ABテストとは?種類や具体的なやり方、成功事例をご紹介
ABテストとは、異なるデザインやコンテンツを用意し、実際のユーザーに対して比較テストを行い、どちらのバージョンがより高い成果を生むかをデータに基づいて検証する手法です。
有名な例としては、オバマ元大統領の選挙でしょうか。
米国オバマ元大統領の選挙チームはウェブサイト上で大規模なABテストを実施しました。その結果、約280万件ものメールアドレスを追加で獲得し、それが約6,000万ドル(約66億円)もの寄付金につながったとされています。トップページの画像やボタン文言など計24パターンをテストし、最も反応の良い組み合わせを採用したことでこれほどの成果を上げました。
本記事では、ABテストの基本概念、具体的な手順、活用できるツール、成功事例、最新トレンドまで、初心者にも分かりやすく解説します。Webサイトや広告のパフォーマンスを向上させたい方は、ぜひABテストの手法を学び、実践に活かしてみてください。
株式会社クロスリスティングでは、NTTグループの一員として、お客様のデジタルマーケティング戦略や運用をトータルで伴走・支援いたします。ABテストの実施や施策の効果検証などにお困りの際はお気軽にご相談ください。
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ABテストとは?
ABテスト(A/Bテスト)とは、Webサイトや広告などで2つ以上の異なるバージョン(例:A案とB案)を用意してユーザーの反応を比較し、どちらがより効果的かを検証する手法です。
主にコンバージョン率(CVR)やクリック率(CTR)などの向上を目的に用いられ、現行ページの一部要素を変更するだけなので低コストかつリスクの少ない改善方法として多くの企業に採用されています。
例えば、ランディングページの見出しやボタンの色・テキストなどを変更したパターンを同時にユーザーに表示し、どちらが目標達成に貢献するかデータを計測します。こうしたデータに基づく改善手法により、感覚や勘に頼らず確実な改善が可能になります。
ABテストの目的は、サイトのコンバージョン(購入や会員登録など)やクリック率といったKPI指標を向上させることです。例えば「フォームからの申込数を増やしたい」「広告のクリック率を上げたい」など明確なゴールを定め、その達成に寄与するページ要素を検証します。
メリットとして、少ないコストで実施でき、結果も数値ではっきり確認できる点が挙げられます。また、一部のユーザーだけを対象にテストを行い、良い結果だけを本番採用できるため大きなリスクを回避できるのも利点です。
一方で注意すべき点は、十分なサンプル数(母数)が必要なことです。信頼できる結果を得るには有意水準5%の場合で少なくとも約400サンプルが必要と言われており、サイトのアクセスが極端に少ない場合は有意な差が出にくいことがあります。
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ABテストを実施するメリット

ABテストは、客観的なデータに基づいた意思決定を行うための強力な手法です。ABテスト実施のメリットを整理しました。
データに基づいた判断ができる
ABテストは、変更の結果を数値化して比較することで、客観的な事実に基づいた意思決定が可能です。感覚や推測に頼らず、ユーザー行動やコンバージョン率(CVR)を改善するために最も効果的な施策を選ぶことができます。
低コストで効果的な改善が可能
大規模なサイト改修を行わなくても、ABテストは低コストで実施可能です。小規模なテストパターンの変更を繰り返し行うことで、少しずつWebサイトや広告の最適化が進み、リスクを最小限に抑えつつ、着実な改善が期待できます。
リスクを抑えた変更ができる
ABテストは、大規模な変更を一度に実施するのではなく、少しずつテストを行いながら改善を進めるため、リスクを最小限に抑えられます。変更が効果的であることが確認された後に、全体に反映することができるため、予期せぬトラブルを避けることができます。
顧客視点での最適化が可能
ABテストは、企業側の視点ではなく、実際のユーザー行動に基づいて結果を導き出すため、顧客視点での最適化を可能にします。これにより、直感的に「良い」と思うデザインが実際に効果的であるかどうかを検証し、ユーザーのニーズに沿った改善が実現できます。
ユーザー体験を向上させる
ABテストは、ユーザーの行動データを基に、ページや導線を最適化するため、結果としてユーザー体験(UX)の向上にも寄与します。ユーザーがページで迷わずスムーズに目的を達成できるようになるため、離脱率が下がり、リード獲得や購買意欲の向上に繋がります。
