基本情報技術者試験(FE)とは?試験制度や難易度、勉強法
IT人材の需要が急拡大する中、年間約17万人が応募する国家資格「基本情報技術者試験(FE)」への注目が高まっています。2023年の大幅な制度改定を経て、現在はCBT方式による通年受験が定着しました。
本記事ではIPAの公式データと最新シラバスに基づき、基本情報技術者試験の試験制度を体系的に解説します。
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基本情報技術者試験(FE)とは

基本情報技術者試験は、「情報処理の促進に関する法律」に基づき経済産業大臣が実施する国家試験「情報処理技術者試験」の一区分です。
独立行政法人情報処理推進機構(IPA)が実施を担っており、公的資格として高い信頼性を誇ります。
共通キャリア・スキルフレームワーク(CCSF)では「レベル2」に位置づけられており、ITを活用したサービスやシステムを構築する人材に必要な、基本的知識・技能と実践的な活用能力を測る試験として設計されています。
かつてはプログラマーやシステムエンジニア(SE)など、IT技術者の「登竜門」とされていました。しかし、DX(デジタルトランスフォーメーション)の進展により非IT部門でもIT知識が必須となった結果、2023年4月以降はその対象がビジネス部門まで大きく拡大され、現在は「すべてのデジタル人材の登竜門」と再定義されています。総務や広報といった非技術部門での団体受験や導入が進んでいるのも、受験者層の多様化を物語っています。
取得するメリット
本試験を取得する最大のメリットは、国内IT企業における圧倒的な知名度と普及度です。
多くのIT企業が入社後の取得を義務付けており、資格手当や一時金の支給対象となっています。就職・転職市場、特に新卒採用や大手企業の採用選考においては、客観的な知識の証明として高く評価されます。
一方、留意すべき点もあります。本試験は業務独占資格ではないため、取得したからといって実務のコーディング能力や専門技術の即戦力として直結するわけではありません。また、外資系企業では米国発のベンダー資格が重視される傾向があり、求人要件に明記されないケースもあります。
IT業界以外を目指す方やビジネス職の方にとっても、この試験は非常に有益です。現代のビジネス環境では、非IT部門であっても開発ベンダーやシステム部門と「共通の言語」で円滑にコミュニケーションをとる能力が求められます。共通基盤となるIT知識を網羅していることは、配属や人事評価において大きなアドバンテージとなります。
ITパスポート・応用情報技術者との違い
情報処理技術者試験のステップアップを検討する上で、前後区分との違いを把握しておきましょう。
| 比較項目 | ITパスポート試験(IP) | 基本情報技術者試験(FE) | 応用情報技術者試験(AP) |
|---|---|---|---|
| スキルレベル | レベル1 | レベル2 | レベル3 |
| 難易度の特徴 | 基礎知識の有無を問う | 知識を応用し論理を追う力を問う | 状況判断・記述力を問う |
| 推奨対象者 | 非IT職、学生、新社会人 | 若手エンジニア、IT業界志望者 | 実務経験数年のエンジニア |
現行の受験ルールと試験制度
ここでは、現在のCBT方式による通年受験ルールや再受験時の制限、採点方式など、受験を申し込む前に知っておくべき試験制度を説明します。
CBT方式による通年受験
基本情報技術者試験は、CBT(Computer Based Testing)方式を採用しており、通年受験が可能です。
受験者は全国の試験会場から、自身の都合に合わせた会場・日時を自由に選択してコンピュータ画面上で解答します。特定の試験日に縛られず、準備が整ったベストなタイミングで挑戦できるのが大きなメリットです。身体の不自由な方向けに、ペーパーによる特別措置試験も用意されています。
受験手数料は7,500円(税込)で、インターネットからの個人申込(クレジットカード・コンビニ・Pay-easy決済対応)となります。
再受験のルール(リテイクポリシー)
不合格となった場合の再受験にはルールがあります。
次回の受験日として指定できるのは、前回の受験日の翌日から数えて30日を超えた日以降です。つまり、一度受験すると最低30日間は再受験ができません(当日に欠席・棄権した場合はこの制限は適用されません)。
また、科目A試験(90分)と科目B試験(100分)は同日に続けて受験します。一方の合格点を次回に持ち越す制度はないため、どちらか片方が不合格だった場合も、次回は両科目を再受験する必要があります。
IRT採点方式と合格基準
採点には、単純な正解数ではなくIRT(項目応答理論)が採用されています。
問題の難易度や識別力を考慮してスコアを算出するため、実施回ごとの難易度のばらつきに左右されない公平な評価が行われます。事前の一律の配点ではなく、「正解者の少ない難問を間違えても失点が少なく、正解率の高い基本問題を落とすと大きく減点される」といった評価ロジックであるため、基本を確実に押さえる対策が重要になります。
合格基準は科目A・科目Bともに1,000点満点中600点以上であり、両方を同時にクリアする必要があります。
2027年度以降の制度変更との関係
応用情報技術者試験や高度情報処理技術者試験については、2027年度に向けた新試験制度(「プロフェッショナルデジタルスキル試験(仮称)」の新設など)への移行が検討されています。
しかし、基本情報技術者試験(FE)は現行の「科目A」「科目B」という枠組みをそのまま継続する予定です。つまり、今から始める勉強が無駄になるリスクは極めて低いため、制度移行を待つ必要は一切ありません。
また、現行のFE合格実績が2027年度以降の新設試験の一部免除に引き継がれる仕組みも検討されています。そのため、現行制度のうちに早期取得を目指すのが賢明な戦略と言えます。
科目A・科目Bの出題形式と試験範囲
試験の具体的な中身として、広範な知識を問う科目A試験と、アルゴリズムとセキュリティに絞った科目B試験のそれぞれの出題形式と出題範囲を詳しく解説します。
科目A試験:3分野からの幅広い出題
科目A試験は90分・60問(四肢択一式)です。「テクノロジ系」「ストラテジ系」「マネジメント系」の3分野から構成され、コンピュータサイエンスの基礎からプロジェクトマネジメント、経営・法務まで幅広く出題されます。
出題範囲については、最新のシラバスVer.9.2に注目してください。
このアップデートにより、経営・企業法務分野から「下請法」が削除され、新たに「中小受託取引適正化法(取適法)」に関する用語が追加されました。数年前の中古本や古いネット記事で「下請法」を深く勉強してしまわないよう、最新のシラバスに準拠した教材を選ぶことが大切です。
科目B試験:擬似言語と情報セキュリティへの集中
科目B試験は100分・20問(多肢選択式・全問必須)です。
出題内訳は「アルゴリズムとプログラミング」から16問、「情報セキュリティ」から4問と完全に固定されており、対策が立てやすい構造になっています。
「アルゴリズムとプログラミング」では、かつてのC言語やJavaといった個別言語の選択制が廃止され、全員が試験独自の「擬似言語」を使用した問題を解く形式に統一されました。
これは、プログラミング未経験者にとって大きな朗報です。特定の言語特有の複雑な構文を暗記する必要はなく、プログラムの処理フローを1行ずつ追いかけ、変数の値の変化を追跡する「論理的なトレース力」さえ養えば、未経験からでも十分に高得点を狙えます。
出題カテゴリは以下の3つに分類されます。
- プログラムの基本要素(条件分岐・繰り返し処理など)
- データ構造及びアルゴリズム(配列・リスト・木構造など)
- プログラミングの諸分野への適用(整列・探索など)
難易度と合格率の推移

