顧客理解を深めるための手法5つ|分析方法やマーケティングへの活かし方も紹介

マーケティング

マーケティングにおいて、ユーザーのニーズや行動、価値観などを把握する「顧客理解」は非常に重要な役割を持ちます。

しかし、「具体的にどうやったらいいの?」と悩んでしまう方は多いでしょう。

そこで本記事では、顧客理解を深めるための5つの方法と、マーケティングへの活かし方について解説します。

顧客理解を深めたい方は、ぜひ参考にしてください。

顧客理解とは?

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顧客理解とは、年齢・性別などの属性のほか、ニーズや行動など顧客について理解することです。

顧客理解の考え方はさまざまですが、基本的な概念としてここでは以下3つを紹介します。

  • 顧客ニーズの理解
  • 顧客行動の理解
  • 顧客価値観の理解

まず、顧客ニーズとはそのまま「顧客が求めていること」を指します。具体的には、どのような目的でサービス・商品を利用するのか、その商品・サービスによってどんな風になりたいのかなどです。

なお、顧客ニーズには顧客が自覚している「顕在ニーズ」と、顧客が気づいていない「潜在ニーズ」があります。顕在ニーズだけでなく、顧客が気づいていない潜在ニーズまで把握することで、より効果的な訴求やアプローチが可能です。

また、ニーズだけでなく、顧客インサイトを理解することも大切です。顧客インサイトとは、顧客が認識していない欲求のこと。これを理解することで、顧客が本当に望む商品やサービスを提供できるようになります。

次に、顧客行動とは、顧客がその商品を購入するに至るプロセスを指します。たとえば、「ネットでの情報収集をじっくりしてから自社ホームページへ訪れる顧客が多い」場合と、「Web広告から衝動的に自社商品を購入する顧客が多い」場合では、アプローチの方法は異なるはずです。

最後に、顧客価値観は顧客が購入する商品や利用するサービスに対して期待する価値を指します。

たとえば、同じ「○○市内で泊まれるホテルを探している」というユーザーであっても、ハイクラスなサービスを受けることに価値を置く人と、簡易なサービスでも宿泊料金の安さに価値を置く人では選ぶホテルが異なるでしょう。

このように、顧客理解はさまざまな概念・要素が関係しているため、いろいろな確度から顧客を分析することが大切です。

顧客理解の重要性|なぜ必要?

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「顧客理解ってそもそも必要なの?」と疑問に思う人もいるかもしれません。

結論から言うと、ビジネスの世界で顧客理解は絶対に必要です。

なぜなら、顧客理解をしないままサービスや商品を提供すると、企業側の思惑と顧客側のニーズにギャップが生じる場合があるからです。

たとえば、「ある商品がブームになっているからわが社も乗り遅れまい」という理由だけで商品を開発・販売したケースを考えてみましょう。

この場合、ブームとはいえ似たような商品がすでに消費者の手元に行き渡っていれば、よほどの付加価値を追加しないと自社商品を差別化できず、商品が売れ残るという事態になりかねません。

また、ニーズの移り変わりが早い業界の場合、顧客理解をアップデートしないと、業界の流れに取り残されてしまうおそれもあります。

競合の出現や類似品の発売など、時間とともに顧客のニーズは変化するので、顧客理解への意識は常にアップデートしておくことが大切です。

顧客理解が進まない原因

顧客理解が進まない代表的な原因として、社内のデータや報告書のまとめ方、管理が統一されていないことが挙げられます。

たとえば、営業部、マーケティング部、カスタマーセンター、店舗などがそれぞれ独自の方法で顧客データをまとめていたとしましょう。

その場合、せっかく顧客の情報が集まっていても、分析して顧客理解に活かすことはできません。

また、各部署の情報がまとまっていたとしても、顧客理解をするために具体的に何をすればいいのかわからず、分析自体ができていないというケースもあるでしょう。

顧客理解におすすめの方法5つ

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自社において顧客理解が進んでいないと感じたら、以下のような方法を試してみましょう。

  • ユーザーテスト
  • ユーザーインタビュー・アンケート
  • 顧客データの分析
  • ソーシャルリスニング
  • フロント担当へのヒアリング

ここからは、顧客理解を深めるそれぞれの方法について、詳しく解説します。

ユーザーテスト

ユーザーテストとは、実際の商品やサービスを顧客に試してもらい、反応を見ながら顧客理解を深める方法です。

商品・サービスを試している顧客の様子から、使いやすい、使いにくいなどの反応を直接観察できるメリットがあります。

一例として、家電製品を試してもらって使い勝手などの反応を確認する場合や、テストユーザー向けの特別プランを設ける場合などが挙げられます。

ユーザーインタビュー・アンケート

ユーザーへのインタビューやアンケート調査も、顧客理解を深めるためにおすすめの方法です。

インタビューはある程度時間をかけて質問を深堀りでき、アンケートはメールなどの方法を使って短時間で多くの回答を得られるメリットがあります。

年齢・性別・職業・居住地などの属性ごとにユーザーの声を集計・収集することで、どの顧客層に自社商品のニーズがあるかを探れるでしょう。

また、インタビューやアンケートを定期的に行うことで、自社に対する顧客評価の変化を知ることも可能です。

顧客データの分析

顧客データを用いた分析も顧客理解の方法として有効です。

データを用いた顧客理解は、インタビューのような定性的な評価とは異なり、定量的な根拠に基づいている点で大きなメリットがあります。

たとえば、インテントデータと呼ばれる顧客データは、Web上で顧客が行った検索やクリック履歴などから「顧客が何を求めているか」「どのような商品にニーズがあるか」を予測して的確なマーケティング戦略を立てることに役立ちます。