ABテストを実施するデメリット
ABテストには多くのメリットがありますが、いくつかのデメリットや注意点も存在します。これらを把握しておくことで、テストの効果を最大化し、正確な結果を得ることができます。以下に、ABテストのデメリットや注意点を具体的に説明します。
十分なサンプルサイズが必要
ABテストでは、結果が統計的に有意であるためには十分なサンプルサイズが必要です。特にトラフィックが少ない場合や、BtoBサイトのように訪問者数が限られている場合、結果が出るまでに時間がかかったり、正確な結論を得ることが難しくなったりすることがあります。
テスト期間中の外部要因の影響
ABテストの実施中に、外部の要因(季節、キャンペーン、メディア報道など)がテスト結果に影響を与えることがあります。これにより、結果が歪む可能性があり、テストで得られたデータが本来のユーザー行動を反映していないことがあります。
ユーザー体験を一時的に損ねるリスク
ABテストでは、テスト中に異なるバージョンをユーザーに表示するため、劣ったバージョンが表示されたユーザーにとっては、望ましくない体験になる可能性があります。特に大規模な変更をテストしている場合、ユーザーの混乱や不満を招くことがあります。
ツールを使いこなすスキルが必要
ABテストには専用のツールが必要です。特に、小規模なチームや予算が限られている場合、適切なツールの選定やリソースの確保が課題になることがあります。また、テスト設定やデータ分析には一定のスキルが求められるため、時間やコストがかかることもあります。
ABテストの種類
ABテストにはさまざまな種類があり、目的や実施方法に応じて適切な手法を選択することが重要です。以下に代表的なABテストの種類を紹介します。
クラシックABテスト
最も一般的な方法であり、2つのバージョン(AとB)をランダムにユーザーに表示し、パフォーマンスを比較する手法です。シンプルで実施しやすく、ボタンの色やキャッチコピーの変更など、比較的影響が小さい要素のテストに向いています。
スプリットURLテスト
異なるURLを持つ2つのページを比較する方法で、大規模なレイアウト変更やコンテンツの全面改修など、構造的な変更の効果を検証する際に適しています。リダイレクトを活用してテストを行うため、実装に技術的な知識が必要になる場合があります。
多変量テスト(MVT:Multivariate Testing)
複数の要素を同時に変更し、各要素の組み合わせごとの影響を測定する手法です。
例えば「ボタンの色」「見出しの文言」「画像」の3つを同時にテストし、最適な組み合わせを探ることができます。ただし、多くの組み合わせが発生するため、十分なトラフィックが必要になります。
マルチアームドバンディットテスト
AIや機械学習を活用し、パフォーマンスの良いバージョンにより多くのトラフィックを自動で割り当てていくテスト手法です。従来のABテストのように、一定期間テストを続けてから結果を適用するのではなく、リアルタイムで最適化が進むため、変化の激しい市場環境で有効です。
パーソナライズドABテスト
ユーザーの属性(年齢、性別、地域、閲覧履歴など)に応じて異なるバージョンを表示し、パフォーマンスを分析する方法です。ターゲットに応じた最適なコンテンツを提供できるため、ECサイトやBtoBマーケティングにおいて特に有効です。
これらのABテストの手法を理解し、自社の目的に合った方法を選択することで、より効果的なテストが可能になります。
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ABテストの具体的な実施方法
ABテストは以下のステップで進めます。初心者の方でも取り組みやすいよう、仮説の立て方からテスト結果の活用まで順を追って説明します。
目標とKPIの明確化(成功基準の設定)
まず「何をもって成功とするか」を数値で定義しましょう。例えば「ランディングページのCVRを現在の2%から3%に引き上げる」「申込み数を+50件増やす」など具体的な目標指標を決めます。改善したい指標が明確でないと、後述する仮説やテスト内容もブレてしまうため、チーム内で合意したKPIを設定してください。
現状分析と仮説の構築
次に、目標達成を阻むボトルネック(課題)がどこにあるかを突き止め、それを解決するための仮説を立てます。たとえば「フォームページからの離脱率が高いなら入力項目が多すぎるのでは?」など、データやユーザーの声に基づき問題点を洗い出します。
