フロアプライスの基本(設定方法や考え方)

パブリッシャー

フロアプライスとは

広告枠を販売する1impressionあたりの最低単価のことをフロアプライスと言います。
プログラマティック広告がWEBメディアのマネタイズ手法の主流となり、今やメディアマネタイズにはフロアプライスの設定が必須となっています。

この記事ではWEBメディアがフロアプライスを使って、マネタイズ(収益化)を強化する方法について、ご紹介します。

メディアマネタイズについては、以下の記事でもご紹介しているので、ぜひこちらも参考にしてみて下さい。

フロアプライスがなぜ必要なのか

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メディアマネタイズの視点で、フロアプライスが必要な理由は3つあります。
フロアプライスが無ければどうなるのかという観点で説明します。

①広告枠が安く買われてしまう

プログラマティック広告は、1impression毎に広告主側から入札する仕組みになっています。広告主から見ると広告の費用対効果を最大化することが目的なので、広告効果が出やすいimpressionを「いかに安く買うか」という最適化アルゴリズムが働きます。メディア側は少しでも高く買ってもらう為に、Header Bidding(ヘッダービディング)を使って、多くの事業者からの入札を受け入れ、入札競争を最大化しようとしますが、DSPのアルゴリズムは非常に賢いため、少しでも入札競争が弱いimpressionを見つけるととことん安い単価で買われてしまうのです。
もし、DSPの賢さを体験してみたいという方がいれば、実際にフロアプライスを設定してある枠のフロアプライスを0円にする実験をしてみてください。結果、大きくCPMが下がり、収益が落ちることがよく分かると思います。

②プレミアム枠の値崩れが起きる

前述の理由と似ていますが、フロアプライスが無いと元々高い価格で売れていた枠が値崩れする可能性があります。特に純広告やPMP(Private Market Place)で、視認性の良い位置にあったり、印象に残る大きなサイズだったりとよく売れている枠は、入札に価格を任せるよりも、メディア側で価格をコントロールした方が良い場合があります。

③品質の悪い広告が増えて、サイトの品質自体を下げてしまう

昨今では広告を出す敷居が低くなり、ほとんどコストをかけずに国内外を問わず誰でも広告が出せてしまう為、フロアプライスが無いと広告自体の質が悪いものが多くなるという傾向があります。

フロアプライスの設定方法

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フロアプライスを設定するにはいくつかの方法があります。状況に応じて使い分けると良いでしょう。

①Google Ad Managerの統一価格設定ルール(Unified Pricing Rules略してUPR)を使う

Google Ad Managerを利用している場合、最も使いやすい方法です。2019年に実装された価格設定ルールというメニューから設定します。

特徴は、PrebidやTAMのHeader Bidding(ヘッダービディング)を動かしている価格優先(CPMが最も高い広告が配信される)で設定された広告申込情報とGoogle AdX(もしくはGoogle AdSense)、Googleが提供するHeader Bidding WrapperであるOpenBiddingから入札される広告に対して、一括でフロアプライスを設定できる点です。これにより、Header Bidding(ヘッダービディング)で多くのSSPやアドネットワークを配信していても、各事業者それぞれにフロアプライスを設定することなく、まとめてフロアプライスを効かせることが出来ます。

枠別、デバイス別、ブラウザ別、サイズ別等の設定も可能です。なお、Google Ad Managerで設定されたPMP(Private Market Place)で配信される広告にはフロアプライスは適用されません。しかし、Header Bidding(ヘッダービディング)から配信されるPMP(Private Market Place)は、価格優先の広告申込情報から配信されるため、フロアプライスが適用されます。

Google以外のアドサーバーにも同じような機能がありますが、アドサーバーによって仕様が異なる為、Google以外のアドサーバーをお使いの場合にはアドサーバー提供会社にご確認ください。

②Google Ad Managerの価格優先の仕組みを使う

Google Ad Managerには、ダイナミックアロケーションという機能があり、価格優先で設定された広告申込情報とGoogle AdX(もしくはGoogle AdSense)、Googleが提供するHeader Bidding WrapperであるOpenBidding(アプリの場合はメディエーションも含む)から入札される広告は、アドサーバーが広告枠から呼び出される度に、このダイナミックアロケーションにより、一斉に競争し、最もCPMの高い広告を配信します。

この機能を利用して、固定のCPMを設定した価格優先の広告申込情報を設定することで、そのCPMを実質のフロアプライスとすることが出来ます。
例えば、フィラーのアドネットワーク事業者を価格優先の広告申込情報として設定し、CPMを100円とすると、その100円を下回る入札がHeader Bidding(ヘッダービディング)やGoogle AdXからあったとしてもフィラーの広告申込情報が最も高いCPMになるので、それが実質のフロアプライスの役割を果たします。