定性的な評価だけでは「なんとなく」や「多分こうだろう」というあいまいな分析になってしまいがちですが、定量的なデータを用いることで事実に即したマーケティング戦略を立てることが可能です。

ソーシャルリスニング

ソーシャルリスニングは、SNSに投稿されている顧客の投稿やコメントから商品への意見や反応を分析する方法です。

SNSは匿名性が高いので、良い口コミも悪い口コミも本音が出やすいという特徴があります。

たとえば、X(旧Twitter)は、BtoCの商品はもちろん、BtoB向けの製品・サービスに対してもフィードバックが多いといわれています。

また、商品名や商品カテゴリー、企業名などで検索し、どのような言及がされているかを知れるので、自社商品はもちろん競合商品の評価を知るうえでも有効です。

フロント担当へのヒアリング

顧客理解を得るうえでは、日ごろから顧客とコミュニケーションをとっているフロント担当の意見を聞くことも大切です。

なぜなら、顧客と日頃から接することが多い営業部員やサポートセンターの担当者こそ、顧客の生の声を聞く立場にいるからです。

フロント担当にヒアリングすることによって、データではわからない顧客理解を得ることができるかもしれません。

また、ヒアリングした結果をレポートにまとめることで社内での共有も可能です。

なお、以上5つの方法とは別に、顧客データを収集・蓄積して一元管理できるCDP(カスタマーデータプラットフォーム)というサービスを使うのも有効な方法です。

CDPを活用するとデータ収集、データ整形・集計、データ統合、セグメンテーション等を一元的に行うことができ、効率的に顧客理解を深めることができます。

当社ではCDPの導入から顧客理解のサポートまで、一貫した支援を行っていますので、お気軽にご相談ください。

顧客理解を深めるためのコツ

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顧客理解を深めるうえで最も大切なのは、「自分たちの都合」ではなく「顧客の視点」で物事を考える姿勢です。

企業側の思い込みだけで判断すると、顧客が本当に求めている価値や不満の原因を見落としてしまう可能性があります。

顧客視点で考えるためのポイントは以下のとおりです。

  • 顧客の課題や不満を自分ごと化する
    「もし自分がこの顧客だったら、何に困るだろう?」という立場で考えることで、必要な改善点が見えてきます。
  • 購買前後の体験全体を想像する
    商品を知った瞬間から利用後のフォローまで、一連の顧客体験を俯瞰して把握します。
  • 数字だけでなく感情にも注目する
    アンケート結果やアクセス解析の裏にある、顧客の感情や動機にも目を向けましょう。

顧客視点で物事をとらえられるようになると、マーケティング施策や商品改善の方向性がより明確になり、長期的な信頼関係の構築にもつながります。

顧客理解を深めたあとにすべきこと

顧客理解はゴールではなく、施策の精度を高めるための出発点です。

顧客理解を深められたあとは、それを具体的なマーケティング戦略へ落とし込みましょう。具体的な方法は、以下のとおりです。

  • STEP1:ペルソナを作る
    収集したデータから、実在する人物のように属性や課題を設定し、具体的な顧客像を作成します。
  • STEP2:社内で認識をそろえる
    作成したペルソナをチームや営業部門と共有し、認識を合わせることで一貫性のある施策に繋げます。ユーザーインタビュー結果も併せて共有すると効果的です。
  • STEP3:戦略設計を行う
    カスタマージャーニーマップで顧客行動を可視化し、市場分析も行いながら施策やKPIを設計します。

このように、顧客理解で得られた知見を戦略や施策に反映させることで、マーケティングの投資対効果を高め、長期的な顧客との関係構築につなげることができます。

まとめ

本記事では、顧客理解の重要性や具体的な方法について詳しく解説しました。

顧客理解は、適切なマーケティング施策を立案するうえで極めて重要です。顧客理解を深めることで、より的確にニーズを捉え、成果につなげることができるでしょう。

本記事で紹介した顧客理解を深める方法やコツを参考にしながら、戦略立案や事業運営に役立ててみてください。

著者(writer)
Sienca 事務局

集客、接客、追客、ファン化とデジタルマーケティングのトータルソリューションを支援しております。あらゆるデジタルマーケティングに関する知見、ノウハウを元にブログをお届けします。

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