仮説はできるだけ根拠をもって立案しましょう。アクセス解析データやヒートマップを確認したり、ペルソナ(想定ユーザー像)を明確にしてユーザー視点で考えることで、「〇〇を△△に変更すれば離脱が減るのではないか」といった具体的な仮説が生まれます。
テスト設計(テストプランとバリエーション作成)
仮説に基づいて、どの要素をどのように変更するかテスト計画を立てます。
ポイントはテストする変更点は一度に1ヶ所に絞ることです。一度に複数箇所を変更してしまうと、どの要素の影響で結果が変わったのか判断できなくなってしまいます。
まずは仮説の核となる要素(例:ボタンのテキスト)に絞り、A案(現行)とB案(変更後)の2パターンを用意します。必要に応じてデザイナーや開発担当と協力し、テスト用のページやコンテンツを作成しましょう。
また、ユーザーへは同時期に無作為に振り分けて表示する形でテストを行います。これにより季節要因や時間帯の違いなど外的要因の影響を排除でき、純粋な比較が可能になります。テスト対象のユーザー割合(トラフィックの何%をB案にするか)も決めて、使用するABテストツール上で実験の設定を行います。
テスト実施とデータ収集
設計ができたらテストを開始し、一定期間データを収集します。
テスト期間の目安は1〜2週間程度が一般的です。あまり短すぎると十分なサンプルが集まらず、逆に長く引きすぎると外的要因でユーザー行動が変化してしまう可能性もあります。多くの場合、1〜2週間実施し、有意な結果が得られるか様子を見ます(大規模サイトでは数日で結果が出ることもありますし、低トラフィックの場合は最大1ヶ月ほど実施するケースもあります)。
期間中はツール上でAとBそれぞれの指標(クリック率やCV数など)をモニタリングします。途中経過で明らかな差が出ていても、統計的に有意な差が確認できるまではテストを継続しましょう。
結果分析と最適化(勝者の適用)
テスト終了後、集計データを分析してどちらの案が優れていたか判断します。
事前に定義した成功指標(KPI)に照らし合わせて、有意水準5%など統計的有意差があるかを確認します。例えばB案のコンバージョン率がA案を明確に上回り、p値<0.05で有意差ありとなればB案を勝者(チャンピオン)として採用します。

分析時には全体の数字だけでなく、セグメント(新規vsリピーター、デバイス別など)ごとに傾向を見ると、新たな発見が得られることもあります。勝者となったパターンは本番環境に正式適用し、敗者パターンは停止します。
こうしてサイトを最適化(Optimization)したら、それで終わりではありません。継続的な改善サイクルを回すことが重要です。得られた知見をもとに新たな仮説を立て、次のABテストに活かしましょう。定期的にテストを繰り返し小さな改善を積み重ねることで、やがて大きな成果につながっていきます。
ABテストの成功事例【弊社のケーススタディ】
続いて、ABテストを活用して成果を上げた実際の事例をご紹介します。弊社(株式会社クロスリスティング)が、とある求人系サイトを支援した際のケーススタディです。
事例概要
求人サイトの「ユーザー登録」「資料請求」などをゴールとするページにおいて、フォームデザインの変更やLP(ランディングページ)のキャッチコピー・ビジュアルの見直しを行い、登録数や広告からのCV数を増やした事例。
具体的な施策と結果
ファーストビュー(ページ冒頭)のイラストを実際の写真に変える
✓病院の写真を使うことで「働く先のイメージ」をより具体的に伝え、無料登録完了率を120.0%改善
✓結果的にCPA(顧客獲得単価)を18.0%削減
フォーム入力画面や求人詳細ページの改善
✓ボトルネックとなっているページで、画像・CTA(ボタン)配置を最適化し、フォーム到達率を向上
✓到達率が1.7%→2.5~3.0%まで改善することで、最終的な登録数が大幅に増加
ABテストを実施することで、このような数字の改善を科学的に行えます。より詳しい事例を知りたい方は、以下のサービス資料をぜひダウンロードください。
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おすすめのABテストツール

かつてはGoogleからもWebサイトのテストツール「Googleオプティマイズ」が提供されていましたが、
2023年9月30日もってサポート終了となりました。ここでは、ABテストを行う上で代替となるツールをご紹介します。
Google公式連携ツール
Optimizely/Optimizely Inc.
