の方向性を一致させる。
- ツール利用ルールの統一:顧客データの入力項目や更新頻度を統一し、どの部署からでも同じフォーマットで利用できる状態にする。
組織構造の見直しは時間がかかる取り組みですが、全社で情報を共有できるようになれば、その後の事業運営はスムーズかつスピーディに進むようになるはずです。
事業が拡大しきってからサイロ化を解消するのはさらに手間も時間もかかるので、できるだけ早いタイミングで取り組むことをおすすめします。
まとめ
本記事では、データのサイロ化について原因やデメリット、解消する方法まで詳しく解説しました。
サイロ化の原因の多くは、縦割りの組織構造やツール・システムの連携不足にあります。放置すれば、意思決定の遅れ、業務効率の低下、データ活用の停滞、顧客への訴求力低下といった深刻なデメリットを招くため、早めに対策を講じることが大切です。
なお、クロスリスティングでは、データのサイロ化解消からその後のデータ活用まで、一気通貫でサポートを行っています。「データをうまく活用できていない」といったお悩みを抱えている場合は、ぜひお気軽にご相談ください。