ITP(Intelligent Tracking Prevention)がWeb広告に与える影響とは?Web担当者なら知っておくべき基本を解説
ITPは、トラッキングを制限するためにつけられたプライバシー保護機能のことです。
トラッキングとはWebサイトを横断してユーザー情報を収集することであり、近年はプライバシー保護の観点から厳しい制限が設けられています。
ITPでトラッキングが制限されることにより、リターゲティング広告や広告効果の測定に影響が出ており、対応が急がれます。
ここでは、ITPが及ぼす影響や広告配信プラットフォームの対応などを紹介します。
ITP(Intelligent Tracking Prevention)はSafariに実装されたプライバシー保護機能のこと
ITPは、Safariに実装されたプライバシー保護機能のことです。Safariは、Apple製品に標準搭載されているブラウザです。ITPが設定されていることで、トラッキングが制限されます。
iPhoneやiPad、MacなどのApple製品を使っているユーザーは、ユーザー自身がブラウザを変更しない限り、ITPによるトラッキング制限の範囲内に入るということになります。
ITPで制限される個人情報のトラッキングとは
トラッキングとは、Webサイトを横断してユーザー情報を収集することです。
例えば、Webサイト(A)を閲覧しているユーザーが、Webサイト(A)を離脱しWebサイト(B)に移った後もWebサイト(A)の情報収集機能がユーザーの情報を収集することをトラッキングといいます。
トラッキングすることでユーザーの興味・関心について深く知ることができます。収集した情報は、マーケティングにも有効活用可能です。
しかし、ユーザー側が知られたくない趣味や嗜好に関しても収集できてしまうことから、プライバシー保護の観点から問題視されているのです。
ITPと関連するワードにCookieがあります。
Cookieについては、以下の記事でご紹介しているので、ぜひこちらも参考にしてみて下さい。
ITP(Intelligent Tracking Prevention)が広告に及ぼす影響とは
Web広告は、ITPによりトラッキングが制限されることで影響を受けます。今まで活用していた情報を収集できなくなります。
具体的には、「リターゲティング広告」「広告効果・Webサイト訪問効果の測定」などに影響が出ると考えられています。
リターゲティング広告
リターゲティング広告は、トラッキングにより横断的に収集した情報を元にユーザーに寄り添った広告を配信しています。
トラッキングが制限されると、これまで収集していたユーザー属性に関する情報量が大幅に減ることになります。これまでより少ない情報でユーザーの興味・関心と関連性の高い広告を配信することになるため、有益な広告配信が困難になります。
広告効果・Webサイト訪問効果の測定
Webサイトを横断しての情報が収集できなくなると、例えば、配信中のディスプレイ広告からのコンバージョンを測定するとき、一度他のサイトに遷移したユーザーが商品を購入した場合のコンバージョンが測定できません。
「どこに表示された広告でいつコンバージョンしたのか」などの広告改善に必要なデータが得られないため、効果の測定・広告改善に支障がでます。
同様に、Webサイトの訪問に関するデータも正確なものを収集しにくくなります。
スマートフォン・タブレット・PC別の国内のブラウザシェア率
ITPによるトラッキング制限について紹介しました。
ここで、国内のSafariのブラウザシェア率がどれくらいなのかについても把握しておきましょう。StatCounterのBrowser Market Share Japanのデータを元に「全体」「スマートフォン」「パソコン」「タブレット」のブラウザシェア率を紹介します。
大まかに見ていくと、パソコンではChromeのシェア率が大きいものの、スマートフォンやタブレットではSafariのシェア率がChromeを上回っています。
スマートフォンやタブレットからWebを利用するユーザーは増加傾向にあり、ITP対策は必須と考えて間違いないでしょう。
全体ではChromeが優勢
(画像引用:StatCounter Browser Market Share Japan)
パソコン、スマートフォン、タブレット全てをまとめたものでは、Google Chromeが45%以上となっています。
Google Chromeが優勢のように見えますが、そのすぐ下にある灰色のグラフはSafari利用者です。これを見ると全体の40%近くがSafariを利用していることがわかります。
Web閲覧者の半数近くがSafariを利用していることになりますので、特定のデバイスを狙って販促活動を行うので無い限りはITP対策が必要になります。
スマートフォンではSafariが半数以上
(画像引用:StatCounter Browser Market Share Japan)
スマートフォン利用者は半数以上がSafariを使用しています。60%近くがSafariを利用し、Google Chrome利用者は30%台です。
先ほど見た全体のグラフでは僅差といってもよかった利用者の差がここまでついています。
タブレットではSafariが半数以上
(画像引用:StatCounter Browser Market Share Japan)
タブレットもスマートフォン同様に半数以上がSafariを利用しています。こちらは60%までは行かないものの50%以上がSafariの利用者です。Google Chrome利用者もスマートフォンと同じく30%台となっています。
タブレットやスマートフォンでのECサイト利用なども増えており、「パソコンを扱うユーザーしか対象にしない」という理由でもない限りは、ITP対応は必須と言えるでしょう。
パソコンではChromeが圧倒的
(画像引用:StatCounter Browser Market Share Japan)
パソコンユーザーの中では、Google Chrome利用者が圧倒的多数となっています。55%以上がGoogle Chrome利用者であり、Google Chromeの次に利用者が多いのはIEで14%程度の使用率となっています。
Safariは、10%程度です。パソコン利用者のみを対象にするのであればITP対策がなくても何とかなるかもしれません。
広告配信媒体のITP対応とは
ITPによりトラッキングが制限されると、ユーザーの興味・関心に寄り添った広告が配信できなくなる可能性が高くなります。そうなると困るのが広告配信媒体です。
広告配信媒体は、Google広告とYahoo!広告が2大媒体ですが、コンバージョンの計測不良などを防ぐためにそれぞれ独自の対策を練っています。
Googleでは、コンバージョンの補完設定の他にTopicsという代替手段を実験中です。Yahoo!でもコンバージョン補完設定が可能になっています。
これらの設定は、それぞれの広告配信媒体の指示に従って管理画面から設定する必要があります。
ITP対応の広告配信は最新情報を元に実施して
ITPに限らず、従来使用していたユーザー情報がプライバシー保護や個人情報保護の観点から制限されるケースが増えています。
代替手段として様々なものが出現していますが、実験段階のものが多く常に最新情報をキャッチアップしていかなければ、対応に遅れが生じてしまうでしょう。
そういったマーケティングの最新情報は、プロのコンサルタントへ広告運用を依頼することで楽にキャッチアップできます。
当社では広告運用コンサルティングを提供しています。広告運用コンサルティングでは、中長期の広告運用に即したプラン設定を行い、分析・改善までしっかりサポートいたします。
Cookie規制については、以下の記事でご紹介しているので、ぜひこちらも参考にしてみて下さい。