■製品サイト
https://optimizely.gaprise.jp
■特徴
デバイスやチャネルを選ばずテスト・分析が可能
高度なテスト設計もツール上で直感的に行える
施策結果の正確性が高く、結果の管理・共有がしやすい
■導入費用
要問合せ
■サポート体制
Optimizely認定パートナー資格を保有する株式会社ギャプライズのコンサルタントが、ツールの導入から、トレーニング、テスト施策の提案等をを包括的にサポート。
AB Tasty/AB Tasty
■製品サイト
https://abtasty.gaprise.jp
■特徴
ノーコードで作成できるビジュアルエディターを搭載
豊富なウィジェットで顧客体験の最適化が可能
AIを活用したパーソナライゼーション
■導入費用
要問合せ
■サポート体制
正規代理店の株式会社ギャプライズより、サポートページが用意されている。ドキュメントやチュートリアルビデオで各機能のトレーニングを受けることが可能。
VWO/Wingify
■製品サイト
https://vwo.gaprise.jp
■特徴
タグの埋め込みで同一URLでのテストが可能
成果がリアルタイムかつ一目で分かる管理画面
ヒートマップやマウストラッキングの機能を搭載
■初期費用
要問合せ
■月額費用
PROプラン:5万円〜
※月間5万UUまで無料で使用出来るプランあり
■サポート体制
正規代理店より、ツールの導入から、日本語実装マニュアルの共有、目標達成を実現するためのツール利用方法レクチャー等を受けることが可能。
その他おすすめツール
SiTest/株式会社グラッドキューブ
■製品サイト
https://sitest.jp
■特徴
Webサイトの課題発見から改善までを一元化
ヒートマップ解析で、改善点の把握が可能
純国産ツールならではの手厚いサポート体制
■初期費用
要問合せ
■月額費用
パッケージ
50,000円
エンタープライズ
100,000円~
■サポート体制
操作、活用時の課題を解決するための初回キックオフMTGあり
設定、機能に関する課題や不明点などの問い合わせサポートあり
ヘルプコンテンツや無料ウェビナー、YouTubeチャンネルにて学習コンテンツを提供
KARTE Blooks/株式会社プレイド
■製品サイト
https://blocks.karte.io
■特徴
ノーコードでサイトの更新、評価、改善が可能
セグメント毎の反応をワンクリックで可視化でき、深掘りしやすい
国内企業が提供しているツールのため、日本語によるサポートが充実している
■初期費用
100,000円
■月額費用
125,000円~
※月間1万PV以内まで無料で使用出来るプランあり
■サポート体制
KARTE Blocksのセットアップ、日々の利用に関しての情報をまとめたサポートサイトあり
プロダクトの仕組みから実践的な使い方・運用まで、チャットやオンラインでの個別相談が可能
テンプレートストアで、プロがデザインしたブロックのテンプレートやイベントなどを利用可能
Zoho PageSense/Zoho Corp.
■製品サイト
https://www.zoho.com/jp/pagesense
■特徴
コンバージョン最適化のための機能が充実
専門的な知識が不要
低コストでコストパフォーマンスが高い
■初期費用
要問合せ
■月額費用
分析
2,400円~
ENGAGE(関係性向上)
3,480円~
最適化
5,880円~
※無料トライアル:15日間
※年間契約の場合、割引あり
■サポート体制
ユーザーガイドやウェビナー、動画からツールの使い方や、オンラインビジネスを成長させる方法を学べる
コミュニティから、他のPageSenseユーザーと交流出来る
コンバージョン率最適化に役立つ、The Conversion Playbookがある
Juicer/ログリー株式会社
■製品サイト
https://juicer.cc
■特徴
基本機能がすべて無料で使用可
設定が簡単、かつ分かりやすいUIですぐに利用開始できる
AIの活用で、サイト流入者の高精度の解析が可能
■初期費用
0円
■月額費用
基本プラン
0円
データ活用プラン
200,000円~
DMP分析レポートプラン
50,000円~
■サポート体制
よくある質問が一覧でまとめてあり、機能や各種設定の方法、データの取り扱いなどがまとめてある
上記にて解決出来ない課題は、メールにて問い合わせ可能
Optimize Next(オプネク)/PROJECT GROUP株式会社
■製品サイト
https://optimize-next.com
■特徴
完全無料で基本的なABテストの機能を利用可能