CBT方式移行後の最新の合格率データは以下の通りです。
| 年度 | 応募者数 | 受験者数 | 合格者数 | 合格率 |
|---|---|---|---|---|
| 令和5年度(2023年度) | 140,774人 | 121,611人 | 57,278人 | 47.1% |
| 令和6年度(2024年度) | 157,259人 | 133,732人 | 54,501人 | 40.8% |
| 令和7年度(2025年度) | 172,217人 | 147,186人 | 56,370人 | 38.3% |
移行直後の令和5年度は47.1%と高めでしたが、現在は難易度調整が進み、38%前後で推移しています。
ペーパー時代より合格率は高い水準にありますが、求められる能力水準(レベル2)自体は変わっていません。科目A・Bのどちらかで600点を下回ればその時点で不合格(足切り)となるため、国家試験として依然として油断できない難易度です。
学習時間の目安
必要な学習時間は、スタート時の知識量によって大きく変わります。
- IT未経験者・非IT系学生:200〜300時間(基礎用語の暗記とアルゴリズムのトレース訓練に多くの時間を割く必要があります)
- ITパスポート保持者・情報系学生:100〜150時間
- 実務経験のあるプログラマー:50時間以内(擬似言語のルールとセキュリティ用語の確認のみで対応可能)
効率的な学習法と科目A免除制度

限られた時間で確実に合格するための各科目の効果的な勉強法と、合格率を大きく引き上げる「科目A免除制度」の活用法について紹介します。
科目Aの対策:過去問演習が最短ルート
科目Aは、過去問と類似した問題が高頻度で出題されます。
過去3〜4年分の過去問を繰り返し解くことが最短ルートです。単に答えを暗記するのではなく、「なぜその選択肢が正解なのか」「他の選択肢の用語はどういう意味か」を理解しながら進めることで、本番のひっかけ問題にも対応できるようになります。
科目Bの対策:アルゴリズムとセキュリティの戦略
科目Bの20問中4問を占める「情報セキュリティ」は、アクセス制御、リスク管理、暗号化などの基本を押さえれば4問中3〜4問を安定して得点できる「得点源」です。
残り16問の「アルゴリズム(擬似言語)」は、机の上だけで完結させず、実際に紙に変数の値を書き出しながら処理を追う「手動トレース」の訓練が最も効果的です。最初は5〜10行程度の短い基本プログラムを使い、ループごとに「変数iの値」「配列の中身」がどう変化するかを、地道に表に書き出す練習から始めましょう。
配列やリスト、木構造、スタック、キューといった典型的なデータ構造のパターンに慣れておけば、本番での解答スピードが劇的に向上します。
「科目A免除制度」の活用
限られた時間で確実な合格を目指すなら、「科目A試験免除制度」の活用を強くおすすめします。
IPAが認定した講座(eラーニング等)を受講して修了試験に合格すれば、1年間、本試験の科目Aが免除されます。
講座費用はかかりますが、範囲が膨大な科目Aの勉強から解放され、当日は科目B(アルゴリズム・セキュリティ)の対策だけに全リソースを集中できるメリットは破格です。仕事で勉強時間が確保しにくい社会人や、範囲の広さに圧倒されている未経験者には、投資対効果が非常に高い選択肢です。
まとめ
最後に、今回のポイントを振り返り、合格に向けて今すぐ始められる具体的な最初の一歩を整理します。
基本情報技術者試験(FE)は、CBT方式への移行によって誰もが挑戦しやすくなった一方、デジタル社会においてその価値と需要はさらに高まっています。
試験で問われるITの論理的思考力やセキュリティの基礎概念は、時代が変わっても色褪せない「普遍的なスキル」です。まずは自身のレベルに合わせて200〜300時間(経験者はそれ以下)の計画を立て、科目Aの過去問演習と科目Bのトレース訓練を軸に進めましょう。
免除制度の利用も含めてスケジュールを早期に確定させ、試験会場の座席を予約することが、合格への確実な第一歩となります。

