インハウスマーケティングとは?自社内製するメリット・デメリットと失敗を防ぐポイント
インハウスマーケティングとは、マーケティング業務を外部委託せずに自社内で完結させることです。
マーケティング業務を外部委託しないことで、マーケティングの専門人材を自社に持つことができ、スピード感ある広告運用や分析、販売計画の立案が可能になります。
しかし、インハウス化にはメリットばかりがあるわけではありません。マーケティング運用の属人化や、変化が速い業界のため、最新マーケティング情報のキャッチアップの難易度が上がるなどの問題点も存在します。
ここでは、インハウスマーケティングの基本から、スムーズな移行のためのポイントについて紹介します。
インハウスマーケティングとは
インハウスマーケティングとは、マーケティング業務を外部委託せずに自社内の部署あるいは人員で実施することを指します。
インハウス(in-house)は「自社の」「企業内の」という意味です。逆に外部委託することをアウトソースといいます。
近年、Webマーケティングのみをインハウス化する動きが活発化しています。
というのも、Webマーケティングは、常に数値を見ながら臨機応変に運用することが求められるからです。
特にリスティング広告に代表される運用型広告は、インハウス化することで社内での意思決定をより迅速に反映させ、成果に繋げることができます。
マーケティングをインハウス化するメリットとは
インハウスマーケティングの代表的なメリットは以下のようなものです。
- 自社の意思決定が反映されるまでの時間が短い
- 業務ノウハウが社内に蓄積されていく
- 自社商品やサービスの知識が深い
- 外部委託するよりもコストが下がる可能性が高い
「マーケティングの外部委託からインハウスマーケティングに切り替えたい」という企業の大半がこういったメリットを享受すべく部署を立ち上げています。
具体的に説明します。
自社の意思決定が反映されるまでの時間が短い
マーケティングをインハウス化することの最大のメリットは、自社の意思決定が反映されるまでの時間の短さです。
何か新しい施策を取り入れるときや、現在の施策に問題点を発見した場合に自社内で検討が可能なため、すぐに取り入れることや改善に向けた動きをとることが出来ます。当然、撤退する際も判断から実行までの時間を短縮できます。
移り変わりの激しいWebマーケティングの世界では、いかに素早くPDCAサイクルを回すかが1つのポイントです。インハウスマーケティングを取り入れることが販促効果を高めることにもつながります。
PDCAについては、以下の記事でご紹介しているので、ぜひこちらも参考にしてみて下さい。
業務ノウハウが社内に蓄積されていく
Webマーケティングに関する業務ノウハウが社内に蓄積されていくメリットもあります。運用代行業者にマーケティングを依頼していると、業者と二人三脚で運用していても、社内人材に知識が蓄積されていく速度は早くありません。
知識0の状態からインハウスマーケティングを開始し、マーケティング全般を任せるのは社内人材への負担が大きすぎます。しかし、一部運用を任せることから始め、徐々に知識と経験を積んでいくことは、社内で専門人材の育成に役立ちます。
広告運用のみの部署など、専門的な知識を持つ人材が社内にいるのは頼もしいものです。
自社商品やサービスの知識が深い
マーケティング施策を打つにあたり、自社で取り扱っている商品やサービスについての知識が深い人間が関わることも大きなメリットです。
特に、ニッチな商品やサービスを取り扱っている場合、マーケティングを依頼した外部パートナーに業界や商品・サービスについての知見がなく、見当違いの施策を打たれてしまうことがあります。この問題は、外部パートナーとのヒアリングを繰り返すことで、徐々に解消されていきますが、時間がかかってしまいます。
インハウスマーケティングの場合は、自社社員がマーケティング施策を実施するので、そういったすれ違いが発生しにくく、訴求がしやすいのです。
外部委託するよりもコストが下がる
マーケティング部門をインハウス化すると運用委託費用などの諸コストがかからないため、経費を抑えることができます。
単純にコスト面にだけ注目すれば節約になりますが、だからといってコスト面にだけ注目してインハウス化するのはおすすめできません。
マーケティングをインハウス化することで生じる問題点
メリットの多いインハウスマーケティングですが、社内に導入することで生じる問題点もあります。インハウスマーケティングは、外部委託する部分とインハウス化する部分のバランスを見ながら取り入れたほうがスムーズなケースの方が多いです。
インハウスマーケティングを実施するデメリットにはこのようなものがあります。
- 流行のマーケティング情報の収集が難しい
- 属人性が強くなり担当者に依存する可能性がある
- 行き詰まってしまったときの相談先がない
流行のマーケティング情報の収集が難しい
そもそもマーケティングは流行り廃りが激しい分野です。特にインハウス化を実施したい企業が増えているWebマーケティングは、理論はもちろん、使用ツールやプラットフォームのアップデートや仕様変更が頻繁に発生します。
こういった最新情報のキャッチアップは、セミナーへの参加や専門書の読書会、マーケティング担当者同士の交流会などで行いますが、自社人材だけでのカバーは難しいものがあります。
外部にマーケティングを依頼することで、ツールやプラットフォームのアップデート情報や流行のマーケティング情報を仕入れられます。また、自社の技術や手法が古くなったとき、外部委託していれば指摘してもらうことも可能です。
マーケティング運用の属人性が強くなる
運用の属人性を排除する方法の1つに作業のマニュアル化があります。しかし、マーケティング運用は、マニュアル化するより先に新しいテクニックが出現することも多く、どうしても作業者の経験がものをいう結果になりがちです。
よくある事例として、同じマーケティング部署でも担当者によって成果に大きな差が出たり、運用手法を尋ねてもその担当者もうまく言語化できず、担当者頼みになってしまうことがあります。
そのような状況では、有能な運用担当者が転職や退職した際に、ノウハウが途絶えてしまいます。担当者自身も自分が行っていた作業に関する言語化が難しいため、後進の人材育成に時間がかかってしまうという結果になりかねません。
行き詰まってしまったときの相談先がない
マーケティングは、「数値化」と「分析」が成功のための重要なポジションに位置します。インハウスマーケティングでは、数値での分析がうまくいかないケースが多数見受けられます。
というのも、目標達成を見極めるための数値設定がうまくいっておらず、分析するための数値計測自体も曖昧で、いざ分析しようと思ってもフレームワークにうまく当てはめられないことがあるのです。
特に、マーケティング施策がうまくいかなかった場合の分析に関しては、外部委託先の方が知見が広い場合が多く、自社のことをよく知るマーケティング運用会社は、相談先として確保しておいた方が無難でしょう。
マーケティングはインハウス化すべきなのか
インハウスマーケティングを全くのゼロの状態から成功に導くのは簡単なことではありません。インハウスマーケティングが軌道に乗ればデメリットは少ないのですが、手探りの状態からのインハウス化はリスクがあまりにも大きいです。
インハウスマーケティング導入にあたっては、まずはインハウス化を見据えた上での外部パートナーへの依頼をおすすめします。
マーケティングを外部委託しながらのインハウス化は、インハウスマーケティングを行える知見のある人材を育成しながら、現段階のマーケティングも疎かにしないからです。
インハウスマーケティングは業者を利用しながら徐々に進めるのがポイント
インハウスマーケティングを検討するなら、最初から全てをインハウス化するよりも、マーケティングの専門業者に補助輪の役割を果たしてもらいながらインハウス化していくのがおすすめです。
マーケティングの専門業者との繋がりができることで、インハウスマーケティング始動後に困ったときの相談先も確保できます。
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