国産ツールで日本語が標準言語
GA4連携によるテスト結果の確認が可能
■初期費用
0円
■月額費用
フリープラン0円
スタータープラン3,000円
ベーシックプラン10,000円
プレミアムプラン30,000円
■サポート体制
ユーザー間で課題の解消ができるDiscordコミュニティあり
月額30,000円のプレミアムプランで専属サポートデスク対応
公式ヘルプページにて、学習コンテンツを提供

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ABテストのベストプラクティスと注意点
ABテストを成功させるためのベストプラクティス(成功のポイント)をまとめました。初心者の方は以下の点に留意することで、より効率的かつ効果的にテストを運用できるでしょう。
テスト期間の目安を守る
ABテストの実施期間は一般的に1〜2週間程度が適切です。
闇雲に長く実施すれば良いわけではなく、有意差が出ない場合は期間延長よりも仮説の見直しを検討しましょう。「結果が出るまで」と無期限に続けるのではなく、あらかじめ期間を決めて実施することが大切です。
一度にテストするのは1要素のみ
前述したように、1回のABテストでは変更箇所をシンプルに1カ所に絞ります。
例えば「色も文言も同時に変える」のではなく、まずは「色だけ変える」テストにするということです。そうすることで結果の因果関係が明確になり、次の施策にも活かしやすくなります(複数要素を同時に検証したい場合は多変量テストなど高度な手法が必要になります)。
大きなインパクトが期待できる箇所から優先テストする
限られたリソースで効率よく成果を出すには、ボトルネックになっている重要箇所から順にテストすることが重要です。
例えば「購入フローの途中で80%のユーザーが離脱している」なら、まずはフォーム短縮など購入フロー改善の仮説を検証すべきでしょう。逆に、あまり影響のない細部(例:フッターの文言など)を優先しても労力対効果が低いです。
また、テスト案を考える際は足し算より引き算が効果を生む場合が多いと言われます。不要な要素を削除するシンプルな変更の方が、派手なデザイン変更より成果に繋がりやすいケースもあるので覚えておきましょう。
明確な仮説と検証項目を設定する
漠然と「何か変えてみよう」ではなく、「なぜそれを変えるのか」を論理立てて仮説を作成します。仮説が明確であればあるほど、テスト結果から得られる学びも多くなります。
また成功指標(KPI)も事前に決めておき、チームで共有しましょう。テスト後に「どの数字を見て判断すれば良いか分からない」という事態を防ぐためにも、仮説と指標のセットを準備することが肝要です。
十分なサンプル数を確保する
テスト結果の信頼性はデータ量に左右されます。有意な結論を得るには一定の母数が必要であり、サイト規模によってはテストを諦める判断も時に必要です。
目安として、月間のコンバージョン数(CV数)が1,000件未満の場合はABテストを行っても統計的に有意な結果を得るのが難しいとされています。
その場合はまず集客やCV自体を増やす施策を優先し、十分なトラフィックが確保できてからABテストに取り組むのが良いでしょう。
テスト結果を蓄積し学習する
ABテストは一度きりで終わらず、継続的に繰り返してナレッジを蓄積することが重要です。
過去のテスト結果から「自社のユーザーには〇〇な表現の方が響きやすい」といった傾向が見えてきます。その知見を社内で共有し、今後のサイト改善全般に活かしましょう。
テストごとにレポートを作成して記録しておくと、次に似た課題に直面した際に大いに役立ちます。
ABテストの最新トレンド
近年、ABテストの手法や考え方にも新しいトレンドが生まれています。特にAI(人工知能)の活用やパーソナライズの高度化は注目すべきテーマです。
生成AIによるテスト自動化
大手ABテストツールではAIを活用した新機能が登場しています。
例えばVWOでは、OpenAIのGPTモデルなど最新AIを搭載し、テストアイデアの自動生成を行う機能が追加されました。サイトのURLを入力するとページごとに改善提案をAIが提示してくれるほか、プロンプト(指示文)を与えてより具体的な施策案を得ることもできます。
このようにAIの力を借りることで、テストするアイデア出しにかかる時間を大幅に短縮でき、マーケターはより戦略的な部分に集中できるようになります。
パーソナライズとマルチバリエーション
ABテストは従来、全ユーザーに対して最も効果的な“一般解”を探す手法でした。しかし現在は、一律の勝ちパターンを適用するのではなく、ユーザーごとに最適なコンテンツを出し分けるパーソナライズが重視されつつあります。AIの登場により、無数のペルソナ(細かなユーザー層)ごとにコンテンツを自動生成し最適化することも可能になりつつあります。