③各SSPやアドネットワークのフロアプライス機能を利用する

SSPにはフロアプライスの機能が独自に装備されていて、それを使うことが出来ます。
また、アドネットワークでもフロアプライスの機能がある場合があります。

しかし、Header Bidding(ヘッダービディング)で多くの事業者を接続していると全ての事業者に対して設定をする必要があり、非常に管理が煩雑になります。

④Header Bidding Wrapperでフロアプライスを設定する

Header Bidding WrapperのPrebidやTAMにもフロアプライスを設定する機能があります。

基本的には、先にご紹介したGoogle Ad Managerの統一価格設定ルールや価格優先の広告申込情報で、Header Bidding(ヘッダービディング)へのフロアプライスも適用されますが、Header Bidding Wrapperでフロアプライスを設定するメリットもあります。それは、Header Bidding(ヘッダービディング)で配信されるSSPやアドネットワークに対してフロアプライスを事前通知出来る点です。

統一価格設定ルールや価格優先でのフロアプライスは、Googleは入札直前に知ることが出来ますが、Header Bidding(ヘッダービディング)から配信される事業者は知ることが出来ません。事前にフロアプライスを知っているかどうかは、配信事業者から見ると非常に重要です。なぜなら、配信事業者が買えないCPMで入札してしまうと配信コストが無駄になるからです。勝てる可能性があるCPMで入札できると、配信コストの効率が良くなり、結果的にフロアプライス以上のCPMで入札されやすくなる為、フロアプライスを事前に通知することは重要です。

Header Biddingについては、以下の記事でもご紹介しているので、ぜひこちらも参考にしてみて下さい。

フロアプライスの最適化

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フロアプライスを設定するにしても、いくらが最適なのかというのは重要かつ難しい問題です。
基本的には、フロアプライスを上げるとCPMが高くなり、impression数が減ります。フロアプライスを下げるとCPMが低くなり、impression数が増えます。この需給バランスでCPM × impression数、つまり収益が最も高くなるフロアプライスを見つけ出すことになります。

枠やOS等によって最適なフロアプライスは違う

最適なフロアプライスはサイト別、枠別、OS別で大きく異なります。枠が良い位置だったりサイズが大きいとフロアプライスは高くてもimpression数はあまり減りません。また、ITP(Intelligent Tracking Prevention)によってターゲティング広告が少ないiOSの場合、CPMが低い傾向がある為に、Androidよりもフロアプライスを低くしないと、impression数が大きく減ってしまいます。

どのように最適なフロアプライスを見つけるのか

最適なフロアプライスを見つける際に厄介なのは、何曜日なのか、月の上旬なのか下旬なのか、ボーナス時期なのか、多くの企業が決算を迎える3月なのか等の季節変動により、最適なフロアプライスがどんどん変化していくということです。フロアプライスの変更前と変更後といった前後比較では、フロアプライスを変えたことが要因で収益が上がった(下がった)のか、季節変動で収益が上がった(下がった)のかが分からない為、同期間でのABテストが必要となります。

最適なフロアプライスを見つける際の注意点

ABテストをする際には、同じ人が毎回違うフロアプライスで広告が配信されることを回避する必要があります。プログラマティック広告ではリターゲティング広告やオーディエンスターゲティング広告の占める割合が多く、人に対して入札単価を決めることが多い為、DSPはあるページで広告枠を表示する際に100円で入札して負けた場合、同じ人に対して次のページでは100円よりも高く入札しにいき、逆に100円で入札して勝った場合は、同じ人に対して次のページでは100円より安く入札しにいきます。その際に、同じ人にフロアプライス110円、100円、120円とランダムでフロアプライスを変えてしまうと、DSPに対して、プレッシャーを強めて単価を上げたり、プレッシャーを弱めて単価を下げたりすることが出来なくなってしまいます。

フロアプライスを変えるタイミング

先ほど季節変動による需給バランスの変化が大きいと書いた通り、最適なフロアプライスは毎日変わります。さらには、枠位置を変えたり、サイズを変えたりするだけで、その次の日以降のCPMが大きく変わってしまいます。つまり、最適なフロアプライスは出来る限り毎日分析して、変えた方が良いということになります。

フロアプライスの課題

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フロアプライスを最適化する為には、毎日枠別×OS別の適正なフロアプライスに変更することが理想です。しかし、実際にそれを人手でやることは容易ではありません。週に一回でも枠別×OS別のフロアプライスと収益性を比較し、ABテストで導きだした一定の法則によりフロアプライスを更新することが出来れば、収益性を高めることが出来るでしょう。

理想を追求するのであれば、検証によって導きだされた最適なフロアプライスの一定の法則によって、毎日、枠別×OS別で機械的にフロアプライスを算出し、一斉にフロアプライスを更新する自動プログラムが必要となります。

著者(writer)
Sienca 事務局

「goo」や「dmenu」をはじめとしたメディアに対して、マネタイズ運用の支援を実施しています。長年のメディア運営によって培ったノウハウや、自社で開発したソリューションを活用し、メディア収益の最大化を実現します。

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