極端に言えば、AIがユーザー毎に最適なクリエイティブを予測・提供してくれる世界では、従来型のABテストが不要になる可能性も指摘されています。
現時点でも、トラフィックの自動最適配分(より成果の良い方に流量を自動で寄せていく機能)を備えたツールや、ユーザー属性に応じて出し分けるマルチアームドバンディット型のアプローチが実用化されています。
将来的にはABテストとパーソナライズの境界が曖昧になり、「常にリアルタイムで最適化が行われる」ようなマーケティングも十分考えられるでしょう。
その他のトレンド
加えて、モバイルアプリでのABテストや、ABテスト文化の組織への定着といったテーマも注目されています。社内に実験と検証のカルチャーを根付かせ、意思決定をデータドリブンに行う企業が増えてきました。
また、近年のプライバシー規制強化に伴い、クッキー非依存でユーザーをグループ分けする技術や、少ないデータでも効果を測定できる手法の研究も進んでいます。
最新トレンドをウォッチしつつ、自社の状況にあった形でABテストを進化させていくことが大切です。
ABテストとSEO対策の関係
Web担当者にとって気になるのが、ABテストがSEO(検索エンジン最適化)に与える影響です。
結論から言えば、適切に実施すればABテストが直接SEOに悪影響を及ぼすことはありません。しかし、不適切な設定をすると最悪の場合「クローキング(検索エンジンへの偽装行為)」と見なされてペナルティを受ける恐れもあります。
Googleも公式にガイドラインを提示しており、以下のポイントに留意すればSEOへの悪影響を最小限にできます。
クローキングを行わない
ユーザーにはB案を、Googleクローラー(Googlebot)にはA案を見せる、といった手法は避けましょう。常に全てのユーザーエージェントに対して同じ条件でテストを実施することが重要です。意図的に検索エンジンだけ別内容を見せるとみなされた場合、検索順位にペナルティを受けるリスクがあります。
rel=”canonical”の活用
ABテストで別URLのページを用意する(リダイレクトテストなど)場合、テスト用Bページにはcanonicalタグを設置してオリジナル(Aページ)を正規ページとして指定します。これにより、検索エンジンから見て重複コンテンツではなくAページに評価を集約させることができます。
302リダイレクトを使用
テストのために一部ユーザーをBページにリダイレクトさせる場合、一時的なリダイレクト(302リダイレクト)を使用します。301(恒久的なリダイレクト)はインデックスにも影響する可能性があるため、あくまで一時的なテストであることを示す302を用いるのがベストプラクティスです。
テストは必要な期間だけ実施する
ABテストは永遠に続けるものではありません。結果が出たら速やかにテストを終了し、勝者パターンにサイトを更新しましょう。
不要になったバリエーションページが残ったままにならないよう注意します。長期間にわたって複数ページを併存させていると、検索エンジンに余計な負荷を与えたり、どちらを評価すべきか混乱させる可能性があります。
上記を守れば、ABテスト自体はSEOに悪影響を与えないとGoogleも明言しています。
実際、世界中の大規模サイト(検索トラフィックが重要なサイト)でも日常的にABテストは行われています。重要なのは「検索エンジンをだまさない」ことであり、ユーザー体験を向上させる目的での正しいABテストであればSEOと両立できます。
テスト実施前には改めてGoogleの公式ガイドラインを確認し、安全な構成で行うようにしましょう。
まとめ
以上、ABテストの基本から応用まで幅広く解説しました。
ABテストとはユーザーの反応を科学的に検証する強力な手法です。最初は小さなテストからでも構いませんので、ぜひチャレンジしてみてください。仮説検証を積み重ねていくことで、サイトのコンバージョン改善やマーケティング施策の最適化にきっと大きな成果が得られるはずです。
データに裏付けられた意思決定で、ビジネスの成長につなげましょう。
ABテストツール選びに悩んでいる方は、下記の「ABテスト選び方ガイド」をダウンロードし、自社に合うツールをお選びください。また、当社では無料相談も受け付けているので、ABテストやデータ分析などにお悩みの方はお気軽にご相談ください。⇒お問い合わせはこちら
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